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39-20 魔王との対決(2)

 俺はグレリュウスに向けて剣を横になぎ払った。 青い剣先から三日月型の光が無数に飛び出し、魔王を襲った。 しかしグレリュウスは瞬間移動し難なくかわした。 すかさずアドルが雷撃を加えるも、それもアッサリはじき返した。 アンドレアスやヒョウマ等も続けざまに攻撃するが全てかわされてしまった。

(クソッ、どうすりゃいいんだ) 俺はユウキに念話を送った。


 「ユウキ、何か良い手はないか」

「妙案はない。 しかし、レムの威力はあきれるほど桁違いだが、防御力も桁違いとは限らない。 攻撃を当てることが出来れば倒せないことはないと思う。 ただ、恐らく中途半端な攻撃だと、ダメージをすぐに修復してしまうのではないかと思うぞ」

「分かった。 やってみる」

(止めることが出来れば。 だがどうやって止める) 俺には良い案が浮かばなかった。


 「どうした、もう終わりか? ならこっちから行くぞ」 魔王はそう言うと、右手を頭上に上げた。 すると掌からは幾つもの赤い火の玉のような物が飛び出し、それが生き物のように軌道を変え俺達を襲った。 俺はシールドで防いだが、衝撃で後方にはじき飛ばされた。 他の者たちもそれぞれかわしたり、剣で弾いたりしたが、かわしきれず手傷を負った者もいた。 グレリュウスの動きは素早く、誰も捕らえる事が出来なかった。 更に魔王の繰り出す攻撃は、いずれも的確で威力も大きく被害は拡大していった。 それに対して12王達が束になってかかっても、魔王にダメージを与える事が出来なかった。


 だがついにチャンスはやって来た。

「次はこれだ!」 魔王が右肩の方に左手を引き寄せ、何かを放とうとした。

「オフセット!」俺は叫んだ。 すると、魔王の左手からは何も起こらなかった。

「何!」 グレリュウスが怪訝そうに掌を見た時、アビエルの振るった鞭が魔王の体を絡め取った。

「ふん、こんなもの何の意味もないわ」グレリュウスは何かをやろうとした。

「オフセット」俺は再び叫んだ。 グレリュウスは鞭を振りほどけなかった。

「何だ、先ほどから我の力を発揮させないようにしているのは? お前が何か叫んだことと関係しているのか? そうかお前の呪文が、我の力を打ち消すことができるのか、小賢しい。 こんな物、我の力だけでも」 グレリュウスは力を入れて鞭を断ち切ろうとした。 しかし鞭を切ることは出来なかった。


「無理だね、お前がいくら魔王でも。 この鞭はオーリンの森の奥深く、セリアの霊樹の樹皮を編んで作られている。 ドラゴンでも切れやしないよ」とアビエル。 そう言っている隙にヒョウマはグレリュウスの体を凍結した。 次にセシウスは跳び上がり、剣で魔王の首を刎ねた。


「とどめはボクがさす!」グレンがそう言うと、爆炎を吐いてグレリュウスの体を焼き尽くした。

「おのれ! これくらいで、我を滅する事ができると思うなよ」 魔王は頭だけでわめいた。

「うるさい!」 アンドレアスは転がった魔王の頭に剣を突き刺した。

「ギャーッ!」 更にアンドレアスはその剣にレムを流し込むと、魔王の頭は燃え上がり、灰となって消え去った。


 「やったぞ! 魔王を倒したぞ!」兵達が歓声を上げた。 周りのドラゴン達も喜びの咆哮を上げた。 それと同時に、僅かに残っていた魔王軍の兵士達が、塵のように風に消えていった。


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