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第57話 週末のんびり。生活魔法の練習。

 翌日、クリス達と寮の食堂でブランチを食べていたところ、ルイス達に話しかけられた。

「ここ、座ってもいいかな?」

「もちろん」

「ええ、大丈夫よ」


 何か進展があったのかな?

「昨晩、孤児院のお金を横領していたカーネ伯爵とその仲間達を捕まえたらしい」

「えっ、もう!?」

「僕たちが最初の報告をした時点で準備を進めていたからね。というか、王宮も色々と元々探っていたんだけれど、今回の横領が決め手になった、というわけ」

「おかげで僕を勝手に旗頭にしていた第二王子派の悪い奴らも、芋づる式に捕まえることができたみたいだし」


 なんだかオーランドはとても嬉しそうだ。

「これで王太子はルイスにほぼ決まりですのね」

「そうだね、だから、僕はようやく兄さんと堂々と仲良くできるんだ! 僕はちゃんと補佐を頑張るからね」

「あ〜、ありがとな。俺は別にオーランドが王太子でも良かったんだけどな」

「僕がよくないよ!」

 貴族や王族は大変だなあと思いながら、モグモグとブランチを食べる。このオムレツ、卵のとろっと加減が絶妙で美味しいのだ。むぐむぐ。


「悪い奴らは捕まったので、今日からは孤児院の保護に入るそうです。昨日の僕らの報告から、院も建て直すことに決まったみたいです」

「そっかあ。良かった。床に穴が開きそうでドキドキだったからね。あれ? でもその間、みんなはどこに住むの?」

「街の宿屋を貸し切ったそうですよ。ちゃんと子どもに優しい家庭的な宿です」

「それなら良かった。あとで場所を教えてね」

「もちろん」


 本当に偶然だったけれど、チャーリー達の孤児院が救われて良かったなあと思う。


 ブランチの後は、皆と別れて図書館へ向かうことにした。図書館は大好きなんだけれど、あんまり来れてなかったからね。

 あっ。以前借りた、「覚えて損なし生活魔法」と、「モフモフパラダイス」の本、全然読んでなかった!

 図書館に行く前に読んじゃおう、ということで図書館の近くにある大きな木の下にピクニックシートを敷いて。

 本を出して。紅茶も淹れて、チョコレートも用意して完璧だ。風がそよそよ、木漏れ日が気持ちいい。


「さてさて、『覚えて損なし生活魔法』から読もうかな?」

『俺もミア姉ちゃんと読もうっと』

『我も読むぞ』

 しょうがないのであぐらをかいて、足の上に二匹を載せ、本を読むことにする。本の手前にピョコピョコした猫耳が二対。可愛い。


 出てくる魔法を、片っ端から試してみる。掃除機魔法に、モップ魔法、窓磨き魔法……。平民な上に、前世の記憶もあるからか、どの魔法もイメージが簡単でわたしには習得が簡単見たいだ。

 お皿洗い魔法は「ウォッシュ」かぁ。


 変わり種としては、料理の時に使える「炙り魔法」かな? 

 これで、魚を炙ったり、クレームブリュレが作れるじゃないですか!


 後は、美味しい氷を作る魔法もある。真四角や丸い透き通った氷ができた。これは……ウイスキーをロックで飲みたくなる氷ですな。

 とは言え、今は未成年。紅茶を濃い目に挿れて、アイスティーを作る。


 アイスティーもなかなか奥が深いのだ。塩梅を間違えると、クリームダウン現象という濁ったアイスティーになってしまうのです。


 せっかくだから、二層のセパレートティーにしようと思い立ち、グレープフルーツジュースを取り出す。

 アイスティーを思いっきり甘くして最初にグラスに流し込み、その上にストローを伝わせてグレープフルーツジュースをゆっくり入れると、混ざらずに二層になるのです!

 可愛い!


『おお〜ミア姉ちゃんすっげ〜。おっしゃれ〜』

『我もストローが使えれば飲めるのに……』


 クロちゃんは猫顔のフクロウなので、飲み物は猫のようにチャピチャピと舐める式なのだ。


「これ、一人で楽しむにはちょっともったいないよね? 誰か通りかからないかなぁ」

 そう思ってキョロキョロしていると、ちょうど向こうにルイスが通りかかった。んールイスか……。ルイスかー。寮の外で仲良くしているのを見られると貴族の方達が怖いんだよなあ……。声をかけるべきか悩んでいたところ、向こうからやってきた。


「ミア? 何してるの、こんなところで?」

「読書をしててね、この『覚えて損なし生活魔法』を試しているところなの」

「生活魔法? 面白そうだね」

「でしょう? 色々出来るようになったよ! それでね、美味しい氷を作る魔法があったから、ついでにアイスティーを作って、更にセパレートティーにしてみたの! せっかく可愛くできたから、誰かに飲んでもらおうと思ってキョロキョロしてたらルイスが来たってわけ」

「それじゃあ、僕が飲んでいいわけ?」

「うん。まあ、いいんだけど、人に見られると面倒だから長居しないでよねっ」


 僕のことを、こんなに邪険に扱うのはミアくらいだよ、と笑いながらルイスはセパレートティーを手にする。

「これって混ぜて飲むの?」

「それはお好みかなあ? わたしは混ぜないで、ちょっとアイスティー、ちょっとジュース、って飲むのが好きだけど、混ぜちゃう人もいる!」

 ルイスは色々と試した結果、境目のところにストローを持ってきて飲むことにしたようだ。


「これ美味しいねえ!」

「そうでしょう〜! この氷も良い氷なのよ。アイスティーに良い氷はつきものだからね」


 さっ、飲んだら行ってよね、とルイスを追い出した。

『ミア姉ちゃん不敬って言葉知ってる?』

「ル、ルイスは大丈夫だよ……、大丈夫だよね?」


 よく考えたら、ルイスは王子様だったわ。ライくんをぽよぽよしながら考える。ま、良いか。


 寝転がってぼーっとしていると、なんだかチリっと嫌な気を感じた。前もあったよね?

「みんなも感じた?」

『おうよ』

『あっちの方からだな』

 シュッシュっとボクサーの真似をしながらポヨポヨしているライくん。


「ルイスのファンかなあ。面倒くさいから、今日のピクニックは終わり〜! 図書館に生活魔法の本を返したら、寮に戻ろう!」


 ライくんをポヨポヨして、クロちゃんをなでなでしたら嫌な気持ちもあっという間に吹っ飛んだよ!

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