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第14話 モフモフ亭に宿泊

 ついに、街に着いた。

 馬車の旅、長かったあ。まずは門で水晶に身分証をかざす。今回は、ちゃんとスムーズにできた。ふふん。わたしも旅慣れてきたでしょう?


 黒こげカップルは御者さんが門で引き渡していた。そのまま、商業ギルドの馬車乗り場に到着。


「到着で〜す。最後にちょっとしたアクシデントがありましたが、無事に着くことができました!」

「御者さん、お馬さん、護衛さん、ありがとうございましたっ」

 馬には感謝の印として、林檎をあげる。撫で撫で。御者さんと護衛さんは到着の報告に商業ギルドへ。


「嬢ちゃんのおかげで快適な馬車の旅だったぜ」

「ありがとな。魔法の勉強頑張れよ!」

冒険者のおじさん達はそう言って、去っていった。冒険者ギルドに行くらしい。


 残るはクリスと、ニコニコ護衛のニコラスさんだ。ここでわたしは改めて確かめておかなくてはならない。うう。ドキドキする。

「クリス、ここから魔法学園まで、ずっと一緒に旅、してくれる……?」

「……っ! 当たり前じゃないの。もちろんですわ! ここで、次の馬車の日程を確認して、予約をしていきましょう」

「うん! これからもよろしくね」

「お嬢に友達が……。俺は嬉しい……!」

「ちょっと黙ってなさい、ニコラス」

 クリスが照れている。可愛い。


 次の馬車の日程確認すると、一週間後の出発だった。予約をしに行ったところ、わたし、クリス、ニコラスさんの三人分でほぼ満席になってしまった。残るはあと一席だそうだ。セーフ!

 馬車がうまく乗り継げないと時間がかかるから、早く家を出たんだなあ。無事に予約できて良かった。


「さて、次は宿探しだね」

「ミア……。わたしたちね、ここの領主の家へ宿泊しなくてはならないの。わたしもミアと宿に泊まりたいんだけれど、貴族だから、色々とお互いの面子を立てなくてはいけないのよ。ミア、一人で大丈夫? 領主様にミアも泊まれるようにお願いしてみる?」

「そっかぁ〜。残念だけれど、わたしは一人で大丈夫だよ。貴族の家なんて緊張しちゃうもん。でも、日中、一緒に街歩きをしたりは出来るよね?」

「ええ、もちろんよ!」

「じゃあ、宿が決まったらクロちゃんにお手紙を持たせるよ。クロちゃん、大丈夫だよね?」

『もちろんだ。主人の友達の魔力はすでに覚えている』

 さすが、わたしのモフモフクロちゃんだ。仕事が嬉しいのか、尻尾がピョコピョコしていて可愛いし!


 じゃあ、またね、と言ってクリスとニコラスさんは、いつからか用意されていた豪華な馬車に乗って去っていった。というかあの二人って、なんで、平民が乗る馬車で旅してるんだろう? 今度会ったら聞いておかなくちゃ。


 さ〜て。宿探しだ! よし、あそこにいる商業ギルドのお姉さんに聞いてみようっと。

「すみませ〜ん! あの、ちょっとお聞きしたいことがあるのですが」

「あらあら、なあに?」

「この街で、オススメの宿を教えてください! 子ども一人でも泊まれて、従魔も一緒の部屋に泊まれる宿で、出来ればご飯が美味しくて清潔な宿をご存知ですか?」

「あら、あなた一人で泊まるの? 従魔は大きさにもよるけれど、このネコフクロウとスライムかしら?」

「はい、そうです!」

「う〜ん。それなら、ここの大通りを真っ直ぐ行った先を右に曲がったところにある、『モフモフ亭』が良いかしら」

「モフモフ亭……! なんて素敵な響き! そこ、そこにしますっ」

 グイグイ食いつくわたしに、ちょっと苦笑気味のお姉さん。簡単な地図を用意してくれたので、早速モフモフ亭に向かう。


「モッフモッフ亭〜♪ モッフモッフ亭〜♪」

 ふんふん口ずさみながら、歩く。ちょっとスキップになっちゃう。どんなモフモフがいるんだろう!

 屋台が気になるけど、今食べたら宿の夜ご飯が食べれなくなっちゃうから、また今度にしよう。今回は一週間も街にいられるからね。

 地図の通りに進むと、宿が見えてきた。なぜだか、モダン和風建築だ。


「こんにちは〜!」

 期待いっぱいで、ガラっと引き戸を開けると、そこにはモフモフが……。モフモフが……? 虎耳をつけた、マッチョなおじさんがいた。

「モフ、モフ……?」

「おう、ここはモフモフ亭だぜ。お嬢ちゃんはお客か?」

 耳から目を離せないまま、コクコクと肯く。

「獣耳が珍しいか? 田舎から来たのか?」

「じろじろ見ちゃってごめんなさい! そうなの。村の人にも滅多に会えないような、ど田舎から来たから、獣人さんを近くで見るのは初めてなの」

「そうか。ここから王都に近づくに連れ、いろんな種族が増えるからな。その様子じゃ、エルフやドワーフも見たことねぇか?」

「エルフ! ドワーフ! わぁ〜! 見たことないです!」

「そうかそうか。 まあ最初は珍しいからしょうがないかもしれないが、じろじろ見ると失礼になるからな。気をつけたほうがいいぞ」

「はい! ごめんなさい。」

 そうか、そうだよね。失礼なことをしてしまった。しょんぼりしながら謝るとおじさんは慌てて「お、俺は気にしてないからな!」と言っていたけど。


「あらあら、あなた。お客様に何か失礼なことをしたんじゃなくて?」

虎耳グラマーな奥様が奥から出てきた途端、マッチョなおじさんがビクッとした。どうやら、奥様の方が強いようです。


「小さなお客様、うちにお泊まりでよろしいですか?」

「はい! 一週間分お願いします。従魔のネコフクロウとスライムと同じ部屋に泊まりたいのですが大丈夫ですか?」

「お部屋を汚したりしなければ大丈夫ですよ。料金は、普通は一泊銀貨三枚ですが、従魔がいるので四枚ね。六泊でいいのかしら? ちなみに夕朝食付きよ」

「はい。六泊で大丈夫です。じゃあ、銀貨二十四枚ですね。あっ、でも金貨二枚と銀貨四枚の方がいいですか?」

 前回の反省を踏まえて、鞄からサッとお金を取り出す。ふふん。どうだ。旅慣れてるっぽい、わたし!


 宿の夫婦は驚いて顔を見合わせてから、ため息をついた。

「嬢ちゃん、それ、魔法鞄だな。しかも、かなり、いいやつだ」

「どっ……! どうしてそれを……!?」

「鞄から直接お金を出す奴がどこにいる。しかも見ずに金貨と銀貨をぴったり一掴みで出せるわけないだろ」

 確かに、その通りである。


「今回こそ完璧にお金を払えると思ったのに……」

「財布、持ってないのか?」

「お財布ですか? うーん。どうなんだろう」

 ゴソゴソとカバンを探ってみると、出てきた。猫型財布が。


「持ってるなら、そこにいくらか入れておけ。わかったな」

「はい!」

 早速、入れてみようっと。あ、このお財布も魔法鞄式なのね。魔石に魔力を登録して、お金をジャラジャラ入れてみる。あ、どんどん入って便利。


「おい」

「はいっ!」

 顔を上げると、夫婦が遠い目をしている。あれ?


「嬢ちゃん、もしかしてどこかの貴族の世間知らずのお嬢様とかか?」

「いいえ! ど田舎出身なので、世間知らずは間違い無いですが、平民ですよ?」

「まず、普通の平民は魔法鞄も魔法財布なんて持ってない。それに、そんなにお金を持ってない。俺らが悪い奴だったら、全部盗まれるぞ?」

「魔法鞄は防犯機能付きなので大丈夫です! 旅の途中で早速発動したんですが、相手が黒こげになるんです。あれ、お財布もそうかな? 多分、そうだよね?」

「……どっちにしろ、自分も相手も危ない目に合うのは嫌だろう?」

 おかしい。今回こそ、スマートな支払いができると思ったのに、なかなか思うようにはいかないものである。


「とりあえず、料金は頂くわね。夜ごはんと朝ごはんは食堂で出してるわ。今日の夜ごはんは、二時間後よ。これは部屋の鍵、お部屋は二階の奥の部屋を使ってね。お風呂は一階に大浴場があるわ。ちゃんと洗った後なら従魔も一緒にはいっていいわよ」

「はいっ! わかりました!」


 鍵をもらって二階へ上がる。お部屋は畳ではなかった、残念。でも、とっても清潔で日当たりと風通しの良い素敵なお部屋である。

 前世の記憶を思い出してから毎日、慌ただしい日々だった。ここで一週間、のんびりできるのは嬉しいな。異世界観光、しなくっちゃね!


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