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第46話 植物学の初授業

 次の日。朝ごはんをもりもり食べて、登校する。今日の授業は、まず植物学だ。ちなみに、植物学は中級である。ヒマリとヴィーちゃんが同じクラスだ。ついでにアンディーも。

 植物の種類は、旅の途中で冒険者ギルドに納品したものだけはわたしもヒマリも覚えているのです。


 先生が教室に入ってくる。植物学のトロン先生は「庭師のおじいちゃん」という感じの先生だった。


「皆さん、おはよう。わたしが植物学中級を担当する、トロンだ。まずは教科書を配るぞ」

 そう言って、ふわりと飛んでくる教科書。……教科書?

 ドーン!と机の上に載るそれは、植物辞典である。とっても分厚い。


「皆さんには、できれば薬草と毒草の部分はほぼ全て覚えて欲しいですな」

「えっ……!」「そんなに……?」


 クラスの中から不安そうな声が上がる。


「命に関わる部分ですからな、覚えておいて損はないですぞ」


 そう言われると、覚えるしかないよね……?


「まず見てもらうのは、この二つの草ですぞ。見た目はほぼ同じなのに、効果は真逆です。数セット持ってきたので、近くの人とよく観察してみなさい」


 草が飛んできたので、ヒマリとヴィーちゃん、アンディーと覗き込む。


「こうして比べてみるとすっごく似てるな」

「うん。でもこの葉っぱのギザギザしてるところが、ちょっと違うんだよ」

「あと葉脈の通り方も少し違う」

「間違えると大変」


「お、わたし以外はこの植物について知ってるのか?」

ヴィーちゃんが聞く。


「これね、旅の途中に集めて冒険者ギルドで売ろうとしたら混ざってて、結局ギルドの受付で仕分けしてもらったから買取価格が下がっちゃったんだよ〜!」

「悔しかったから、この後はちゃんと覚えたの」

「今じゃ、これは完璧だよな」


 そう言いながら、ヴィーちゃんに見分け方を細かく説明していく。


「次はこの薬草を覚えましょうか」


 ふわりと飛んできた薬草は、地球ではハーブとして扱われていたものたちだ。

「あ、これミアが料理で使うやつじゃない?」

「本当だ」


 気付くと、トロン先生が近くに来ていた。

「ふむ、ミアさんでしたかな? 君はこれを料理に使うのかね?」

「はい! このローズマリーは肉や魚に香りをつけて臭みを消すのに良いですし、タイムは何にでも使える香り付けかな。殺菌効果もあります。ディルはサラダにちょびっとかけたり、スモークサーモンに載せたりして食べると美味しいです」

「ほお」

「料理に薬草? って最初は思ったけれど、ミアの料理、美味いもんな」

「君は食べたことがあるのかね?」

「はい。魔法学園まで来る旅の間に、何度か」


 うんうん。なぜか料理を作っていると器を持ったアンディが近くにいたのよね。


「とても興味深いですな。確かに、毒草でなければ料理に使ってはいけない理由がないですからな。ただ、なんとなくもったいない気がするだけですな」

「料理に使うと言っても、ほんの少しで香りがつくので実際は高くつかないんですよ?」


 その後も、ひたすら植物を植物図鑑で調べながら覚える作業が続いた。

 授業の最後に紙が一枚ピラリと飛んできた。

「これが今日出した植物の一覧ですからな。来週までに完璧に覚えておくように。テストしますぞ」


 トロン先生、スパルタであった……。


「では授業終わり!」

 わ〜い、と皆が教室を出ていく中、トロン先生に近づく。


「先生!」

「お。なんですかな、ミアさん」

「これ、いくつか持ってたので、どうぞ」


 鞄から、ハーブを使った料理をいくつか出す。

「これがスモークサーモンとディルのサンドイッチ、ローズマリーのチキンロースト、ローズマリーのクッキー、ミントのサラダ……」

 あれこれ出していく。


「お、おお……! これはありがたい。ところでこの包み紙は何ですかな?」

「ああ、これはスライムラップって呼んでるんですけど、うちの従魔のスライムがラップしてくれたんです」

「スライムが……?」

「はい! これ、このまま食べても焼いても良い素材なので焼肉の下味をつけてる時に便利です。あっ、先生にこれもあげます。ローズマリーやタイム、いろんなハーブと漬け込んだお肉です。スライムラップに包んであるから、そのまま焼けます」

「おお……。ありがとう! 他の植物学の先生と一緒に食べてみますよ」


 ウキウキステップで先生は去っていった。

「ミアって、会う人会う人に食べ物あげてんのな」

「美味しいものは、みんなで食べたいからね!」

「俺にもローズマリーのクッキーくれ」

「えー、アンディーにはあげない!」

「なんでだよー!」

「ほら、次、選択授業の武術じゃないの? ヴィーちゃん、もう行ったよ」

「あっ、やべっ。置いていかれた。じゃあな!」


 アンディは走って去っていった。

「さて、わたしとヒマリは次は空き時間だね」

「そうだねぇ」


 特にやることもないので、テクテクと食堂方面に無意識に歩いていたところ、従魔達にレオ様を見つけた。

『おっ! ミア姉ちゃん!』

「ヤッホー。何してるの?」

『日向ぼっこだぜ』

 そう言うライくんは見事に溶けて広がってる。

「これ大丈夫なの?」

『おうよ、隅々まで太陽に当ててるんだぜ。ポカポカ良い匂いのスライムになっちゃうぜ、ミア姉ちゃんも一緒にどう?』


「そうだねぇ。せっかくだから、一緒に日向ぼっこしようかな」

 ピクニックシートを敷いて、寝転がる。青い空を雲がふわふわと流れていて、虎耳の可愛い友達がいて、溶けたスライムに、顔が猫のフクロウ(お腹を出して転がっている)、ふわふわの聖獣レオ様がいて……。

 今日も良い日だなあ!



 

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