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5-2 御前会議

 会議は王と4人のサムライで行なわれた。 議題はもちろん、橙のレギオンとの戦争である。 まず、セシウスから状況の説明が行なわれた。

 「放っている密偵より、昨日緋のレギオンの王都から軍勢約1万5千が北東に向けて進軍を開始したとの報告がありました。 軍の構成の詳細は分かりませんが、率いているのは、サムライでもあるゴラム将軍です。 12王自身の出陣は確認されていませんが、開戦までには現れる可能性はあります。 このまま進軍すると、戦場はオーリンの森の南西のバール平原になると思われます。 開戦は恐らく7日後になります」

「アンドレアスさん、彼らの目的は何だと考えていますか」 俺はたずねた。

「アンドレアスでけっこうです。 もちろん我が軍の壊滅でしょう。 クリスタルの王と橙の王が、手を組んだかどうかは不明ですが、前の12王会議の流れからすれば、手を組んだと見るのが妥当かと考えます」

「それなら、クリスタルのレギオンも、同時に攻めてくるということも考えられるのではないのですか」 俺は疑念を口にした。

「まあ、可能性としてはあり得ますが、それはまずないでしょう」 セシウスが言った。 横でアンドレアスも頷いた。

「どうしてですか」 ユウキが聞いた。

「同時攻撃をするまでもないと考えているからです。 現在、残念ながら我がレギオンは、王がいる8レギオンの内最弱と見られています」 セシウスが苦笑いをしながら言った。

「えっ、そうなの」 俺はその言葉に驚いた。


挿絵(By みてみん)


 「どのレギオンも、兵数などの兵力に関する情報は秘匿しているので、あくまで様々な情報から推測するしかありませんが、現在最も兵力が充実しているのは、大陸西のガーラント帝国の皇帝でもある、金のレギオンで、支配下にあるアストリア王国、タイロン王国なども加えると兵数50万以上と言われています。 それに続くのが東の白銀のレギオンで、兵数は20万ですが兵器や装備が機械化されており、金のレギオンに引けはとらないと言われています。 クリスタルのレギオンは正規の兵数は10万と言われていますが、太陽教の教主でもある王が一声かければ、民衆が武器を取り、一夜にして100万の軍隊ができると豪語しているそうです。 橙のレギオンと赤のレギオンは共に約5万と見られていますが、橙のレギオンの獣人族は戦闘力が非常に高く、獣人一人で3人から5人の人の兵に匹敵します。 また赤のレギオンの亜人たちは、特殊能力を備えており、山岳戦やゲリラ戦を得意とします。 黒と紫のレギオンは、密偵を送ってもほとんど戻ってこないため、推測するのも難しいのですが、どちらも近年は勢力が盛んなっているらしいので、数万はくだらないものと考えます」

「なるほど、それで我がレギオンの兵数はどれぐらいなのですか」 俺が聞いた。

「5千です」

「えっ、5万ですか?」 俺は聞き間違えたと思い、聞き直した。

「いいえ、5千です。 セントフォレストとこのレーギアの守備兵を入れても6千です」 セシウスはきっぱり言った。

「ご、5千ですか、それはいくら何でも少なすぎませんか」

「確かに数は少ないですが、精鋭です。 アストリアやタイロンの兵ならば、5万でも蹴散らしてごらんにいれます」 セシウスは自信を持って答えた。

(そうは言うが、今回の敵は獣人族だ。 倍以上の兵数差をひっくり返した、あの凄まじい戦闘力の兵が3倍の1万5千で攻めてくると言うのに、セシウスさんは事もなげに言う。 確かにジュリアンさんたちはあの獣人兵を瞬殺して見せた、他の人達もあのレベルだというのなら、ものすごい精兵軍団なのだろう。 しかし・・・)

「カケル様のご心配も承知しております。 もちろんまともにぶつかっては、こちらの損害も甚大になるでしょう。 しかしこの侵攻は以前から想定しており、既にいくつかの対応策を練ってあります」 アンドレアスが、俺の心配を見透かしたように言った。

「では、今回こちらはどう迎え撃つつもりなのですか」 俺はセシウスに聞いた。

「はい、明日の朝、全軍で戦場に向けて軍を進めます。 内訳は、3千の歩兵部隊、5百の騎竜部隊、5百の弓兵部隊、5百の工兵部隊、5百の飛龍部隊です。 戦場に着くのは出発から2日後の夕方の予定です」 セシウスはテーブルに広げた地図を指し示しながら説明を進めた。

「この場所に陣を敷き準備を施し、敵軍の到着を待ちます。 迎え撃つ作戦はこうです」 具体的な戦術の説明を行なった。

(なるほど、確かにこの作戦が成功すれば、敵を撃退することができるかもしれない。 これがこの通り進めばだが・・)

「カケル様と総司令官は3日後に出発していただきます。 作戦の詳細は、戦場の地形や、敵軍の情報を元に微調整したいと考えています」 作戦の説明が終わり、他の者からも、これに対して異論が出なかったため、これで進めることになった。


 「疲れたー」 俺は部屋に戻ると、ベッドに倒れ込むように飛び込んだ。 また部屋が替わっていた。 真ん中の建物の最上階ワンフロアが王の居室だ。 広さも3倍以上になり、窓からの見晴らしも最高だった。 南側には町並みが広がり他の窓からは、遠くの山々や広大に広がる森が見えた。 部屋の家具や壁の装飾は、もちろん上質のものが使われていたが、豪華過ぎず落ち着いた雰囲気がとても気にいった。 下の階にはジュリアンたち警護班の控え室、ジュリアンの机、仮眠室があり、ジュリアンの前を通らずには、上には行けないようになっていた。


 (最弱のレギオンって、どうするんだよ~。 セシウスはああ言うが、本当に勝てるのか? ああ、家に帰りたい。 マンガ本読んで、お笑いのテレビ見て、コーラ飲みながらポテチ食いたい。 あの何でもない日常が懐かしい)

(俺、死んだらどうなるのだろう。 もしかしたら、元の世界に戻れたりして・・) なぜかそんな気がしてきた。

「リーア、いるんだろう?」 俺がそう言うと、目の前に光の塊が出現し、リーアが現れた。 なんと白いビキニの水着に、腰には花柄のパレオを巻いていた。

「呼んだあ? これどう?」 腰に右手をあて、左手で髪をかき上げた。

「えっ、どうっていわれても・・・」 俺が答えに困っていると、たちまち衣装が替わった。

「えっ、じゃこれは? カケルは好きでしょう?」 今度は黒い網タイツをはいたバニーガールになっていた。

「そ、それは・・・」

「どっちなの! はっきりしなさい」 リーアがイラついたように言った。

「はい、好きです」

「せっかくカケルの好みに合わせてあげているのだから、素直に喜びなさいよ。 それで、何が聞きたいの?」

「前にリーアは、俺が何でもできると言ったけど、具体的にはどんなことができるんだい」

「うーん、逆にできないことを言った方が早いかもね。 まず死者の復活はできない。 だから命は大切にしてね。 あと治癒の術も傷の修復とかは可能だけど、失われた臓器を造ったりはできない。 つまり、魔獣に食われてしまった腕を元通りにすることはできないと言うこと。 それと時間の超越もできないわね。 あっ、元の世界へ行くのも無理ね、あとは・・・」

「意外とできないこと多いじゃん」

「それから、できることでも、あなたのレベルによって、色々と制限があったりするわ」

「レベル?」

「そう、天聖球の所有者には5段階のレベルがあるの。 カケルは今レベル1ね。 レベルが上がれば、同じ術でも威力が上がるし、できることの幅が広がるわ」

「もし、俺が死んだら、どうなるのかな。 もしかしたら、元の世界に帰れたりしない?」

「残念でした。 死んだらこの地で、肉は腐り骨は土に還るの」

「はあ~、そうかあ、少しでも期待した俺がバカだった。 そもそも天聖球って何なんだよ」

「いきなり、本質的なところを突いてきたわね。 でも教えない」

「はあ~っ、リーアはそのためにいるのだろう?」

「さっきも言ったけど、所有者にはレベルがあるの。 このレベルにはここまで情報を開示して良いという決まりがあるの」

「その決まりを作ったのはだれだ」

「それも教えな~い。 レベル5になれば、分かるかもね」

「リーアは俺に何をさせたいのだ」

「あら、おかしなことを言うわね。 私はあなたのしたいことを扶けるためにいるのであって、私がカケルに何かをさせたい訳じゃないわ。 あなたのしたいことは、アンドレアスをぶっ飛ばすことだったわね。 それがかなった今、次は何をしたいの?」

「何がしたいか? そんなの分からないよ。 それどころかどんどん、やりたくも無い方向へ追い込まれて行って、今度は戦争だぞ。 どうしてくれるんだ」

「それは、しょうがないわね。 オルディネは、あっこれは天聖球の所有者の正式名なのだけれど、戦いの宿命を背負っているからね」

「えっ、どう言う意味?」

「さっきも言ったけど、言える事が制限されるからあまり詳しくは言えないけど、この世界は、力が支配しているの。 力のある者が、この世界のルールを定め、力のない者はそれに従うしかないの。 だから、自分の主義・主張を通そうと思ったら、相手を力でねじ伏せるしかないということ。 基本、天聖球から供給されるレムは戦いを前提としたものなの。 だから戦いは避けて通れないわね」

「わけが分からない」

「とにかく、あなたが好むと好まざるとに関わらず、他の12王から戦いをふっかけられることになるでしょうね」

「はあ~っ、聞きたくなかった」

「じゃあ、今日はこのくらいにしておいてあげる。 次も期待してね」 言い終えるとリーアは消えていった。


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