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第67話 応援に来てくれた母さん、ヒマリの徒競走

 陛下に紹介された桜姫こと、母さんはピンクのドラゴンを空に返した。あのドラゴン、今まで生活してて見たことないんだけど、裏山に住んでたのかなあ?


 とりあえず陛下の挨拶も無事に終わった。ピンクちゃんは相変わらず、駆け寄ろうとしている。

 久々に会う母娘の感動なる対面か!? と会場が期待しているのに母さんはポシェットから観覧席のチケットを取り出して、マオ寮の応援席へ向かおうとした。


「ローゼマリー、お主らの席は、王族席に用意してあるぞ」

「嫌よー。そっちは堅苦しいもの。それに、娘からチケットを送ってもらったからね! 使わなくちゃ!」


 肩を竦める陛下。父さんは黙ってケビンを抱えてついていくだけである。母、奔放。


 母さんがマオ寮の観覧席に向かおうとすると、ローズ寮の方から声がかかった。

「失礼、そちらはマオ寮の応援席ですよ。高貴なあなたの娘ならローズ寮ではないですか?」

「あら、わたくしの娘はマオ寮と聞いてますわ」

「それは何かの間違いでは? あなたのお嬢さん、赤いマントを着ていますよ」


 そう言って画面を指差す。初めて画面があることに気づいた母さんは、そこに映っているピンクちゃんを見て首を傾げた。

「……あの子、誰かしら?」

「えっ! あなたの娘ではないのですか?」

「違うわ、わたしの子はピンクの髪ではないもの」


「えっ……? じゃあ、あの子は一体?」という空気が出来上がった。

画面に映るピンクちゃんを見ると、彼女も呆然としている。いや、なぜ君が呆然とするのか……?


 母さんは、何事もなかったかのように、マオ寮の応援席に入って行った。応援席がざわついている。

 なぜかチャーリーの横に座っているよ、母さん。


 ビックリはしたけれど、只者ではないとは思っていたので、なんだか納得はした。

納得はしたけれど、さすがに王女だったとは! どうりで記念硬貨いっぱい持ってるはずだよ、本人だもの!


「ミア、びっくりしただろうけれど、気をしっかりね」

 クリスに肩を叩かれた。


「クリスっっ! 知ってたの!?」

「途中までは知らなかったけどね、調べたのよ。だって、あんな辺境で出会う平民の子が、規格外の魔道具をたくさん持ってたら怪しいじゃない! お父様に聞いたらすぐに分かったわ。あなたの言う裏山って、あの恐ろしい魔の山のことじゃない」

「え? 魔の山?」

「そうよ。そこに英雄夫婦が住んでくれているから、魔物が氾濫せずに済んでいるのよ」

「ふうーん……。そうだったのかー魔の山ねぇ」

 魔の山と言う名前らしく、魔力がたっぷりだから果物も美味しく育つのかもしれない。


 わたしの横にはフリーズしたままのルイスがいる。

「おーい、ルイス? どうやら、わたしたち従兄妹のようだよ。よろしく、ルイスにいさま?」

「ミア! 兄さんは僕の兄さんだよ!」

「オーランドはわたしのことをミア姉様と呼ぶが良い!」

「そんなこと言ったって、同い年じゃんかー!」

 

 そんなことを言い合っていると、ルイスが再起動し始めた。

「まさか、ミアの母上だったなんて……」

「本当だよねぇ。わたしもビックリだよ」

「あとで、叔母様のこと、たくさん聞かせてもらうからね……!」

「え? うーん。うん。まあ、いいよ」

「よし! じゃあ、とりあえずは対抗戦を頑張ろう!」


 ルイスがやる気になったところで開幕だ!

 わたしも、せっかく家族が応援に来てくれたんだから頑張るのである。


 まずは徒競走からだ。

 なぜか魔法学園なのに徒競走。もちろん身体強化の魔法は使って良いので、そこがキーになるらしい。


 徒競走にはヒマリが出ます! いつの間に身体強化を習得していたのか……。

 獣人のヒマリは元からすばしっこいから、きっと大丈夫!


「ヒマリ、頑張ってね」

「うん、ありがとミア。ボク頑張るよ。ね、ミア姫?」

 悪戯な顔でこちらを見て笑うヒマリが可愛くて、ついつい耳をモミモミモフモフしてしまった。


 結果、ヒマリの徒競走はぶっちぎりで速かった。やはり元々の獣人の身体能力に、身体強化というのはすごい組み合わせのようだ。

 ヒマリを徒競走に出したルイス、グッジョブ!


『ヒマリ姉ちゃん速かったなー』

『さすが主人の友達だ』

『モグモグ。皆さん、もっとおやつ食べるかにゃ?』


 観戦しながらのんびりとおやつを食べている従魔たち。

 ニャムスターのホッシーさんの頬袋にはいつも食べ物が詰まっているのだ。ちなみにこの頬袋、異空間になっているのでたくさん入る。

 出し入れにちょっとヨダレがつくので、もっぱら食べ物しか入れたくないらしい。


 応援をしながらスライムをぷにぷに。クロちゃんとホッシーさんを撫で撫で。

 ああ、手が足りない……!


 ふとマオ寮の観覧席を見ると、母さんがチャーリーや孤児院のみんなにお菓子を食べさせていた。やっぱりわたしたち、親子だなあ……。


 平和だな〜。


 ポケッとしながら、先輩や仲間の応援をしていたところ、ついにわたしの番が回ってきた。さあ、従魔と走る障害物競走だ!

 頑張るぞ〜!

 

 



 

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