第29話 女騎士風ヴィーちゃん
アヒルさんボートからフラフラと降り立つと、マオ寮が見えてきた。
マオ寮は、さすが猫がテーマなだけあって、猫が好きそうな建築だ。あちこちが抜け道や迷路みたいになっている。
「みんなよく聞くニャー。新入生は必ず迷子になるニャ。迷子になったら、お助け案内猫を呼ぶニャ。『たすけて、ネコ衛門〜!』と叫ぶと、どこからか案内猫が出てくるニャ」
ネコ衛門……。薄々気付いてはいたけれど、この世界、ちょいちょい転生者いるよなあ……。
「とりあえず、それだけ覚えておけば大丈夫ニャ。覚えたかニャ〜?」
「は〜い」
「では進むニャ」
ひょいひょいっと進む猫の寮監さんに着いていく。
「ここが談話室ニャ。男女で使える場所ニャ。こっから右が女子寮、左が男子寮ニャ。他には食堂や大浴場、実験室、色々とあるから適当に探検しつつ覚えるといいニャ。何か質問はありますかニャ?」
「はい! 先生のお名前はなんですか?」
「ニャニャ、自己紹介を忘れていたニャ。我輩の種族はケットシーで、ケト先生と読んでくれて構わないニャ。本当は長い名前があるんだけれど、誰も覚えられないからケトでいいニャ。妖精だから性別は無いから、女子寮、男子寮にも入れるニャ。他に質問がなければ、皆、各自の部屋に向かって着替えるニャ〜」
女子寮、男子寮に別れて、先生に言われた部屋を目指す。同じボートに乗っていた女子四人は同じ部屋だそうだ。
部屋の扉を開ける。
「うわぁ、広いねぇ」
「ボク、皆で同じ部屋で寝るんだと思ってたよ」
寮の部屋は、四人部屋だけれど、タウンハウスといった感じで、一階にリビングやキッチンがあって、吹き抜けで二階があり、そこに個人の部屋が四つある仕様だ。
「早速、部屋を決めたいけど、まずは自己紹介にしようか」
「そうね。そうしましょ。わたくしは、クリスティーヌ・イリレイ。イリレイ家の長女よ。従魔は白い小鳥のビアンカですわ」
「ボクはヒマリだよ。宿屋の娘なんだ。従魔はオレンジの小鳥のオレンだよ」
「わたしはミア。辺境の田舎出身なの! 従魔は、ネコフクロウのクロちゃんに、スライムのライくんだよ。わたし達は、魔法学園に来る旅の途中で出会って、一緒にここまで来たんだ」
シュタッと翼と触手を上げて挨拶をする彼らが可愛すぎる。
「わたしは、ヴィクトリア・イエニー。騎士の家系に育った。剣は得意だが、魔法が苦手だ。迷惑をかけることもあると思うが、よろしく頼む。せっかく同じ部屋になったんだ、気軽に接してもらえると嬉しい」
「じゃあヴィーちゃんって呼んでも良い?」
「なっ……!」
「あれ? やっぱり馴れ馴れしすぎたよね? ごめん……」
「いや、良いのだ。そんなふうに可愛く呼ばれると思っていなかったから驚いただけだ」
「じゃあヴィーちゃんって呼ぶね。わたしはミアって呼んでね」
「よろしく、ヴィーちゃん。ボクはヒマリって呼んでね」
「ヴィーちゃん、よろしくですわ。クリスと呼んでもよろしくてよ」
久々にツンデレのクリスが発動している。
赤い髪の毛をポニーテールにした、女騎士風のヴィーちゃんは、凛としていてかっこいいのだ!
「ところで、ヴィーちゃんの従魔はどこ?」
「ああ、せっかくだから呼ぼうか」
窓を開けてピィーっと指笛を鳴らすと、スゥーっと大きな鳥が部屋に入ってきた。タカみたいな鳥だ。
「名前はタカコだ」
「「「……」」」
バサっと翼を上げるタカコさん。よろしくのポーズですね、よろしくなのです。
「では、部屋を決めましょうか」
「うん! そうしよう!」
みんなで二階に上がって、全ての部屋を覗いてみる。
「どこも同じですわね」
「そうだね、わたし、どこでも良いよ」
結局、そのまま並んでた順に部屋を使うことになった。
部屋の中にはクローゼットがあり、制服が吊るしてある。学園の服って感じで、普通に可愛い。黒いローブは猫耳付きだ。
ローブが寮で変わるのかな?
ちょっと大きいかなあと思ったけれど、早速着てみると、サイズが自動でシュルルと縮んでぴったりになった。
「おおっ!」
「主、似合うぞ」
「ヒューヒュー、ミアねーちゃん素敵〜!」
早速、みんなに見せてこよう!と思って部屋を出ると、みんなも同じことを考えていたのか、ちょうど部屋から出てくるところだった。
みんなも似合ってて可愛い!
そのまま、みんなで寮の探検に出かけることにした。とりあえず、食堂と大浴場は覚えておきたいもんね。
さあ、探検へレッツゴー!




