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6-14 出立

 祝宴は3日3晩続いた。 プラウだけではなく、近隣の村からも次々と人が訪れたのだった。

 4日目の朝、俺は族長に言った。

「盛大な歓待を受けて、お礼の言葉もございませんが、そろそろ我々も出発しなければなりません。 次の種族の街を訪問し、レギオンへの協力を要請するつもりです。 そう言う訳ですので、ファウラ姫は私がレギオンに戻ってからあらためてお迎えに上がります」

「そうですか、それは残念です。 ここから近い種族と言ったらアデル族ですかな。 とてもアデル族が協力するとは思えませんが・・・。 それでしたら、やはりこれをお連れになさりませ。 きつとこの者の知識と能力がお役にたつでしょう」

「そうですわ、カケル様はアデル族の街の場所をご存知なのですか?」とファウラ。

「あ、いや、良くは分からないのですが・・・」

「私はおおよその場所を知っております。 ですので、私もお供いたしますわ。 そうと決まれば、早速支度をしますね」と言い部屋を出ていった。

(何とかひねり出した策だったが、あっさり潰されてしまった)


 騎竜に鞍をつけ出発の準備をしている時、レオンが近づいて来て耳打ちした。

「カケル様、アンドレアス様にはお話されておられるのですよね」

「あ、うん、魔獣を倒して交渉がうまくいったと言うことと、引き続き次のアデル族を訪問することは伝えた」

「ファウラ様の件は?」

「言えなかった・・・」

「えーっ、まずいじゃないですか。 我々、グルグラとの戦闘の件だけでも、アンドレアス様に絞め殺されかねないのに、これ以上のとばっちりは勘弁してください」

「うん、そのうち機会をみて言うよ」


 ファウラは動きやすい黄色のシャツと茶色のパンツ姿で現れた。 長い髪を後ろで束ねた姿は美しかった。 ファウラの兄のグラウスが大きな2つの箱を背中に乗せた騎竜を引いてきた。

「これもつれて行くのですか」とレオン。

「そうです、女性は何かと必要な物が多いのです」

 昼頃、我々は多くの街の人々に見送られながら、プラウを後にした。


 我々は、普通の人には道とは分からないような道を、東に進んで行った。 先頭をレオンが進み、その後にファウラが続いて道を指示していた。

(困った、どうすりゃいいんだ) 今は細い道で一列に並んで進んでいるため、皆黙々と進んでいるが、俺は正直なところ彼女にどう接して良いのか分からなかった。 だって、俺は今までモテたことがないんだから。 女性とつきあったことも無いのに、一足飛びに突然嫁だなんて言われても、どうして良いのか分からない。 もちろん彼女が嫌いな訳ではない、むしろ逆である。 かわいいし、優しいし、それに聡明だ。 誰が見ても羨むような女性である。 もしかしたら俺は、これが現実では無くて朝起きたら夢だった、とか彼女が俺に幻滅して嫌われるのではないかと言うようなことを恐れているのかも知れない。


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