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第55話 孤児院救出大作戦 その3

 あばら屋の様な孤児院に、恐る恐る入っていく貴族組。

「なあミア、俺、敬語とか使えないけど大丈夫か?」

 耳をペタンとさせながら、聞いてきたチャーリー。


「ここにいる人たちは、みんな気にしないと思うよ! ね、ルイス?」

「ええ、問題ありません。気にせず、いつも通り話してください」

 ホッとした表情のチャーリー。尻尾がユラユラ揺れてて可愛いぜ。


「院長が交代してから、一年と聞いていますが、一年でここまで老朽化しますか?」

「うーん。前から騙し騙し、ヤバいところから修理して住んでたからな。修理ができなくなった途端、あちこちにガタが来ているんだ」

「これはもう建て替えが必要かもしれませんね」

 メガネのイーサンの頭の中で色々と予算の計算がされている様だ。


 底が抜けそうで恐る恐る歩いていた廊下を抜け、食堂についた。他のちびっ子達は棚の影からこちらを見つめている。

「とりあえず、みんなお腹空いてると思うから、屋台のご飯持ってきたよ」

 食堂のテーブルに、あれこれと並べる。串焼きに、たこ焼き、ドーナツ……みんなそれぞれ魔法バックから出すので山盛りだ。


 突然広がる良い香りに、そろりそろりと、ちびっ子達が近づいて来る。警戒心の強い猫みたいだ。

「この人たちは、ミアの友達で、良い人だから大丈夫だぞ」

 チャーリーがそう言った途端、猫たち、いや子どもたちが駆けてきた。


「串焼き、喉に刺さらない様に気をつけて食べるんだよ〜。いっぱいあるからね!」

 一心不乱に食べる子どもたち。ここ数日は、わたしが置いて行った食材でお腹の調子も整えられたらしく、屋台飯もガンガン食べれる様です。


「チャーリーも、まずは腹ごしらえしてね。食べないと頭も動かないしさ! わたし達は、あっちの居間で待ってるから」

 そう言って、みんなを連れて居間に行く。居間に来たは良いものの、座るところがない。

「うーん。あっ、中庭で待とう」


 みんなを連れて中庭へ行き、ピクニックシートを敷く。

 このピクニックシートは魔道具で、微妙に浮かんでいるのでデコボコも気にならないし温度も適温に保ってくれるという優れものなのだ。蟻とかの虫も登ってこれない仕様になってます。


「やっぱりミアの魔道具はすげぇよなー」

「ええ、こんな浮かぶピクニックシートなんて他では見たことありませんわ」

「母さんが作ったんだと思うけど、そんなに珍しいのかなあ?」

「ほんと、ミアのお母様は何者なのかしら」

「えー。田舎に住む、ただの平民だと思うけどなあ」

「「それは無い」」


 みんなに突っ込まれながらも、ピクニックシートに案内する。靴は脱いでもらうよ。

 とりあえずお茶でも飲もうと思ってティーセットを出す。


「ピクニックだから、ティーカップとソーサーじゃなくてマグカップにしようかな。ここにお湯をお願いしま〜す」

「ホットウォーター!」

 自分の杖を出すのが面倒なのでお願いをする。


「ん〜。お茶菓子は、チャーリーが来てからにしようかな?」

 みんなでボーッと日向ぼっこをしながらみんな従魔をなでなで。この中庭には良い気が流れている気がするなあ。

 のんびりしていたところ、チャーリーが駆けてきた。


「ごめん、みんなお待たせ!」

「もっとゆっくり食べても良かったのに」

「でも待たせてると思うと落ち着かなくて」

「他の子達はまだ食べてる?」

「うん、まだまだ食べてる。ありがとな」

「じゃあ、チャーリーはこっちでお茶にしよっ。あ、靴を脱いで、このシートの上に上がってね」


 チャーリーにはわたしの横に座ってもらう。どこからか、ノワールもやって来て、チャーリーの膝の上に座った。

「あ、ノワールだ!」

 ノワールはこっちをチラリと見たけれど、チャーリーにべったりだ。


「ぐぬぬ……猫がボクに寄ってこないなんて、負けた気分」

 ネコ科ホイホイの虎娘、ヒマリはなんだか張り合ってる様だ。


「さて、では改めて紹介するね。こちらはチャーリー、この孤児院で一番年上、頼れる兄貴! で、あっちの二人が王子」

「おっ、王子!?」


「聖獣レオ様」

「せいじゅうっ!?」


「宰相の息子、元気な貴族少年」

「おい!?」


「宿屋の虎娘ヒマリ、魔法剣士なヴィーちゃん、ツンデレなクリス」

「ミア!?」


「こんな感じ。ねっ? これなら権力もバッチリでしょ〜? 悪徳貴族にも勝てるはずだよ」

「あわわわわ。ミアは平民って言ってたよな?」

「うん、そうだよ、わたしは田舎育ちの平民だよ」

「それなのに、友達がすごすぎないか?」

「まあね、わたしの人徳ってやつかな?」

 ぐふふ、と笑って見せる。


「実際のところ、なんか偶然が重なって仲良くなったって感じなんだけど」

「そんなミアと知り合えた俺らはラッキーだな」

「あの日は、ノワールを追いかけてたら、ここに来ちゃったんだよね」

 チャーリーの膝の上のノワールを見つめる。可愛い。触りたい、ウズウズ。でもリラックスしているので見るだけだ。


 ノワールをチラチラと見ながら、お茶菓子を用意する。今日はクッキーでいいかな。ピクニックだし、食べやすいもんね。

「お茶も入ったし、とりあえず食べながらお話しよう」

『ミアねーちゃん、俺らも食べるぞー!』

 ミョーンと伸びながら催促してくるライくん。


 結局、クッキーを山盛り出すことになった。チョコチップクッキー、ラズベリージャムクッキー、市松模様のアイスボックスクッキー、キャラメルが挟んであるクッキー、猫型クッキー、スライム型クッキー。いろんな種類がある。あれ? スライム型なんてあったかな?


「チャーリー、遠慮なくいっぱい食べてね。あとで食堂の子ども達にもあげるから、心配しなくて大丈夫だよ」

「それなら、もらうよ」


「じゃあ、孤児院救出大作戦の作戦会議を始めよう!」


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