奏でる音の色
その記憶を大切にするあまり
なにか、もっと大事なものに
気づいてあげられない自分がいる
とびらの向こう側の景色は
当然のように見ることはできない
期待さえ失う世の中で
明るい道すじを描くことなんて
できるのだろうか
いまのわたしには
このとびらを開けることさえ
戸惑っている
いつか見た風景が
とびらの向こうに
約束されているなら
迷わずに開けることができるというのに
わたしは、少し考えては
恋することを
先伸ばしにする
あなたの奏でる音は
誰にでも聞きやすく
みんなのこころの奥に
いつでも、いつまでも響いてゆく
それは残念ながら、
わたしだけのものではないから
少し、さみしい気持ち
あなたに恋することが怖いのかな
それとも、
他の理由を無理やりにでも
探したほうがいいのか。