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第66話 対抗戦、開幕!

 寮の全員で、箒に乗って会場まで移動する。こちら猫耳黒マントのマオ寮チーム。黒マントで威圧感ありありである。


 空に、赤い集団、水色の集団、黄色の集団が見えてきた。


 赤は高貴なローズ寮。

 水色は賢さいっぱいドルフィン寮。

 黄色は暑苦しさいっぱい体育会系のコウ寮。犬耳付き。


 遠目に見えるだけなのに、なんだか寮のイメージがビシビシ伝わってくる。特にコウ寮はマッチョな感じである。ここ、魔法学園では……?


 入場テーマソングが流れる中、それぞれの寮が決められた位置に降り立つ。

 

 円形の会場には、既にお客さんがいっぱい入っている。生徒からの招待券を持っている人は庶民でも貴族でも、前方の応援エリアに座れるようだ。後ろは一般のお客さん。

 あ、もちろん、招待券がない貴族用の貴族席もありますよ。トラブルになるのでね!


 なんだかワクワクしてきた!!!


「レディースアンドジェントルメーン! ようこそ魔法学園の寮対抗戦へ! 僕は司会と実況を務めるエム!」

「わたしはシーよ!」

「僕、今年の対抗戦は特に楽しみにしていたんだ」

「あら、わたしもよ?」

「でもサプライズは後にしておこうかな。まずは、開会の挨拶を、学園長から!」


 司会のエムさんとシーさんに紹介された、チャーリー学園長が出てきた。なんだか久々に見る顔だ。


「えー。対抗戦を始める。正々堂々とな。軽い怪我ならいいが、大怪我はしないように気をつけること。ま、あとは楽しめ!」


 相変わらず軽い挨拶だが、長ったらしいのより良いよね?


「次は、なんと陛下からのご挨拶!」

「「「わぁぁぁぁー!」」」


 アイドルみたいな盛り上がりである。

 出てきた王様は、イケオジであった。ルイスやオーランドの面影が少しある。


「学生諸君。将来有望な若者達の才能をとことん見せつけてくれ。我が国の未来を担う君達の活躍を期待しているぞ。

 そうそう。今年から、私の息子達も学院生だ。彼らの活躍にも期待していてくれ」


 ニヤリと笑ってこちらを見つめる陛下の視線を受け、ルイスとオーランドがピッと背筋を伸ばす。


「おっと、言い忘れていたが、私の姪も今年から学生だと聞いている。皆も知っているだろう、あの桜姫の娘だ」


 陛下がそう言った途端、会場が湧き上がった。

「桜姫の娘!?」

「やはり髪の毛は桜色なのか!?」

「どの子だ? どの子だ?」


 カメラがピンクの髪の毛の女の子達をアップで映し出す。映った子達は慌てて、違う違う、わたしじゃないわ! というアピールをしているのに、一人だけ、ふふんと偉そうにしている子がいた。


「あっ、歴史地理の初級クラスにいるピンクちゃんだ」

「ボク、あの子だったら嫌だなあ。性格悪いんだもん」

「平民嫌いだもんねぇ」


 こそこそとおしゃべりをしていると、ルイスがぶつぶつ呟いているのが聞こえてきた。

「あの子が桜姫の娘? なんかイメージと違うなあ。っていうか娘が入学しているなんて聞いてないし!」

「大丈夫、あの子は違うと思うわよ」

 クリスがすかさず反論する。


 クリスはそう言うが、ピンクちゃんはカメラにニコニコ、手を振っている。おおう。


「さて。実は今日、わたしの妹である桜姫が娘の応援に駆けつける予定だ。本当は既に着いてるはずだったんだがな、遅れているようだ……」


 陛下が話している最中、突然、競技場に大きな影がかかった。

「キャー!」

「ドラゴン!?」

「ドラゴンだわ!!!」

「逃げ……!」

「いや待って、ピンクのドラゴンだわ」

「と言うことは……?」


 会場も生徒側も、大騒ぎである。初めて見るドラゴンは、とっても大きい。

 従魔達も大興奮だ。

「おおーかっけぇー! 俺もドラゴン形態をとらねば!」

「大きいにゃぁ〜」

「むむ、この魔力……なんだか覚えが……」

 ライくんはドラゴン型になった。可愛い。よしよし。

 

 ドラゴンさんは、競技場をぐるっと旋回してから、ゆっくりと降りてきた。

「おお、遅れていたが、たった今到着したようだ。わたしの妹、桜姫ことローゼマリーだ。それにしても、母親になっても落ち着きが足りないようだな……」

 

 陛下、お疲れのようである。

 桜姫さん、いくらアイドル的に大人気だからって、陛下の挨拶中に乱入してくるとは。しかも直接ドラゴンで乗り付けるなんて自由な人だなあ〜。


 一体どんな人なんだろ!

 ドラゴン着陸時に立った砂埃が収まってきた。


「ミア、気を確かにね」

「クリス? どういうこと?」


 疑問でいっぱいだが、ドラゴンの上をじっと見つめる。男の人と女の人、そして小さな子どもが見える。

 あれ? なんか、うちの家族と色合いが一緒だなあ。黄緑の髪の男の人、ピンク髪の女の人、青髪の子ども。


 あれ? あれれ?

 もしかしなくても、あれって、わたしの家族なのでは? 父さんと母さんと、弟のケビンだ。ドラゴンの上に。


 ポカーンと口が開いたままのわたしにクロちゃんが言う。

『やはりな、あのドラゴンからは主の母上の魔力がしたからな』

「え? やっぱり? あれって母さんなの?」


 クロちゃんに話しかけたつもりだったが、周りがこちらを振り向いた。

「ミア、どう言うこと?」

 ルイスの食いつきがすごい。


「いや、あそこにいるの、うちの家族に似てるなあと思って……。似てるっていうか、多分、本物? え? 桜姫?」


 ポカーンとしていると、彼らはドラゴンからヒョイっとジャンプして降り立った。

「紹介しよう、我が妹である桜姫ことローゼマリー。そして彼女の夫である特級冒険者のルーカスだ」


 カメラで映された画面には、よお〜く見覚えのある三人の顔がバッチリ映っている。それから、なぜか今すぐにでも駆け寄りそうなピンクちゃんの映像も並べて映っていた。


 あれ? 娘ってわたしじゃなかったんだっけ? 








 

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