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第11話 白猫着ぐるみ

「パジャマ……?」

『おお、我と一緒でモフモフだな!』


 白猫着ぐるみは、クロちゃんの言う通りモッフモフしていて、着心地が抜群だ。しかも温度調整機能がついているようで、暑くないのだ。

 心は何歳だか知らないが、見た目は七歳だから、大丈夫だ。うん。そうだ。わたしは七歳なのだ!


 とりあえずパジャマがあって良かった。旅装束も腕輪の中に入らないのかな? 脱いだ服に触りながら腕輪に魔力を流してみると、シュルンと中に消えた。おお! 便利!


 よし。寝る前にお茶でも飲もうっと。キッチンでお湯を沸かして、カモミールティーを淹れる。寝る前にカモミールティーを飲むとリラックスできて、よく眠れるのだ。

 そういえば、明日の起床時間を聞いてないことを思い出した。御者さんに聞いておかなくては。


 テントから出て、御者さんを探す。

「あっ、御者のおじさ〜ん!」

「なんだ? ん、ねこ?」

「あっパジャマのまま出てきちゃった……! ま、いっか。 あのね、明日の起床時間を聞きにきました」

「ああ、そうか。旅は初めてだもんな。こう言う馬車の旅は、基本的に日の出と共に野営を片付けて出発するんだ。明るいうちに進めるだけ進むからな。」

「日の出と共に!」

「そう。だから、もう早くおやすみ」

「わかりました。おやすみなさい」


 テントに戻り、早速寝る準備だ。モフモフのベッドにジャンプ!

 ベッド脇に置いてある猫型目覚まし時計をセットする。この目覚まし時計、旅用目覚ましで、日の出と共に起こしてくれる仕様みたい。至れり尽くせりの魔道具だ。

「クロちゃん、早起き得意? わたしがもし明日、起きれなかったら起こしてくれる?」

『了解だ。我に任せろ!』

「わあい、ありがとね。じゃあ、おやすみなさい」

『おやすみ、主』

 やはり疲れていたのか、あっという間に眠りに落ちた。


 にゃにゃにゃにゃにゃにゃーーーーーん。にゃにゃにゃにゃにゃーーーーーーん。

「ふわああああ〜。ん? 何、ねこ?」

寝ぼけた頭でキョロキョロする。

『主、これだ』

クロちゃんが指したのは、目覚まし時計。なんと目覚まし音が猫の声だったのだ!猫の頭を押して目覚ましを止める。にゃっ。と止まる音がした。可愛い……。


 どうやら無事に起きれたようだ。外に出ると、みんなも起き始めたようで、テントを片し始めていた。

「あ、クリス、おはよう!」

「ミア、おは…おはよう……? なんですの、その格好は」

「あっ! これ、ねこパジャマなの。可愛いでしょ? 間違えて起き抜けでパジャマのまま出てきちゃった。それにしても、クリスは朝から完璧に綺麗だねぇ」

 お日様が登り始めたばかりだと言うのに、クリスは朝からきちんとお嬢様らしく完璧だ。


「そ、そんなことないですのよ! ほら、ミアも身支度してきたほうがいいわ」

「は〜い、じゃあ、またあとでね」

 テントに戻り、トイレに行ったり顔を洗ったりしてから、腕輪で旅装束にピカッと変身する。なんと腕輪に入れておいた服が、綺麗になっていた。下着も綺麗だ! 万歳! 

 クロちゃんと共にテントをでて、肉球ボタンを押すと「にゃ〜ん」と音がしてポンッと小さくなった。これを魔法袋に入れる。


 周りを見渡すと、みんなはまだテントの解体をしていた。

 今のうちに朝ごはんを食べてしまおうと、昨日のりんごを出してかじる。美味しいけど、うちの庭に生えてるりんごのほうが断然美味しい。ちょっぴり残念だ。普通のりんごを齧っていたら、アップルパイが恋しくなってきたのでアップルパイも出して食べる。旅使用の四角いパイだ。

 クロちゃんにも分けてあげて、朝ごはんを堪能していたら、みんなの準備ができたようだ。


「ちょっとミア、頬に食べかすがついてますわ」

 クリスが笑いながら取ってくれた。

「あっ、ありがとう」

 恥ずかしい〜! 照れながらクリスにお礼を言う。

「よ、良いのですわ!」

 ああ、朝からクリスが可愛い。こんな旅の仲間がいるなんて最高ではないか。眼福。


「よーし、みんな揃ってるな?、じゃあ馬車に乗ってくれ」

 馬達に近づいて「今日もよろしくね」と話しかける。ヒヒーン、と返事をしてくれた気がした。


 昨日と同じ配置で馬車に乗る。昨日の夜ごはんのおかげで、みんなだいぶ打ち解けたようで馬車の雰囲気が明るい。一部を除いては……。

 そうなのだ。あのカップルが、なんだか拗ねてるのだ。でもね? 美味しいごはんを無料でもらえると思ったら間違いなのです。お金がなければ労働力を提供しろ〜! っていうことです。


 さてさて。そんな風に毎日カップルが拗ねているのを横目で見つつも一週間が過ぎました。毎日、野営場所の近くで果物や薬草を集めて、向かってくる魔物や動物がいれば倒してバーベキューディナー、という日々だ。


 ある夜、テントの側でクリスが魔法の練習をしていた。魔法!

「クリス、魔法が使えるの〜!?」

「あら、ミアだって使えるでしょう?」

「ううん、まだ使ったこと、ないの。魔力持ちだって分かってすぐに家を出たから、母さんも何も教えてくれなかったの」

「それは大変! 学校は貴族ばっかりでしょう? みんな既に家庭教師から色々と教わっているのよ」

「ええ〜! わたしだけ初心者ってこと……!?」

「しょうがないわね……わたしが基礎だけは教えてさしあげるわ」


 さすが、わたしの可愛いクリス!

「ありがとう〜!!!」

 嬉し過ぎて抱きついてしまった。

「さ、さあ。ミア。早速始めますわよ。まずは魔力を感じるところからですわ。座って、深呼吸してくださいな。おへその下あたりにあるグルグルとした熱、それが魔力ですわ」


 おへその下かあ、丹田のあたりかな。今、パジャマの猫装備なので、あぐらをかく。ちょっとお行儀悪いかもしれないけど、猫装備だし、パンツ見えるわけじゃないからいいよね?

 ぐるぐる。ぐるぐる。どこかな……。あ、これかな?

「見つけたら、それを全身に広げるイメージをするのよ」

 全身に。血管にのせて〜。おお。なんだか広がってきた。あれだね、なんだかヨガや瞑想に近いかもしれない。呼吸に集中して、じわじわと広げていく。


「どうかしら? 普通はこれをマスターするのにだいぶ時間がかかるのだけれど……。なんだか、ミアはすぐに出来そうね」

「うん、多分、出来たと思う」

「……やっぱり。ミアって規格外だわ。いろんな意味で心配になるもの。でもわたしが守ってさしあげますわ……!」

 なんだか意気込んでいるクリス。


「さあ、次は魔法の杖を出して。あら、杖は持ってるかしら?」

 クリスの手に握られている杖を見る。キラキラしていて小鳥のモチーフ

がついている美しい杖だ。

「杖、持ってる。母さんが子供の時に使っていたのを改良してくれたみたいなんだけど……。」

「じゃあ、出してくださる?」

「う…うん。」


 突然手を上に掲げたわたしにクリスは首を傾げている。

「マジカルミアミア、ニャーニャー!」

 ピカッと光ったあと、わたしの手には猫印の魔法の杖が握られていた。


 

ニャーニャー!

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