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5-3 進軍

 西の山から太陽が顔を見せ始めていた。 気温はまだ暑くなく、出発するには良い時刻だった。 セントフォレスト郊外の原野に集結した、全軍5千の兵は部隊毎に整列していた。 鎧に身を包んだ兵士の隊列を一望するのは壮観だった。 どの兵士にも余計な緊張感は見られず、とても落ち着いた様子だった。 誰も我が軍の勝利を疑ってはいないということなのだろう。 俺は少し高い壇の上に立ち、言った。

 「諸君、私も君たちと同じく、我がレギオンの勝利を確信している。 共に戦い、共に勝利を勝ち取ろう」 ユウキに言われたとおり、できるだけ大きな声で、自信たっぷりに見えるように気をつけた。

「おうっ!」 一斉に兵士達が右手を上げながら、声をあげた。

 それから、各部隊長が進軍の命令を発し、部隊毎に行軍を開始した。 俺はそれをずっと見送りながら、気持ちは複雑だった。 ジュリアンが側に来ると、ノートを見ながら言った。

「カケル様、そろそろレーギアに戻りましょう。 お戻りになられて、朝食の後、内務の大臣達から、業務の説明を受けることになっております」 馬車が近くまで来ていた。

「分かりました、戻りましょう」 俺がそう言うと、隣に立っていたグレンの腹が鳴った。


 その日の午前中いっぱい、俺とユウキはグレアムと各部門の大臣から、担当業務と現状についての説明を受けた。 内政の方は5つの部門に分けられていた。 財務・産業、外交・儀礼、建設・補修、法律・学術、内務である。 グレアムは全体の統括と同時に、内務大臣も兼ねており、その中には教育、衛生、レーギア統括も含まれていた。 また、セントフォレストの治安部隊7百名とレーギア守備隊3百の兵士の所属は軍ではなく、グレアムの支配下にあった。

 どの大臣も自分の担当部門の業務が、如何に順調で自分がどれだけこのレギオンに貢献しているかと言うことのアピールに懸命だった。 ユウキが、今抱えている問題は何かと質問すると、どの大臣も「何を言い出すのだ、こいつは」とでも言いたげに、深刻な問題など無いと答えるのだった。 俺とユウキは顔を見合わせ、グレアムはため息をついた。 内容は半分も頭に入ってこなかったが、何となくどの部門も課題が多そうだと感じた。 どの大臣も良い数字はここぞとアピールしてくるが、ネガティブな情報は聞いてもはぐらかされてしまうのだった。


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