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7-1 音信不通

 王都に戻った翌日、俺は午前中から、各大臣からの溜まった報告書と決済に追われていた。 ジュリアンの代わりに、グレアムが送ってくれたミリアという金髪の小柄な女性がスケジュールの調整をしてくれることになった。 ハルは警護班と同じ下の階に部屋を与えられた。 アビエルはとりあえずアドルと同じで警護班預かりになった。 アビエルがアドルと違う点は、アドルはほとんど下の階の部屋に住んでいるが、アビエルには西の塔に部屋が与えられたのだった。 日中は警護班として俺の警護に当たっているが、夜の当直はなかった。


 午後になると、会議が行なわれた。 会議室に集まったのはサムライ以上なので、今回からアドルとアビエルが加わることになった。 会議が始まる寸前に、ファウラが現れた。

「私も会議に加えていただけますよね」

「これはサムライ以上の重要会議です。 どうかファウラ様にはご遠慮願います」とアンドレアス。

「あら、アビエルさんは出席されるのですよね」

「アビエル様はサムライですので・・・・」

「アンドレアス殿、私は現在カケル様のただ一人の妃のはずです。 ですので私は、カケル様とご一緒の部屋にしてくださいと申しました」

「このレーギアにおいては、お妃様方には西の塔にお住まいいただく決まりになっております。 それに、アビエル様はアデル族の姫君で、体裁を気になさらないと言うだけで、実質的にはお妃と同等と判断いたしました」

「そうですか、王代理のアンドレアス様がそう判断されたのなら、こちらもそれ以上申しませんわ。 しかし、私もアビエルさん同様、カケル様のためならこの命いつでも捨てる覚悟です。 そして少しでもカケル様のお役に立ちたいと考えております。 ひたすら夜においでを待つだけの女ではありませんわ。 さらに申せば、王の妃がサムライ以下ということはございませんよね」 ファウラはそう言うとアンドレアスにニッコリ微笑んだ。

「クッ、そこまでおっしゃるのなら、どうぞご参加ください」 アンドレアスはそう言うしか無かった。

(このファウラという女性はただ者じゃない。 激昂することも、怖じ気づくこともなくあのアンドレアスさんを言い込めた。 引くべき所は引いて、譲歩させるところは譲歩させる、交渉力がすごい)とユウキは思った。


 会議は主に、俺が外に出ていた間の懸案事項の進捗についてだった。 一通り報告が済むと、アンドレアスが言った。

「気になることが一つあります。 現在、藍のレギオンの調査に出ているジュリアン他2名ですが、音信不通となっております。 5日前にバレンを出発すると言う報告があったのが最後で、それ以降何の報告もありません。 距離や地形の関係で念話が通じないだけかも知れませんが・・・」

「それは心配だな、私が行こうか?」と俺が言った。

「それはいけません!」 アンドレアスが睨んだ。

「だが、このまま放ってはおけないだろう。 明日までに何の連絡も無ければ、何かトラブルがあったと判断して救出隊を出そう」

「承知いたしました。 しかしカケル様はダメです。 王なのですから、少しはご自覚いただき政務に集中してください」

「はい、分りました」 俺はそれ以上何も言えなかった。


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