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第21話 猫の楽園

 早速、ごはんタイムかと思いきや、まずは猫様たちのご飯が先でした。人間は猫様の下僕なのである〜。


 猫様のごはんタイムもお手伝いをする。二十皿を横に一列に並べて、みんな並んでハグハグ食べている。可愛いなあ! カメラがないのが悔やまれる。心の中でシャッターを何度も切る。


 あれ? よく見ると、クロちゃんとお喋りしていたデッカイ黒猫は食べていない。「あの子は食べないんですか?」

「あぁ、あの子はね、普通の猫じゃなくてカレン様の従魔なの。額のところ、ちょっと毛に埋れて見えづらいけれど、マークがあるでしょう?」

 本当だ、言われてみれば、確かに光っている。


 猫様たちのごはんタイムを見守ったあとは、我らのランチタイムです! テラス席に通される。

「あの、カレン様……先に申し上げたいのですが、わたし、食事のマナーが分からないんです! 何か粗相をしてしまうかも」

「ボクも分からない……」

「あらあら、気にしなくて良いのですよ。これは予想以上に猫たちと遊んでくれたあなた達への、私からのお礼なのですから」


 そう言ってもらえると安心だ。そんな話をしている間にも、どんどん給仕される。まずは、遊んだあとなのでカラカラに乾いた喉を潤してくれる、レモン水。

 ああ美味しい〜!


 そして、出された食事は、ポタージュスープとサンドイッチである。わたしたちの食事マナーの疎さも考慮されたメニューなのだろう。この細やかな気遣い! 


「さあ、マナーなんて気にせずに食べてくださいな」

 そう言って、カレン様も手でサンドイッチを摘んだので、わたしもヒマリも安心して手で食べる。


「「美味しい!!!」」

「このサンドイッチに挟まってるベーコンはカリッと旨味たっぷりで、キュウリのシャキッと感に、甘いトマトが最高〜。」

「ミア、こっちの卵のサンドイッチも美味しいよ。フワフワ卵が挟まってる」

 尻尾をピンとさせながら幸せそうな笑顔のヒマリ。


「このポタージュも美味しいよ〜。カボチャの甘さになめらかさが最高〜」

 幸せ気分でスープを口に運ぶ。


 そして、従魔達もハグハグと美味しそうに食べている。そうなのだ。三匹の従魔達も別テーブルで給仕されている。なんという高待遇。

 ライくんはサンドイッチを手で大事そうに掴んで、チビチビ食べている。ちょっとずつ大事に食べるんだそうな。食べながらポヨポヨ伸び縮みしているので嬉しい気持ちが伝わってくる。


「うふふ、嬉しそうに食べてくれて良かったわ。作った甲斐がありました」

「ええ!? カレン様が作ったのですか?」

「そうよ。料理は好きなの。この屋敷には二人しか住んでいないしね、料理はわたしの担当なのよ」

「とても美味しかったです、ごちそうさまでした」「ごちそうさまでした」


 あっという間にプレートは下げられて、美味しい紅茶が置かれた。お茶請けに美味しいサクサククッキーまである。紅茶にクッキー、最高に美味しい。こんな素敵なテラス。日向ぼっこする猫達。ここは天国ですか……?


「こちらのクッキーも作られたのですか?」

「そうよ。クッキーを作った時の甘い香りが家に広がるのが好きなの。でもここに住んでいるのは二人だけでしょう? 焼きすぎて食べきれないから、後で持って帰ってくれると助かるわ」

「嬉しいです、ありがとうございます!」


 お茶を飲みながら、ほっこりのんびり。ここは良い時間が流れているなあ。

「ところで、どうしてこんなに猫達がいるのですか?」

「ああ、それはね、あちこちで保護していたら増えてしまったのよ。怪我をしていたり、弱っている子達を放って置けなくて」

「とても素敵です! カレン様が血統書つきの猫を集めるコレクターではなくて、保護猫の味方であるのを聞いてとても嬉しいです」


 猫達に目をやると、みんな元気で幸せそうだ。とても素敵な人に拾われて良かったなあとしみじみ思う。


 レモン水のグラスを持つと、グラスに反射した光が猫達のいる庭を走る。その途端、さっきまでゴロゴロしていた猫達がまたハンターモードになった。

 反射した光を追いかける猫達。楽しくてグラスをあちこち動かしていると、閃いた!


「わたし、良いこと思いついちゃいました! ちょっと試したいことがあるんです」

 そう言って、わたしは恥ずかしいけど、あれをやる。


「マジカルミアミア、ニャーニャー!」

 手を掲げて突然謎の言葉を発するわたしを、みんなポカンとして見ている。うん、わかる。


 手元に出現した魔法少女アイテム。魔法の杖〜!

「ライト!」

「ニャー」


 杖から光るたまちゃんが飛び出し、猫達の間を駆け抜ける。猫達、大興奮で追いかける。


「えへへ、やっぱり、この魔法、猫と遊ぶのに便利ですね〜!」

「あなた魔法が使えるのね?」

「この前の誕生日に、魔力持ちだと分かって、今は魔法学園へ向かう旅の途中なのです。魔法は、馬車で一緒になった貴族の女の子に教えてもらっています」

「あれはなぜ猫の形をしているの?」

「なんだか猫のことを考えながら練習していたら、全部猫型になってしまって」

 複雑な気持ちで、庭を駆け抜ける猫型ライトを見る。ま、可愛いから良いよね……!


「実はわたしも魔法が使えるのよ。魔力が少ないから、あまり色々とはできないけれど、ライトで猫と遊ぶことぐらいはできそう!」

 そう言いながら、ライトと唱えたカレン様。光の球を動かすと、それに食いつく猫達。


「ミアちゃん、これすごいわ! 走り回れないわたしでも猫達と思いっきり遊べるのね。魔法をこんなことに使うなんて思いもしなかったわ。ありがとう」

「えへへ、良かったです!」


 猫達と思いっきり遊んで、モフモフを楽しみ、そろそろお暇する時間になった。

「あっ、なんだか楽しすぎて忘れそうになりました! 依頼達成の受領印をください!」

「あらあら、そうでしたね」

 カードをタップして受領印をもらう。


「ミアちゃん、ヒマリちゃん、次は遊びに来てくださいな。私たちは大抵、家にいますから」

「「はい!」」


「わたしは旅の途中で馬車の予定が一週間後だから、すぐになっちゃいますけど、それまでにまた来させてください〜! ここは楽園です〜!」

「もちろんですよ」

 そう言いながら、メイドさんがいつの間にか包んでくれていたクッキーを大量に持たせてくれた。嬉しすぎる〜!


 猫達にも見送られて、屋敷を後にした。

「いやあ、本当に楽しかったねぇ」

「うん。それに魔法ってすごいね! わたしにも使えれば良いのに……」

「平民には少ないっていうもんねぇ。わたしもビックリだったんだ。誕生日の日にクロちゃんが来るまで魔法の存在を知らなかったくらいだし。さて、そろそろ宿に戻ろうか」


 さあ、モフモフ亭でヒマリの誕生日会だぞ〜!


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