第62話 箒の練習・対抗戦の種目決定!
マオ寮は、対抗戦に向けて少しずつまとまりが出てきた。
さすが腹黒ルイスである。寮の個性的な先輩方も従わせることができるなんて、一体どんな技を使ったんだろう……!
とりあえず、先輩方を楽で人気な玉入れから引き剥がして、それぞれの得意種目に充てたらしい。
わたしも「従魔と挑む障害物競走」は決定だ! 我が家のライくんをお披露目するのだ〜!
もう一つの種目はまだ未定です。ルイスも色々と悩んでいるみたい。お任せしようっと。
さて、今日の実技の授業は……なんと……!
飛ぶ練習なのである。もう一度言うよ、飛ぶ練習!
しかも、箒にまたがって飛ぶんだって。これぞ魔法使い!って感じで憧れである。
意気揚々と授業に向かうと、みんなそれぞれ箒を持っていた。あれ? 全員貸し出しじゃないのか。
あれ? わたし、まずくない?
「ミア、あなたの箒は?」
「持ってくるって知らなかったよ〜どうしよ〜」
「ボクは学校のやつを借りたよ。今なら先生に言えば貸してくれると思う」
「ん〜。まって、もしかしたら鞄の中に母さんが入れておいてくれたかも」
魔法の鞄をごそごそとしてみる。
「ホウキ、ホウキ……。あ、あったかも!」
鞄から、ズズッと箒を取り出した。
「…………。な、なんか、わたしの箒、派手じゃない?」
「え、ええ、そうね。なんだか、ピカピカしてるわ」
なんだか謎の小さな魔石がいくつも箒の柄をぐるぐると螺旋状に嵌め込まれていて、流れ星みたいで綺麗だ。綺麗なんだけど……派手!
「ど、どうしよ。わたしも学校のやつ借りたほうがいいかなあ?」
「でも箒には癖があるから、なるべく自分のものを使ったほうがいいのよ」
「ミア、大丈夫。ボクの杖の変身よりは地味だから」
何が大丈夫かは分からないが、なんだか救われた気がしたのは確かである。ちょっと感覚が麻痺してきてるかも。
ま、派手だけど可愛いし、いっか! 魔女っ子だ!
箒に乗る練習はとても面白い。箒にも気持ちというか意思があるみたいで、動きが生物っぽいのだ。箒なのに。
動物っぽいのなら、なでなでしておこうと思って、撫でたりしていたら、なんだか懐かれてしまった。箒に。
箒から振り落とされる生徒が続出する中、わたしはスイスイっと乗りこなすことができたのだ! これなら猫魔女の宅配便アルバイトも出来そうだ。
「ミア、初めてでしょう? どうしてそんなに上手なの?」
「そうだよ〜ボク、振り落とされてばっかり!」
話をしていると、すぐ横をヴィーちゃんが超速球で抜けていった。「ひぇー止まらないよー!」と叫び声が聞こえる。
「なんだか箒も生き物みたいな気がしてきて、話しかけたり、撫でたりしてたら仲良くなれたの!」
「へぇ〜なるほどね。さすがミアって感じね」
「ボクもやってみよう」
箒に向かって話しかけたり撫で撫でしてみる怪しい集団が出来上がった。
「ついでに名前もつけちゃおうっと。ん〜。流れ星みたいだから……リューセイ? メテオ? シューティングスター……。シューちゃん! よし、君は『シューちゃん』だよ!」
そう言った途端、箒についている魔石がピカッと光った。
おおっ!? なんだか分からないがカッコイイ。
「もう一度練習してみよう。行くよ、シューちゃん!」
声かけにピカッと光って応えてくれる。
フワッと飛び上がり、練習場をぐるりと回る。スピードを出してみたり、ぐねぐねしたり、急停止に急降下、急上昇、どれも完璧である。
ちなみに、箒の先にはライくんがくるりと巻きついているんだけれど、スリル満点な飛び方が気に入ったらしい。
『うおおおおおおーおーいえー!』
と叫びっぱなしだ。
クロちゃんはわたしの横を並行するように飛んでいる。
『むむ、シューちゃんとやら、なかなかやるな』
と、ちょっと心を通わせている。
地面に降りると、ルイスがニコニコ近づいてきた。
「ミア、君の対抗戦の、もう一つの種目はリレーで決まりだよ」
「リレー?」
「そう。箒で飛んでバトンをつなぐ種目があるんだ」
「ふうーん。そっか、分かった! それでイイよ!」
リレーかあー。前世でも運動会でよくあったよね。ドキドキハラハラだね。バトンを落とさないようにしなくっちゃ。
「ミア、リレーなんてすごいじゃない!」
「え? すごいの?」
「そうよ。リレーは寮対抗戦の最後の種目、華型よ」
「えっ!? そんなの知らなかったよ〜。そう言われると緊張しちゃうな」
「でもまあ、さっきの飛び方を見てたら、ルイスが決めたくなるのも分かるわ。あなたすごい飛び方してたわよ」
「ヘヘッ、そう?」
「まあ、わたし達の寮の代表だからね、頑張ってよね!」
「うん!」
そうとなったら練習頑張らなくっちゃね!
実技の時間いっぱい、練習場をぐるぐると飛び回って気合十分である。逆さ飛行に、ジグザグ飛行!
叫ぶスライムとネコフクロウと飛び回っている姿をクラスのみんながポカンとした顔で見ているのをミアは知らないのであった。




