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39-18 悲哀の大戦(8)

 魔王軍とドラゴン達の戦いは大混戦となった。 数は圧倒的に魔王軍が多かったがドラゴンの強さも圧倒的だった。

 ヒョウマ達はその間に、混乱状態だった軍勢の立て直しに努めた。 シーウエイ達も同様だった。 俺は本陣に戻ると、スウゲンとユウキに言った。

「本陣を上げるべきではないか? 今、前の両翼は戦える状況にない。 ここで攻め込まれたら持ちこたえられないだろう。 それにドラゴンが幾ら強いと言っても数では圧倒敵に負けている。 ドラゴンを援護するべきだ」 俺は一気に言った。

「確かにカケル様の言うとおりです。 本陣を押し上げましょう」とスウゲン。 すぐに命令は伝えられ、緑、金、青、黄、黒の軍勢は前に移動を始めた。 その間に俺は再び前線に飛んだ。


 ドラゴン達はカマキリやコウモリのような兵士達を次々と焼き尽くしていった。 しかし6人の将軍達はさすがに桁外れに強く、ドラゴン達を切り刻んでいた。

 俺は一直線に二つ頭の将軍に向って行った。 俺が剣で獣のような頭の方へ斬りつけると、2メートルぐらいの大剣を軽々と振るい、俺を剣ごとはじき飛ばした。 そしてその先にはもう一人の将軍がいて、三つ叉の槍で俺の胴を突き刺そうとした。 俺はとっさにシールドで守ろうとしたが、すこし遅れてしまった。

(しまった!)そう思った時、その槍が剣によって止められた。 槍を止めたのはザウローだった。

「まったく、いつも一人で無茶をなさる。 少しはこちらにも回してくださいよ」 ザウローは笑った。

「その通りだ」とヒョウマ。 ギルダもいた。 更に地上にはアンドレアスやアドル、セシウス達まで現れて、将軍達と戦い始めた。

「みんな・・・。 ありがとう。 こいつらは強いぞ。 一騎打ちにこだわらず戦え! 良いか、死ぬな!」


 俺は再び、双頭の将軍へ向って行った。 精神を集中させると体中にレムが駆け巡り、青い剣が更に青い光をまとった。 俺は左手を二つの顔に向けると、光を発した。 まばゆい光に二つの顔は目がくらみ、一瞬動きが止まった。 俺はその隙を見逃さず、鳥のような頭の方を打ち飛ばした。 しかし怒った将軍はそのまま握った大剣で俺を斬りつけてきた。 とその時、将軍の剣を握った腕が突然落下した。 俺が振り向くとギルダが剣で将軍の腕を切り落としていたのだった。 更にギルダはそのまま返す剣で、残ったもう一つの首を刎ねた。 将軍の体は黒い無数の塵のようになり消え去った。

「カケル様、自分から一騎打ちはするなと言っておいて、抜け駆けはいけませんね」とギルダ。

「ハハハ・・・」俺は笑うしかなかった。


 俺の近くでは、ザウローがもう一人の将軍と戦っていた。 勝負は互角のように見えたが、下からアドルが雷撃を加えた一瞬をとらえて、無数の光の剣で串刺しにした。 その将軍は苦悶の表情をしたが、やがて先ほどの将軍と同じように消え去った。


 地表では、アンドレアスが別の将軍と戦っていた。 巨体の将軍が大剣を振るいアンドレアスに攻めかかった。 アンドレアスは素早くかわしたが、その地面は剣が当たった衝撃で土が爆発でもしたかのように飛び去り、地面に大きな穴が空いた。 しかしアンドレアスは少しも顔色を変えず、「フン」と鼻で笑うと、一気に間合いを詰めた。 そして将軍が下を見たときには、既に右脚が膝から下がなくなっており、バランスを崩してそのまま顔から地面に倒れ込んだ。 アンドレアスは素早く体を回転させてその場を退くと、跳び上がり“雷光”で首を打ち落とした。


 アンドレアスがそのまま次の獲物を求めて走り出そうとすると、後ろから呼び止められた。

「オイオイ、俺にも獲物を残しておいてくれよ!」 声をかけたのは、槍を担いだセシウスだった。

「ふん、もたもたしている奴が悪いんだ。 悪いが残しておいてやるつもりはない」とアンドレアス。

「まあ、そう言わず。 アイツは俺がもらう」 セシウスはそう言うと、近づいて来る別の将軍に向って行った。 剣と槍の戦いはしばらく続いたが、最後はセシウスの槍が将軍の胸を貫いた。 残りの二人の将軍も、ヒョウマとバウロに討ち取られた。


 その頃には本陣から移動した軍勢が到着し、魔王軍をバズーカ砲や重機関銃で攻撃し始めていた。 魔王軍は急速に壊滅していった。


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