第51話 女子会とモフモフ
寮のお部屋に戻ってきた。
『へへへ。レオの兄貴もいるなんて嬉しいぜ〜』
レオ様の上でポヨポヨしているライくん。すっかり懐いている。
テーブルの上に色々と作ったご飯を並べていく。
生春巻きに、グリーンカレーと、チキンサテ! ヌクチャムソースにピーナッツソースも忘れずにね。
飲み物はココナッツウォーターにしようかな?
「このココナッツの頭の部分、切り落としたいんだけど何かいい方法あるかなあ?」
「私が剣で切るっていうのはどうだ?」
ヴィーちゃんは立候補する。
「剣で切れるのかなあ?」
心配になりながらもお願いする。
ブンっとヴィーちゃんが剣を振ると、ココナッツがカーンと音を立てて飛んで行った。
そのまま壁にぶつかるかと思ったけれど、まさかのレオ様がジャンピングキャッチをきめてくれた。ブラボー!ブラボーーー!
「ふふふ……くふふふふふ……」
一連の流れがヒマリのツボに入ったらしく、笑いが抑えられないらしい。
「ココナッツはねえ、鉈で穴を開けるイメージだよねぇ。うちのお父さんがたまにやってたよ」
ヒマリは笑い終わったらしく、教えてくれる。
「やっぱりそうだよねぇ? うーん」
「これにストローが挿さるくらいの穴が開けばいいんだろ?」
悩んでいると、ココナッツを抱えたままのレオ様が聞いてきた。
「はい、そうなのです」
「ほれ」
そう言って、レオ様は爪をシャキーンと出して、トンっと穴を開けてくれた。
「えっ!?」
「こんなに硬いのに、いとも簡単に?」
「ま、俺は聖獣だからな。爪に身体強化を纏わせてやれば簡単だ」
『スッゲェー。レオの兄貴、やっぱりかっこいいぜ』
「ほら、もっと穴を開けるんだろ? こっちに寄越せ」
トン、トン、トンと全部穴を開けてくれた。
「レオ様が参加してくれてよかったぁ〜」
「聖獣を穴あけに使うミア……大物ね」
全部にストローを刺して出来上がり〜! 従魔用はお皿にあけてますよ。
さぁ、ご飯にしよう!と思ったら、ヴィーちゃんが部屋の隅っこで落ち込んでいるのが見えた。
「……自信あったのに」
「いつかココナッツをスパーンと切れるように、練習頑張ろう!」
「……! そうだな! そのためにも食べなくてはな!」
「それでは食べましょう〜!」
「「「いただきます!」」」
まずは生春巻きから。ぺりぺりと、ワックスペーパー風のスライムラップを剥く。
「生春巻きは、このソースにつけてくださいね〜」
「これは手で食べるのかしら?」
「うん、そうだね、ワシっと掴んじゃって」
「ウワァ〜これ美味しいね、ボク、初めて食べたけどすごい好き」
「これって、南東の国の食べ物に似てない? なんて言ったかしら……タイナム国?」
「タイナム国? 初めて聞いた!」
こっちにも、こういうのを食べる国があるんだなぁ〜。って、そりゃそうか、売ってるんだもん、食べるよねぇ。
「タイナム国は、南のほうにあるから一年ずっと暑い国なのよ。ミアは、タイナム国を知らなかったのね」
「うん。でもこういう味は食べたことがあったから、市場で材料を見かけて買ってみたんだ」
それからグリーンカレーもチキンサテも頂く。どっちもとっても美味しくできてました!
「辛い! 辛いけど、この香りの良い米と合う……! なんか癖になって食べるの止まらないぞ」
ヴィーちゃんはグリーンカレーがお気に召したようです。
「ボクは、このチキンサテが好きだなあ。このピーナッツソースが美味しい」
どれもみんなが喜んでくれて良かった!
従魔&聖獣テーブルの方も、とても盛り上がっていた。
ちなみに従魔の口に食べづらい形状の食べ物は(チキンサテの串とか)、全部ライくんがお世話しているみたいです。
触手がいっぱい忙しそうに動いている。
『これもうまいぞ。もっと食べろよ〜。串とってやるからな。生春巻きにもっとソースをかけて欲しい? オッケーオッケー』
ちょっと変だけど、出来るスライム、ライくんである。
このあとは、デザートたっぷりの女子会である。あっ、女子と聖獣と従魔の会だ。
ダイニングテーブルから、リビングに移る。リビングのテーブルは大きなローテーブル。ここにデザートと飲み物を、思いっきり広げる。
そして、わたしはカーペットの上に直接座っちゃう。大丈夫、寮の中はちゃんと土足厳禁にしてもらっているので問題ないのだ。冬になったらコタツを導入しよう。
ここでモフモフ達も集合!
みんな、それぞれの従魔を近くに呼んで、モッフモフしながらお菓子を食べるのです。
ちょっと動物達の毛が舞うけど……。まあ、しょうがないよね……!? わたし、今世ではアレルギーないから大丈夫よね!
お菓子をつまんで、ライくんとクロちゃんにもあげて、モフモフして、スライムに顔を埋めて、クロちゃんを撫で撫で。みんなでお喋りして……。ああ、楽しい!
しかしそこで、レオ様が、黙って黙々とお菓子を食べていることに気がついた。可愛いけど、寂しそう?女子会に困惑中? ライくんとクロちゃんと目配せをする。
「レオ様の方に行ってもいいですか?」
「お? ああ、テーブルのこっち側に食べたいものでもあるのか?」
「食べ物じゃなくて、レオ様が!」
「俺?」
「スライムブラッシングはいかがですか?」
「スライムブラッシング?」
そう言って、ライくんの一部を片手に近付く。ライくんは、結構自由に身体を切り離せるらしく、切り離した部分はスポンジやブラシがわりになるのです。
これを、私とクロちゃんの手に持ち、ライくんは本体で、レオ様に飛びかかる。
三方向からのスライムブラッシングです!
「ふわぁぁぁーモッフモフー! いい匂いまでするー!」
クンクン嗅ぎながらだけど、せっせと手は動いてます。いらない毛はスライムブラシの中に。さらに潤いを与えます。スライムマジック。
「おい、こら、嗅ぐな」
「いや、これは不可抗力ってやつです」
レオ様は諦めたのか、せっせとデザートを食べている。
モフモフに囲まれて、友達と楽しいお話をたくさんして、とっても楽しい時間を過ごしたのでした。
うん、やっぱりモフモフパラダイスの夢は諦めないぞー! おーっ!




