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第61話 猫カフェ

 猫カフェを前にして、ドキドキしてきた。

「クロちゃん、ライくん、準備はいい?」

『ちえっ、ミアねーちゃん、浮気かよう〜』

『我の方がもふもふなのに……』

 従魔達がスネているが、しょうがない。だって、目の前に猫カフェがあるのだから!


 今だって、たくさんの出窓からキラリと光るお目目がたくさん見えるのだ。

 まずはガラスの扉を一つ開けてお店に入る。ここは猫エリアではないようだ。

「いらっしゃいませ」

「こ、こんにちは!」

 受付には猫耳の可愛いお姉さんがいる。


「お一人様ですか?」

「は、はい! あ、あと、スライムとネコフクロウの従魔もいるんですが一緒に入店できますか?」

「う〜ん、そうですねぇ。うちの店は基本的に、猫系統の従魔なら大丈夫なのですが……。ネコフクロウに、ネコミミスライム……。か、かわいいですね……。この二匹は猫とも仲良くできますか?」

「もちろんです! ね、クロちゃん、ライくん?」

 片翼を挙げるクロちゃんと、触手を伸ばして手を挙げるライくん。


「か、かわいいです! 合格ぅ!」

 手がワキワキしているお姉さんの手に『ちょっとサービスだぜぇ』と言って、ポヨンと飛び乗るライくん。

 お姉さんは「ほわあああああ」と言いながら、もちもちボディを堪能している。

 いつの間に、スライムホストみたいな技を身につけたんだろう、ライくん。


「はっ! お客様をご案内しなくては。うちのお店は初めてですよね?」

「はい!」

「最初に料金をいただきます。飲み物一杯付きです。飲み物は冷たいものだけで、このタンブラーに入れてお渡しします。万が一、猫ちゃんがカップを倒したときのための保険みたいなものですね」

 ちなみに九十分で、前世換算だと二千円くらいだ。これが高いのか安いのか……。前世ではアレルギーで猫カフェには行けなかったので、よくわからない。

 飲み物は、アイスティーにしてもらった。この紅茶、香りが良くて美味しい! 


「さて、ではお客様、準備はいいですか? 猫ちゃんたちとの時間を楽しんでくださいね」

「はい!」

 二重扉を抜けて、猫部屋に入る。ふわぁぁー。猫がいっぱいいる!


 猫カフェは部屋の中に大きな木があって、見上げると、猫のなる木みたいになっている。

 人間と遊びたくない時は、ここに避難するのかな?


 とりあえず、部屋の隅っこに陣取る。ドキドキ。

 あちこちに、猫のおもちゃが転がっているので、猫じゃらしを手に取る。

「……クロちゃん、ライくん。君たちが猫じゃらしに群がってどうするのさー!」

『こ、こう抗えない衝動が我を襲うのだ……』


 しょうがないので、従魔達の相手をしていたら、他の猫達も興味が出たのか、じりじりと寄ってきた。


 猫じゃらしを左から右へぶんっ。右から左へぶんっ。

 たくさんの目がこちらを見ている。可愛いけど、ちょっとこわいぞ。


 ドキドキしながら猫じゃらしで遊んでいると、猫に囲まれてしまった。キャー! 撫で撫でしたいんですけど、猫じゃらしやめてもいいかしら? 

 猫じゃらしを横に置くと、残念そうな顔をされた。ご、ごめん……。


 撫でたり、嫌がられたり、逃げられたり、でも寄ってこられたり、てんやわんやである。黒い猫マントが毛だらけだ。マント、脱いでくればよかった。あとでライくんコロコロしなくては。


 割とエネルギーを持っていかれて放心状態になっていたところ、「今からおやつタイムで〜す」というお姉さんの声が聞こえた。

 木の上の猫達も、わらわらと降りてきた。


『おやつ!?』

 と、うちの従魔達も参戦の気合いが入っている。 


 従業員出入口からおやつを持って入ってきたスタッフさんに、群がる猫達。とスライムとネコフクロウ。

「ちょっとお前ら、落ち着けって。あれ? スライム? ネコフクロウ?」


 そう猫達に声をかける声に聞き覚えがあるなあと思って猫に埋もれている顔をよく見ると、チャーリーだった。


「あれ!? チャーリーじゃない?」

「ミアか?」


 おしゃべりしたいけれど、飢えた猫達が先だ。

「とりあえず、これミアの分な、猫達にあげてくれ」


 そう言って、おやつを渡された途端に、こちらにも猫達が雪崩れ込んできた。猫猫猫猫! 天国のようであり、地獄のようでもある。

 キャァー猫パンチを繰り出さないでぇー。アグレッシブだ。


 せっせと、猫様達におやつを配分する下僕の気分である。しかし幸せだな〜。前世ではアレルギーで猫様に仕えることができなかったからね。


 一通りおやつタイムを追え、満足した猫達の一部はまた木に戻って行った。でも大多数が、おやつがなくともチャーリーにまとわりついている。


「オーナーが、ミアと知り合いならここで休憩してもいいって言ってくれたから混ざってもいいか?」

「うん! もちろんだよ! というかチャーリーに会いに街に出てきたんだよ。途中で猫カフェを見つけて寄り道してたんだけど、会えてよかったよ。アルバイト?」

「そうなんだ、今お世話になっている宿の夫婦の紹介で、手伝わせてもらってる」

「そっかあ、良い場所が見つかってよかったねぇ」

「おう!」

 ニコニコ笑顔のチャーリーを見てホッとする。


「聞いてると思うけど、ミア達が帰ったあと、偉い人がいっぱいきて、宿屋に移されたんだ。今は孤児院は改装中だ。全部、ミアのおかげだ。ありがとな」

「そんなことないよ、チャーリーがわたしに声をかけてくれたからだよ! あとは、黒猫ノワールのお導きかな?」


 そのあとも、たわいのないことをお喋りして、手元には猫とスライムとフクロウでモフモフを堪能して、とても楽しい時間を過ごせたので満足して魔法学園へ帰ったのでした。


 あっ、もう一つのチーズ屋さん行くの忘れちゃった。また今度にしよっと。


 


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