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4-20 12王会議

 そこは白を基調とした丸い部屋だった。 真ん中に白い大きな丸テーブルが置かれ、回りに12の様々な色の豪華な椅子が用意されていた。 丸いドーム型の天井から光が差し込み、部屋を明るく照らしていた。 オークリーはレギオンを表している緑の席に着いた。 席に着いたと言っても直接この場にいるわけではない、自身はレギオンの一室にいるのだ。 約千年前に開催された、ゴルゴン山の会盟の時は直接12王が、ゴルゴン山の麓まで集まったということだったが、今回は違った。 会議を呼びかけたクリスタルのレギオンの王が、会議場を準備した。 そこに用意されたアバターに自分の意識を飛ばし、まるで自身がその場にいるかのように振る舞うことができるのだった。 これには3つの利点があった。 1つは、直接行く必要がないということである。 ゲートとも呼ばれる縮地門は、自身が一度行っている場所でなければ行けないので、使えないからである。 2つ目は、安全上の問題である。 まさか12王が呼び出してだまし討ちなど、あり得ないとは思うが、そう言った懸念は排除され、参加しやすくなる。 3つ目は、自身の状態を悟られにくく、会話中にこちらの本心を見透かされにくいと言うことである。 これは同時に欠点でもあるがな、とオークリーは思った。 自身は他の王からは大きなフクロウに見えているはずだ。 他の席には、銀の席にはブリキのロボットのような人形が、オレンジの席にはひょうきんそうなクマが、金の席にはカードゲームで使うカードに書かれているような王様が、赤の席には火の鳥が、黒の席には赤いドラゴンが、そして紫の席には黒い霧の塊のような物が揺らめいていた。 他の5つの席は空席だった。 事情を知らない人が、この光景を見たら、とても大陸の今後を左右するような王たちの会議には見えないだろう。 せいぜいイカレた人たちの仮装パーティだろうなと、オークリーは思った。


 入り口から、一人の人物が入って来た。 全身白で、一枚の布で足下近くまで覆われた服を着て、頭には三角形の白い帽子をかぶっていた。 顔には両方の目からほほにかけて赤い筋の入った、白い仮面をつけていた。 その男は、オークリーの正面の透明な材質でできた椅子に座った。 男の席の後ろは、祭壇のようになっていた。 この男だけアバターではない、この男がクリスタルの王に違いないと思った時、男が話し始めた。

 「皆様お待たせいたしました。 現在4つのレギオンでは王が不在のようですから、これで全員ですね。 何もおもてなしできないのは残念ですが、このような事情ですのでお許しください。 さて、会議を始めましょう」 男は続けた。

「今回皆様にお集まりいただいたのは、現在病魔に冒されたこの大陸を救うためです。 大陸の各地では、森林伐採による土砂崩れ、鉱石等の採掘と精錬による河川や土壌の汚染、大地の砂漠化など、様々な自然環境の破壊が進み、早急に対処しなければ修復不可能になるでしょう。 そしてその元凶は人なのです。 この大陸に大量に寄生し食い荒らしている人々を、駆除しなければなりません。 現在のこのような状況は、神の望まれたものではありません。 神は大いに憂慮されています」

(何言っているんだ、こいつ) オークリーは思った。

「そこで、私は皆様にご提案があります。 神の代理執行者である我々12王の力で、一致協力してこの世界にはびこる有害な人々を駆除し、神が元々造られた自然豊かな大地に戻そうではありませんか」

「ちょっと待ってくれ、我々はいつから神の代理執行者になったのだ?」 オークリーは不機嫌に言った。

「緑の王ですね。 何を仰っているのですか、千年前にこの世界に12王が遣わされた時から、我々は神の代理執行者なのですよ。 あなたは先代王からそのことを引き継ぎされておられないのですか」

「神とはどこの神だ?」 金の席の王様が聞いた。

「もちろん、唯一にして絶対の神、太陽神バロスですよ」 仮面の男は、王様の方へ向いて答えた。

「そんな神は我々の神ではない。 我々の信じる神は大地の神、オージャスだ。 そんな神の代理執行者になった覚えはない」 王様が言った。

「なかなか面白いじゃないか。 ところで人族は根絶やしにするのか?」 クマが聞いてきた。

「根絶やしまでは考えていません。 人も神の創造されたものの一つです。 皆さんのレギオンで働かれて人々など、有益と思われる人を優先的に残します。 私の試算では、残る人々の割合は、恐らく全体の5パーセント前後ぐらいになる見込みです」

「紫の王は如何ですか?」 仮面の男が聞いた。

「興味深い話しではある。 神の代理執行人というのは気にいらないが」 黒い霧から声が聞こえてきた。

「ばかげている。 自分たちが神の代理執行者だなどと言っていること自体、僭越だし思い上がりも甚だしい。 いくら我らが特別な力を持っているからと言って、人々の命を奪って良いはずがない。 様々な環境問題が発生しているなら、それは個別に方策を考えていけば良いことだ。 それはあまりにも乱暴なやりようだ」 オークリーは怒りが湧いてきたが、冷静になるように自分自身に言い聞かせた。

「緑の王よ、あなたはご自分の使命を忘れておられるようだ。 それならばあなたの力は何のためにあるのですか?」 オークリーは答えられなかった。

「我々は宗教論争をしに来たのではない」 ブリキの人形が言った。

「黒の王はいかがですか?」 クリスタルの王は赤いドラゴンに言った。

「全ての事に同意はできないが、一考に値する話ではある」

「バカバカしい、こんな茶番につきあっては居られない。 私は帰らせてもらう」 オークリーは立ち上がろうとした。

「緑の王よ、あなたは明らかに反対の意思を表明する、と言うことですね。それは即敵対すると理解してよろしいですか? 私は今回、12王の盟主として、千年前の不戦の盟約の破棄を宣言するつもりです。 私の提案に賛同されない方は、敵として全力でつぶさせていただきますが、よろしいですね」

「勝手にしろ、私はそんな脅しに屈しはしない」 オークリーは、怒りが頂点に達し、そこで意識の接続を切った。


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