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第60話 高級チーズ屋さん

「ついたよ、ここが僕のお店」

「うっわぁ! 素敵なお店ですねぇ!」


 白い壁に、ガラス張りの素敵なお店だ。麻布とかにありそう。麻布、行ったことないけどイメージです。


 チーズが所狭しと並んでいる。ワクワクが止まらない。

 前世から、グルメストアは大好きなのだ。デパ地下も、ディーン&デルーカも、成城石井も好き。庶民派カルディも、もちろん大好き。とりあえず、珍しい食品を見ると猛烈にテンションが上がるタイプなのである。


「食べたいもの、全部試食だすからね」

「わあい、ありがとうございます! あれもこれも素敵すぎて、どれがいいか分かりません!」

「じゃあ、僕のお勧めをいくつかだすね。癖の強いのは平気?」

「はい!」

 あ、でもこの身体では大丈夫かな? コーヒーはすっごく苦く感じたけど。


 チーズを待ってる間、お店の中をグルグル回る。ライくんがとても興味深そうに、ミョーンとのびながら覗いている。溶けるチーズみたい。


「はい、お待たせ」

 チーズをカットしてくれたチーズが並んだプレートが出てきた。試食用なのに大きい!


「これはモッツァレラチーズ、それにブリーチーズと、ゴルゴンゾーラ、あとは魔ヤギのゴートチーズだよ。とりあえず有名どころを揃えてみた」

「おおー! いただきます!」


 まずはモッツァレラから。モグモグ。さっぱりしてるのに濃厚でおいしい。トマトとバジルとカプレーゼにしたい。一切れが大きいので、ライくんとクロちゃんにもあげる。この子たち、グルメだし。

『おお〜うまいな、やっぱり高いチーズは違うな』

『我もこれ、好きだぞ』


 次はブリーチーズ。中はとろっ、外はカビっのちょっと癖のあるチーズです。ああ〜これもおいしい。蜂蜜とくるみをかけて焼きたい!

 バッグから蜂蜜を出して、ちょびっとつけて食べる。んーやっぱりおいしい! ライくんとクロちゃんにも好評です。


 それからゴルゴンゾーラ。この癖のある香りがなんとも言えないね。こ、これも好き! ゴルゴンゾーラも蜂蜜と合わせよう。うう。うまい……。

『この癖がなんともいえないぜ』

『うっ、我はこれ、苦手かも……』


 最後に、魔ヤギのゴートチーズ。うわぁ〜濃厚! これが魔ヤギの威力……! やっぱりゴートチーズにはジャムかな? ああ、本当はイチジクのジャムかアプリコットのジャムを合わせたいところだけど、林檎ジャムしかないや……。林檎ジャムでもいいか。

『おおっ、これは……美味いぜ。ミア姉ちゃん、どれもこれも美味しすぎ!』

『むっ、我はこの匂いも苦手……でも、一口食べてみるか。ん? 意外といける……?』


「店主さん、どれもこれも美味しすぎです!」

「ありがとう。君も、チーズの食べ方慣れてるね。どんどん蜂蜜やらジャムが出てくるから、僕びっくりしちゃった。そう言う食べ方もあるんだなあって勉強になったよ」

「最後のゴートチーズは、たぶんイチジクのジャムかアプリコットのジャムがすごく合うと思います! 今日は林檎ジャムしか持ってなかったから……。それにしても魔ヤギ! さすが魔物素材はすごいですね」

「そうだろう、そうだろう? そのまま飲んでもおいしい魔ヤギのゴートミルクをチーズにしちゃったんだからね」


 ところで、チーズ屋と言えば、わたしのお気に入りのチーズがあるのだ。キョロキョロと探してみる。

「何か探し物かい?」

「パルミジャーノレッジャーノっていうチーズ、ありますか?」

 イタリアチーズの王様と言われるパルミジャーノ。あ、パルメザンチーズではないですよ。あれはあれでパスタに山盛りかけると最高なんですけどね。


「おお、もちろんあるよ。すごいね。君、どこかの有名貴族のお忍びだったりしないよね?」

「いや、わたしは田舎育ちの平民ですよ!」


 普通の田舎の平民がこんなにチーズに詳しいってことある……? とぶつぶつ言いながらパルミジャーノレッジャーノを試食にとってくれた。

「これはね、すごいよ。魔牛のミルクで作った、三年熟成ものだよ」

 高級なのか、試食サイズはさっきより小さめだ。クロちゃんとライくんと、ちょびっとずつ食べる。

 まず香りに、口の中に入れたときの旨味がもう! 最高!


『ミア姉ちゃん、ミア姉ちゃん、これ、あの大きい塊全部買って!』

『これは美味だな……。我もこれは大好きだ』


「これ、本当に美味しいですね……!」

「そうだろう、そうだろう? 魔牛のパルミジャーノレッジャーノは、なかなか手に入らない品物だからね。君ラッキーだよ」


「今日試食したチーズ、全種類くださいな!」

「えっ!? 全種類!? 結構高いよ?」

「お金ならたぶん大丈夫です! パルミジャーノは多めにしてください」


 なんだかんだ、前世換算で十万円分くらいのチーズを買ってしまった。わたしに大金を持たせた母さんが悪い。そういうことにしておこう。

 これでもちょびっと割引してくれたらしい。お礼に、実家の林檎ジャムをお裾分けしておきました。


「ところで、一般市民街の普通のチーズ屋さんでオススメはありますか? こう、ピザとかグラタンにたっぷり載せて焼いたりする感じのチーズも欲しくて」

「それなら、この店がオススメだよ」

 そう言って、ショップカードを渡してくれた。このショップカード、裏表があって、片面は今いるお店、もう片面は一般市民街のお店だ。


「実は僕の弟のお店なんだ。この大通りを市場方面に歩いて二十分くらいいくと、市場の一歩手前にあるから」

「わかりました! ありがとうございます!」

「僕こそ、突然誘ったのに、こんなに買ってくれて、ジャムまでありがとね」


 王都にくるといつも食材ばっかり買っちゃうなあと思いながらも、お洒落な街をトコトコ歩いていく。

 どの店も素敵すぎて目移りしちゃうなあ。オープンカフェ素敵だなあ……。


 キョロキョロと歩いていると、素敵な看板が見えて、ピタリと足が止まってしまった。

 「猫カフェ」という看板だ。ね、猫カフェ……!?

 ごめんチャーリー。今日はもう会いに行けないかもしれない。心の中でチャーリーに謝る。


 いざ、この世の楽園へ……!

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