第73話 いざ城での食事会へ!
「うわぁ、ルイスもオーランドも、いかにも王子様って感じだねぇ。キラキラしてる〜」
「ミアも、姫って感じだぞ。そのドレス似合ってるな」
「ありがと!」
「普段は城行きの船の停留所までは箒で行くんだが、今日はミアもドレスアップしてると思って馬車を読んでおいたぞ」
「おおー。気が利く兄弟だね、ありがとね」
馬車に乗り込む時も、しっかりエスコートしてくれた。ちびっこいけれど、しっかり紳士だ。すごいなあ。
魔法学園も城も、国の真ん中にあるリンドール湖に浮かぶ島に建っている。雪だるま型をしているリンドール湖の、小さい方に学園のある島、大きい方にお城のある島がある。
だから、学園と城の行き来は船だけなのです。どちらにも結界が張ってあるから、箒では行き来できないんだって。
王族仕様の煌びやかなアヒルさんボートに乗って城へ向かう。
「そういえば、ルイスとオーランドは仲が悪いっていう設定なんだっけ?」
「設定っていうか……。まあ、そうだね。僕の母が、兄さんを蹴落として王太子になれってうるさいんだ」
「おおー」
「でも、この前の孤児院の事件の摘発で、第二王子派の筆頭が捕まったからね。後ろ盾のない僕は、もう兄さんと仲良くしても大丈夫だよ」
「ほうほう。王族って大変ですね……」
なんだか、いろんなしがらみが多そうで大変だなあ。わたしは平民でよかったなあ。
「……僕、思ってたんだけどさ、ミアも王族ってことになるんじゃないの?」
「……えっ!?」
「だって、母親が桜姫だろ」
「ううーん。でも、平民だと思うんだけどなあ? うちの父さんは平民なわけだし。たぶん」
「後でちゃんと確かめておけよ」
「はーい」
おしゃべりしているうちに、あっという間に城へついた。
レオ様の上にはうちの従魔達が縦に三匹並んで乗せてもらっている。
「これ大丈夫かなあ? 不敬にならない?」
「俺が良いって言ってるから問題ないだろ」
『ヒュー! さすがレオの兄貴ぃー』
案内の執事さんを先頭に歩く。メイドさんや色んな人が横に避けてお辞儀をして道を譲ってくれる。
「うわぁ、なんだか庶民には居た堪れないね」
「今日のミアは『桜姫の娘』なんだから、堂々としてればいいよ」
「う、よし。がんばる!」
うちの従魔達はキョロキョロしてあちこちみている。
『うわぁ〜すごいのニャ。あっちもこっちもキラキラなのニャ。美味しいものにも期待にゃ』
『うむ。我もこっちまでは来たことがなかったから城の構造が面白いのだ』
『あっ、あっちに可愛いメイドさん発見!』
うん、うちの従魔達は可愛いぞ。
「ミア、こっちだよ。今日は私的な会だから、王族の居住区で食事会だよ」
「公式じゃなくてよかったよ。わたしマナーとかわからないもん」
「そう? でもミア、ちゃんときれいに食べてるよ。家で何気に桜姫にちゃんと教わったんじゃないかなあ」
「え? そう言われてみれば、その辺はちゃんとしていたような……。なんか騙された気分!」
王族の居住区とやらに入っていく。母さんも、ここで暮らしていたのかなあ? うーん。なんだか似合わないかも。
案内された部屋は、湖のほとりに部屋だ。湖に向かってガラス張りになっていて、ちょうど夕陽が綺麗。煌びやかな部屋じゃなくて、こういう部屋でよかった〜。
みんなで中に入ると、「「「優勝おめでとう!!!」」」と大人達に盛大に祝われた。
みんな魔法で、キラキラの光のシャワーを出してくれて部屋の中がとっても綺麗! あのキラキラシャワー、わたしもやりたいなあ〜!
「そなたがミアか」
「はっ、はい!」
キラキラシャワーの奥から、なんとも威厳のありそうな男性が出てきた。ドキドキ。
「ほら、あなた、そんな怖い顔していると、ミアちゃんが怖がっちゃいますよ」
「お? 怖い顔していたか?」
凛とした雰囲気を持つ、かっこいい女性も出てきた。
「わたしたちが、ローゼマリーの両親ですよ。つまり、ミアちゃんの祖父母です!」
「おっ……!」
「お?」
「おじいちゃまと、おばあちゃま? あっ、違うの、おじいちゃんと、おじい様が混ざっちゃったの。お祖父様、お祖母様?」
緊張して噛んじゃったよ、恥ずかしい〜!
二人を見上げてみると、こちらを見て目を見開いている。うわぁ、引かれてる? 大丈夫かな? こんな野山育ちの孫で呆れられたりしてるかも……!
「なんて可愛い!」
「本当にねぇ! 私たちのことは、おじいちゃま、おばあちゃまと呼んで良いのよ?」
「いえいえいえいえ! 噛んじゃっただけなので! お祖父様、お祖母様!」
「そうなの? 残念ねぇ」
緊張したけど、良い人そうだ。よかったよかった。
この場をぐるりと見渡すと、参加者は本当に少人数のようだ。
お祖父様お祖母様、陛下、ルイスのお母様、オーランドのお母様、そしてうちの家族、母さん父さんにケビン、それからわたしとルイスとオーランド。全部で十一人!
あれ? テーブルセッティングは十二人分ある?
「さあ、積もる話もたくさんあるだろう。食事をしながら話をしようじゃないか」
陛下の言葉で皆、席につく。
「レオ、お前はこっちだぞ」
「ちっ。せっかく従魔達との席を楽しもうと思ったのに」
従魔達のテーブルは横にあって、色んな魔物がひしめき合っていて可愛いのだ……。
でもレオ様は、こっちのテーブルにどうやって座るんだろう? そう思っていたら……。
ピカッとしたと思ったら、そこには白銀の髪をした青年が立っていた。
えっ、えっ、えっ、レオ様ぁーーー!?