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第41話 厩舎のお掃除と、バーベキュー

 さあさあ、レッツお掃除タイム!


「それでは皆さん、魔法の杖を出してくださーい」

「魔法? 掃除なのに?」

「魔法の方が、断然早いからね」


「マジカルミアミア、ニャーニャー!」

 私の手には猫ヘッドの魔法の杖!


「ニャーニャーパワー! メークアップ!」

 ヒマリがピカッと光って、魔女っ子スタイルに変身した……。トンガリ帽子(虎耳用穴つき)、肘まである長い手袋、ミニスカート(尻尾用の穴つき)、ブーツという出で立ち。前回は短めケープだったけれど、今回は魔法学園のローブはそのままだ。


 ヒマリの変身を初めて見た人たちは唖然としている。

 うんうん。わたしのヒマリはやっぱり可愛いね。ふふふ。


「それではお掃除開始しま〜す!」

「いや待って」

「ん?」

「ヒマリのその変身は何?」

 アンディ以外の男性陣が聞く。


「ボク、平民だから杖がなくて困ってたの。そしたらアンディのお祖母様が下さったのだけれど、自動で変身もつくの」

「アンディの?」

「街で冒険者をしているときに、アンディのお祖母様と仲良くなったの」

「なぜ冒険者をしている時に仲良くなるようなことがあったのかが謎だが……。そうか。その杖については聞いたことがあるぞ」

「魔女っ子カレンと言えば、色々逸話が残ってるからな」

「カレン様、何したんだろ……」

 魔女っ子カレン様の逸話、気になる! 今度調べてみようっと。でもとりあえず今は掃除だね〜


「お手本を見せますよ〜。まずは、風の魔法で厩舎の中の藁などを集めます。『ウィンド』」

 ニャーンと鳴きながら猫型の風が飛んでいって器用に藁を集めて外に出している。

「はい、皆さんも順番にやってみてください!」

「なんか掃除の概念が覆るな……」

 そう言いながらも、みんな器用に風を操り藁を外に出した。ヴィーちゃんだけ、ちょっと厩舎を破壊しそうになったけど。


「次はボクだね。床を水で洗い流すよ。強めに水を出します。『ウォーター』」

 高圧洗浄機みたいな勢いの水が出てきて床を洗っていく。一気に綺麗になった。


「クリア魔法じゃダメなのか?」

「ふふ、良い質問ですね、アンディくん。クリア魔法は範囲が狭いので、ある程度の大きさまでは有効だけれど、大きな場所だと地道に掃除した方が速いのだ」

「ふーん、そうなのか」

「試しに打ってみなよ」

「ピュリフィケーション」

 一部だけが綺麗になったが、それだけだった。


「おー、なるほどな」

「というわけで結局のところ、人の手でやる掃除を同じ順番で、でも魔法を使ってやるのが一番速くて楽なのです。というわけで、皆さん順番にどうぞ!」

 またヴィーちゃんが厩舎を破壊しそうになったけどね。何その水圧ビームみたいなやつ。「おお、これ攻撃に使えるぞ」ではありません!


 あっという間に綺麗になった。

「これを風で乾かして〜。ついでに今日はライくんスペシャルです」

『ミアねーちゃん、呼んだ?』

「掃除終わったから、最後の仕上げにスライムワックスしてくれる?」

『りょーかい!』

 サッと床に広がるライくん。謎のスライムワックス液体が滲み出るらしく、床があっという間にピッカピカになった。


「「「おおー」」」

「ライくん、ありがとね」

『任せとけってー!』


「最後にフカフカの新しい藁を戻しておしまいだよ! これも魔法でちょいちょいっと運んじゃおう」

 あっという間にピカピカになった。もはやわたしがお昼寝できるくらいに心地良い空間になっている。


 木の下のピクニックテーブルで私たちの掃除を見守っていたピーター先生がやってきた。

「おお、もう終わったのか。しかも、なんだこれ。すっごい綺麗な上に、床がピカピカじゃねえか」

「二人の掃除の先生と、ミアの従魔のおかげです」

「完璧だな。よし、まだ早いけど、今日の授業は終わりだ!」

「先生! ここでバーベキューしてもいいですか?」

「ん? まあ構わないが」

「やったー! あの木の下でご飯食べるの、絶対に気持ちいいと思ってたんです。ここから食堂も遠いし」

「まあな、歴代の生徒も、あそこで昼飯食べてるやつは多かったぞ」

「良ければ先生もご一緒にどうぞ」

「お? いいのか?」

「もちろん! みんなもここで食べようよ〜」

「やったな! ミアのバーベキューは最高なんだ」

 アンディが嬉しそうにしている。旅の間、くっついてきたアンディにも御馳走したこと、何回かあるからね。


 早速、木の下に移動して、魔法鞄から、バーベキューセットをじゃんじゃん出していく。

 もう下味もつけてスライムラップしてあるので、全部スライムラップごと焼いちゃうのです。野菜もたくさんありますよ。お菓子もたくさん出して。フルーツもね。


「今日は特別に、うちの裏山でとれる美味しい鳥さんも食べよう!」

「もしかして、前に干し肉でくれた鳥かしら?」

「そうだよ! クリス、覚えてたんだね」

「当たり前じゃない。あれは、本当に美味しかったもの……」


 お肉が焼ける良い香りに、全員ソワソワしている。

「ミア、このランチ代、いくら払えば良い?」

「ええ? いらないよ?」

「でも、これ、高級食材たくさん使っているだろう」

 ルイスは王子なのに結構律儀なのね。


「ん〜。自分で獲ったものだからなあ……。あっ、じゃあ、そのうち食材で返してくれる?」

「食材で?」

「うん! なんか美味しいのが採れた時とか、分けてくれると嬉しい! あ、王宮のスペシャルデザートでも良し!」

「そんなので良いのか?」

「うん!」

 みんなも、何か見つけたら持ってくるね〜と言ってくれた。


 そんな会話をしているうちに、お肉が焼けた。

「まず、おすすめはこれね。うちの裏山でとれる美味しい鳥さんだよ」


 口に入れると、とろける旨味〜。ん〜! 久々に食べたけれど、やっぱり桁違いで美味しいな、この鳥……。

 周りを見ると、全員、呆けたように噛み締めていた。分かる分かる。これ、本当に美味しいのよ。

「ミア、なんだこの鳥!? 王宮でもこんなの食べたことないぞ。いや、鳥なのか?」

「実は名前がわからないの。父さんがよく獲ってきてくれたんだけど」

「ミア君……。これ、ワイバーンではないか?」

「ワイバーン?」

「昔食べたワイバーンにそっくりの味だ」

「うーん。魔物を見れば『この鳥!』って分かるんですけど……。魔物学は中級なんです。旅の途中で獲って、冒険者ギルドに売った魔物しか種類がわからなくて。授業が始まって分かったら、みんなに教えるね!」


 みんながモグモグと、「この肉はなんだ?」「これも美味しいけど、これはなんだ?」という質問に、なぜかアンディが答えているうちに、従魔達にもじゃんじゃん食べさせていく。

 もちろん聖獣レオ様にも、たくさん貢いでいる。いつかその胸元に顔を埋めさせてもらうのだ。ふふふ。


 良いお天気で、素敵な仲間と美味しいバーベキュー。魔法学園での生活は不安だったけれど、楽しくやっていけそうで良かったなあ〜。

 

 

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