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第48話 孤児院調査の報告

 ルイスは給仕のメイドさん達に山盛りのクッキーやチョコレートを置かせてから人払いをした。


「では孤児院についての報告を行う」

 どこからか書類を出したイーサンが仕切る。おお。宰相の息子って感じ。でも、忘れがちだけど、わたしたち、実際は七歳である。

 ちょっと、おままごと感は否めないぜ。

 まあ、この世界は、地球の七歳児とはしっかり度が全く違うんだけれどもね!


「やはり、孤児院の予算は横領されていました。カーネ伯爵の部下が孤児院長に任命されていますが、どうやらカーネ伯爵に予算が流れているようです」

「カーネ伯爵は僕の、第二王子の陣営でも力が強い。このカーネ伯爵の勢いを削げば、第二王子陣営も勢いを弱めると思うし、そしたら城でもルイス兄さんと過ごせる……ふふふ」

 ブラコンはやる気を出している。


「まずは孤児院の現状を僕たちも見ておかなくてはいけないと思う。見聞を広げるために王都をお忍びで歩いていたら、たまたま辿り着いて、孤児院の現状を知ったということにする」

「普通の貴族の子供や、平民の子供の証言では握り潰されてしまいますからね……」

「そして孤児院の現状を陛下に訴えて、そこからは大人任せだ」

「まあ実際は、もうすでに陛下はご存知だけどね」


 ふんふん。とりあえず孤児院のみんなが助かるみたいで良かった。

「というわけでミア。今週末、僕たちは見聞を広げるための王都散策に行くからね?」

「うん。分かった! 護衛の人たちも来るの?」

「ああ。影の護衛に、民に扮した騎士も付いてくるよ。あとレオ様も」

「レオ様も……!? 嬉しい! あれ、でもレオ様いたらお忍びにならないんじゃ」

「ふふ、良い方法があるから大丈夫だよ」


 楽しみだなぁ〜。


 安心したら、デザートを食べる手がすすむ。チョコとクッキーが美味しいなあ。

「それにしても、この金の間のチョコもクッキーも美味しいねぇ。いつもの食堂のお菓子も美味しいけど、こっちは高級な味がするよ」

「ミア。そのチョコもクッキーも、一つ銀貨一枚ですよ」

 ひょえっ!? 千円くらいするの……!? バクバク食べていた。どこぞのショコラティエもビックリの価格である。


 チョコなんて、一つ一つ、それはもう芸術品かっていうくらい美しいのである。そして齧ると、中からとろろんと何かが出てくるので、これは何かな? あれは? と手が止まらない。


 猫カプチーノもお代わりしちゃう。

「おっ、このオレンジ色のチョコは栗とラズベリーが入ってるよ」

「こっちはピーナッツバターとバナナだ」

「これはラベンダーかしら」


 もう食べられない……というぐらい満足したところで次の授業の時間が近くなってきた。

「次の授業は調合だね」

「わたくしはお休みですわ」

「わたしとヒマリだけかな?」

「あ、僕達、三人もとってるよ。常に命の危険がある王族やその側近にとって、調合・調薬はとても大切だからね」

 王族もなかなか大変そうである。


 そうそう。金の間には秘密の出入口があった。ここから出入りすれば、他の貴族に見つからないらしい。

 三人より先に授業へと向かう。

「あ〜良かった。王子達といるところなんて見られたら、わたしとヒマリはお嬢様達から袋叩きだよね」

「うん……。ボクは平穏な学園生活を送りたいよ」


 調合の教室に着いた。どうやら高位貴族と、平民に人気のある授業らしい。教室の左の方に貴族が、右の方に平民が座っている。


 平民の方に向かうと地理歴史の初級授業のメンバーが全員いた。あ、もちろんピンクちゃん以外である。

「やっぱりお前らも、この授業とったのか」

「うん。やっぱり市井で暮らしている時に、調合の知識があったら便利だからね。うちなんて特に田舎だからさぁ」

「そうだよな〜、風邪とか怪我したときに使えるもんな」

「このクラスも平民ばかりだと思っていたけれど、高位貴族もたくさんいるんだな」

「あっちは、毒とかの危険があるからみたいだよ。自分で対処できるようになっておくんだって」

「うわぁ〜貴族も大変だな」


 そんな話をしているうちに、ルイスにオーランド、それからイーサンも来た。

 王子達の登場で教室がざわつく。


 そして彼らは教室を見渡したあと、真ん中に座った。貴族の方に座ると思っていたクラスの全員が驚いたけれど「これからよろしく」と貴族にも平民にも声をかける王子達によって、クラスの雰囲気はだいぶ良くなった。


 そこに先生が入ってきた。

「さあ、授業を始めるわよ。わたしが調合の授業を担当するメラニーよ」

 セクシーお姉さんがやってきた。

 黒づくめのぴったりとしたワンピースに、マント、とんがり帽子。年齢不詳、美魔女。


「あら、教室の雰囲気が例年より良いわね。真ん中に座っている殿下達のおかげかしら」

「そうだと嬉しいのですが。僕はこの学園では貴族も平民も関係なく切磋琢磨して学びたいですから」

「エライ! そうなのよ。お互い全く違う視点を持っているからね。育ってきた環境が違う人の考えを学べる良い場所なのよ、学園は。今年のクラスは良いクラスになりそうね」


 メラニー先生はニコリと笑って、「じゃあ教科書を配るわね」と言って、「調合初級」の本を配った。


 どんな授業なんだろう、楽しみだなあ!


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