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第80話 夜のテラスでティラミス会

『ヒマリちゃんとお揃いにしておいたわ』

 謎の声にまた囁かれる。


 猫耳付きトンガリ帽子、短めケープに、肘まである長い手袋、ミニスカート、ブーツという出立。手には杖。ヒマリの装備と一緒だ。


「ボクと一緒だ!」

『ミアねーちゃん、かわいいぞー! 魔女っ子ヒューヒュー!』

「なんだか謎の声が聞こえて、呪文を唱えてみたら、わたしも変身しちゃった。よく考えてみたら女神様の声に似ていたかも……」

「その杖を通して声を送ったんだろう」

 レオ様がライオンの前脚で器用にお菓子を食べながら教えてくれた。


「まあ、よく分かんないけど可愛いからいっか。ヒマリも変身しちゃおうよ〜」

「え? ここで?」

「そうだよ! うーん……。ニャーニャーパワーメイクアップ!」


 ピカっと光るとそこには虎耳の魔法少女がいた。はーやっぱり可愛い。

 獣人仕様で帽子から耳がぴょこっと出てるのがグッドです。わたしのはフェイク耳がついているんだけどね。

 女神様モフモフ好きだね。


「なんか変身したら、もっとデザート食べれる気がしてきた」

「わかる。なんかこれ着てたら太らない気がする」


 デザートの方をじっと見つめていると、クリスとヴィーちゃんが帰ってきた。

「あら、なんだか可愛い魔法少女が二人もいるわ」

「ミアも変身できたのか?」

「なんかね、わたし達の杖って聖女の遺産だったらしくて、わたしも変身できちゃった」

「ふーん。そういう物なのねぇ。ところで、学園長のところでとっておきのデザートをもらってきたけれど食べるかしら?」

「「食べるー!」」

「せっかくだから、テラスの席に移動しましょ」


 外は風が気持ちよくて心地よい。

 もう夜になっているので、空には星が瞬いている。


「これが学園長にもらったデザートよ。最近、王都で人気のティラミスよ」

「うわぁ〜!」

「紅茶もいいけれど、コーヒーも合うね、これは。ちょっとだけコーヒーに再挑戦しようかな。わたし、コーヒー持ってくるよ! みんなも飲む?」

 みんなも挑戦するというので、コーヒーポットとエスプレッソ用のデミタスカップをテラスに持ってくる。


「このミニミニカップで飲もう。これぐらいなら苦いけど大丈夫なはず……!」


 ティラミスは1つずつ小さなグラスに入っていて、とても綺麗で可愛い。一口救って食べると、口の中でふわぁっと溶けて消えていく。

 ここにコーヒーをイン!

「んっ! 美味しい! ティラミスとコーヒー、美味しい!」

「あら、ほんとね?」

「ああ、これは美味しいな」

「ボクにはちょっと苦いや」


 この組み合わせは間違いない。美味しい。でもやっぱり、子どもの舌には段々とコーヒーが苦く感じてきた。

 ああ、コーヒーが美味しく感じる舌は何歳になったらできるのだろう……! こんなに良い香りなのに!


「ところで学園長とはどんな話をしていたの?」

「ああ、そこに女神様と通信できる鏡があってね。それで、魔王がいるから倒してくれって言われた」

「「えっ!?」」

「ビックリよねぇ。魔王ってずっといないって聞いてたから」

「魔王はどこにいるの?」

「どうやら魔の森にいるらしいのよ」

「えっ!? わたしの実家では!? みんな安全なの?」


 魔王はまだ産まれたばかりらしく、そんなに脅威ではないらしい。とは言え、放っておいたら後が大変なので、倒すか、仲良くなるかしてこいとのこと。

「え? 仲良くなるのもいいの?」

「そうみたいよ」

「できれば、穏便に済ませたいねぇ」

「本当よね。というわけで、今度の長期休みは、私たちも魔の森に行くことになったわ」

「ええ〜! 嬉しい! そういえば王子達も来るって言ってたから、みんなでうちの実家にお泊まりだね」


 実家にそんなにお部屋はないけど、わたしの持ってるようなテントがきっといっぱいあるはずだ。

 みんなでグランピングだ! 


「ボクも行きたいな〜」

「いいけど、ヒマリはお父さんとお母さんに会わなくていいの?」

「うーん。そうだよね、父さんと母さんにも会いたいし。悩む……。ちょっと考えてみるよ」

「うん! うちはいつでも大丈夫だからね。部屋数が少ないからテントでキャンプだけど」

「ミアのテントなら、キャンプだって全然問題ないよ! むしろ快適すぎなくらい!」


 次の長期休暇がとっても楽しみだ!




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