第68話 従魔と障害物競走 その1
モチモチのライくんを抱えて、招集場所まで行く。ホッシーさんはクロちゃんの上に乗って、二匹は応援でくっついて来ている。
次の障害物競走に出る生徒を集める場所には、たくさんの魔物がいた。
「うっわぁー! みんな可愛いなあ〜!」
でっかいもふもふが、いっぱいいる。レースが終わったら是非とも触らせていただきたい。もふ。
招集場所の点呼にはピーター先生がいる。登録されている従魔と、生徒の名前を確認しているのだ。
「次はミアだな。ん? 従魔は一匹だけしか参加できないぞ。登録されているのはネコスライムだな」
「あ、この二匹は応援に来てくれたんです。クロちゃん、ホッシーさん、あっちのゴールのところで待っててくれる?」
『分かった。おい、ライ。しっかりやって主を勝たせるんだぞ!』
『ライ先輩もミアちゃんもがんばるのにゃ!』
激励をして、二匹はゴールラインへと飛び立っていった。あの二匹が待っていると思うと俄然やる気が出る!
それにしても、ものすごい視線を感じる。
「スライム?」
「あの子、まさかスライムで出るっていうのか?」
「ビリにはならなくて良さそうだ」
スライムを侮る声がたくさん聞こえてくる。
『ふん! 俺様の真のスライム力をとことん見せつけてやろうじゃねえかー!』
「うんうん。その意気だよ、ライくん!」
始まるまでの間、周りの従魔の子達を見てまわっていると、突然、他の従魔がひれ伏した。
何かなあと思っていると、まさかのルイスと聖獣レオ様がやってきたのだ。
「ええっ!? レオ様!?」
「おお、ミアにライ。俺もレースに駆り出されちまったぜ」
「えっ、だって、レオ様、聖獣じゃないですか! 従魔でないのでは……?」
「王家に仕える身としては広義で従魔とも取れるとかなんとか。まあルイスがごねて登録されたんだ」
『レオの兄貴! 俺様負けないぞー!』
「おうおう、頑張ろうな」
ニヤリとしているルイスはタチが悪い。
「まさかレオ様を引っ張り出すとは……」
「これで僕が一位間違い無しだね」
「いや、うちのライくんはスーパースライムだからね、負けないよ?」
バチバチと闘志を燃やしていると、ついにレースのスタート時間になった。招集場所に集まった二十組のペアが一気にスタートするらしい。
スタートラインに並ぶため移動していると実況が聞こえてきた。
「えー次は従魔との障害物競走ですよー!」
「今回はなんと、第一王子のルイス殿下と、聖獣レオ様が出場されています!」
「どんな華麗なレースになるのか楽しみですね!」
「それにしても、レオ様は真っ白で本当に素敵ですのね〜」
「おや? みんな騎乗できる従魔ばかりなのに、あそこの女の子はスライムを抱えていますね」
「ネコミミつきスライムですね? あの子、なんだか周りをキョロキョロ見ています。不安なのかしら」
おおっと…! 周りの従魔さんたちを見たくてキョロキョロしていたら、実況で取り上げられてしまった。恥ずかしい〜!
ライくんに顔を埋めて、モミモミする。
「ミア〜! ライくん〜! 頑張れ〜!」
更に追い討ちをかけるかのように、応援席から母さんの声が聞こえてきた。わあっ目立つから! 目立つからあ……!
応援席に目をやると、チャーリーたち孤児院メンバーがなぜか応援用のハッピを着て、横断幕を持たされていた。
母さんはメガホンを持っている。
「おや? 桜姫が応援しているミアさんとライくんとは、どの子でしょう?」
「えーっと、ちょっと待ってくださいね、ここに出場者のリストが……。あっ、さっきのスライムの子ですね。彼女がミアさん、ライくんは従魔のネコスライムの子ですね」
ドーンと、大画面にアップで映ってしまった。うぎゃー!
「彼女が桜姫の娘さんなんでしょうか?」
「マオ寮ですし、そうかもしれませんね?」
ひえええええー、ちょっと影をお借りしますよ、レオ様。カメラから隠れるようにして、レオ様の影に身を潜める。
ふう。ようやくスタートラインにつきました。
奥には「障害物競走」という名前からは想像もつかないほどの過酷そうな障害が広がっている。
さすが魔法学園である。どうやら先生一人一人が、障害物を各一つ用意したらしい。全体のバランスとか無視である。
「選手がスタートラインに並びました」
「さあ、レースが始まります!」
気持ちを入れ替えて、レースに集中! がんばるぞ〜!




