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第58話 テイマーの授業「魔物と仲良くなろう!」

 週末はひたすらまったりと読書をしながら過ごした。

 借りていた本、「モフモフパラダイス」は最高でした。わたしもモフモフを集めて北海道にあるみたいな動物パラダイス、「ミア王国」を作ろうと思います。グフフ。

 

 あっという間に週末も終わって、また平日がやってきた。

 朝のホームルームで、ピーター先生がやってきて「寮対抗戦が一ヶ月後に行われるから、寮で、出場種目を話し合っておけ」と言っていた。


 テイマーの授業が始まる前に、クリスにあれこれと寮対抗戦について聞いてみる。


「寮対抗戦は、魔法実技の大会よ。普通に武闘大会もあるし、ホウキに乗って空を飛ぶレースもあるわ。とにかくいろいろな種目があるのよ。一人二種目は出なくちゃいけないのよ」

「へぇ〜。マオ寮は強いかなあ?」

「普段は、マオ寮以外の三領が優勝争いをしているわ。ほら、マオ寮って、多分個人の能力は結構高いのだけど、団結力がないじゃない?」

「ああ……」

「でも今年は殿下達がいるから、もしかしたら違うかもしれないわよ?」

 うーん。クラスでのルイスやオーランドはちゃんと「王子」をしているが、寮ではすっかり気を抜いて生活しているからな……。


「対抗戦には陛下もいらっしゃるみたいだから、手を抜いたりはしないと思うけど」

「へぇ〜。王様って初めて見る!」

「何? 父上がどうしたの?」

 ルイスが話に入ってきた。


「寮対抗戦の話をしていたんだよ。王様がいらっしゃるって聞いたの」

「ああ、そうみたいだね。でもね! 今年はもっとすごいゲストが来るんだよ! なんと、桜姫! 僕は叔母様に良いところを見せたいからね、ビシバシ行くよ」

「桜姫って、あの儚い見た目だけどドラゴンを従魔にしてるっていう、ルイスの叔母さん?」

「そうなんだ。城に飾ってある肖像画は見たことがあるけどね。実際にお会いしたことはないんだ。楽しみだな〜」

 ルイスがこの調子だと、さすがに普段まとまらないマオ寮も一致団結しなくてはいけないのかもしれない。


 みんなでおしゃべりをしていると、ピーター先生がやってきた。

「寮対抗戦の話をしていたのか?」

「そうです!」

「種目には、従魔と協力する障害物競争もあるぞ。あんまり人気が無い種目だがな」

「えっ! わたし、それに出たいです!」

「お前の従魔、ネコフクロウとスライムだろ? 障害物競走向きじゃ無いんじゃないか?」

「ええっ!?」

『俺様、万能スライムだから任せろってー!』

 ポヨポヨとライくんが、やる気だ。


「ま、まあ、大事なのは従魔との絆だからな。意外とスライムでもいけるかもしれん」

「絆なら間違いありません!」

『我は障害があると羽が引っかかるのだ……』


 悲しそうなクロちゃんを慰めつつ、よし! とやる気になっているわたしを、みんなは温かい目で見ていた。


「よーし、じゃあ授業を始めるぞー。今日の授業は『厩舎の魔物達と仲良くなろう』がテーマだぞ。飼い慣らされてる魔物で、まずは魔物について理解するところからだ。野生のテイムはもっと後だぞ。

 あっ、もちろん掃除もするからな。お前ら掃除速いから、先に掃除しても良いぞ」


 ハムスター、牛、虎、ウサギ、ヘビ、馬、羊、鶏、柴犬、猪の魔物バージョン達が厩舎から解き放たれて、野原に駆けて行った。


「まずは掃除しちゃおうぜ」

「そうだな、そうしよう」

 前回、掃除を学んでハマっているらしい男子陣が乗り気である。わたし達も負けないわ!


「マジカルミアミア、ニャーニャー!」

 私の手には猫ヘッドの魔法の杖!


「ニャーニャーパワー! メークアップ!」

 ヒマリは可愛すぎの魔法少女!


「「ウィンド!」」

「「「ウォーター!」」」

 競うように掃除をしていたら、あっという間に綺麗になりました。


「あっ、覚えたての魔法も試してみたいなあ」

「あ、この前読んでた生活魔法の本?」

「そう!『モップ魔法』っていうの」


「モップップ!」

 ふざけた呪文だが、本に書いてあったのだからしょうがない。


「ニャップップ!」

 ネコ型のモップが謎の掛け声と共に出てきてスイスイ〜と、厩舎の中を掃除し始めた。

「「「……」」」


「なんていうか、ミアの魔法って感じね。すごいのはすごいんだけど、なんか気が抜けるわね」

「うん……わたしの魔法ってなんでネコ型なんだろね?」

「でもボクは可愛いから良いと思う」

「そ、そうだよね……!?」


 掃除の後は、魔物さん達と触れ合いタイムだ。

仲良くなるには「一緒に遊ぶ、餌付け、ブラッシング」が重要とのことなので、まずは一緒に遊ぶことにした。

 

 ヒマリは虎さんとジャレ合っている。爪が……! 爪が怖いですわ……! でも本人と虎さんの中は深まるばかりです。


 他の子達に目を向ける。誰なら遊んでくれるかなあ。馬さんに目を向ける。田舎育ち、乗馬はお手の物だ。

 こちらを見てちょっと面倒臭そうな顔をした馬さん。表情豊かである。

「あの〜、お馬さん、まずは人参をどうぞ。お近づきの印です」

 実家の人参を出す。ふんふんと訝しげに匂いを嗅いでいたが、一口かじっておいしさに驚いたらしく、目を見開いた。

「うんうん。それ美味しいでしょう! ふふふ。実家の人参ですからね。背中に乗っけてくれたら、また人参あげますよ」


 そう言うと、どうぞどうぞ! と言っているような気がしたのでライくんにお願いして、馬の鞍になってもらう。

「なんか上に乗るなんて悪いんだけど、ライくんできる?」

『俺様にできないことはないぜ!』

 あっという間に馬にへばりついて鞍の形になり、さらに触手を使って高い馬の背にわたしを引き上げてくれた。


「おおー。ライくんって力持ちなのね」

『ミア姉ちゃんなら軽いぜ』


 この魔馬のお馬さんはとっても速く駆けれるのでビュンビュンと走り回っていたら、走りたがりの魔物達が一緒に駆け出した。

 隣には楽しそうに羽ばたくネコフクロウ。お尻の下にはスライム。

 いつの間にか手懐けた気難しい魔馬、それを追いかける魔物達。


 見ていたもの達はこう言う。

「魔物の姫のようだった」と。



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