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39-6 潜入(1)

 飛空船はどんどん高度を上げていった。 敵に探知されにくくするためだった。 窓から外を眺めると、月夜の遙か下に川が蛇行して流れている様子が見えた。 ヒョウマ達が控えている船室に、飛空船の士官が入ってくると説明を始めた。


 「本船はこの高度を維持したまま北東へ向い、ゴルゴン山脈を越えます。 あなた方は後30分ほどで、本船からパラシュート降下してもらいます。 現在、風は南からの微風が吹いておりますので、着地点は数キロ北になるでしょう。 それでは準備をお願いします」


 レオン達は防寒着の上からパラシュートを装着した。

「何度やっても、これは好きになれない。 それにこれは俺の体でも大丈夫なのか?」ガロンがぼやいた。

「文句を言うんじゃない、ガロン」 レオンはそう言うと、ガロンのパラシュート装着を手伝った。

「俺はいい、自分で飛べるからな」とヒョウマ。


 30分後、ヒョウマ達は月明かりの中を飛んでいた。 四角い黒いパラシュートを操りながら風に乗って北に向っていた。 二人を除いては。 ガロンのパラシュートが開かなかったのだ。 ヒョウマは急速に落下するガロンのハーネスをつかむと、そのまま飛行した。

(まったく、世話がやけるぜ。 カケル様は何故こんな奴をメンバーに入れたんだ?)


 降下地点から5キロほど北の草原にヒョウマ達は着地した。 ホーリーとハルは、着地するとすぐにパラシュートを回収して草むらに潜み、他の者が着地する間周囲を警戒した。


 5人は固まって林の中に潜んでいた。 ユウキの指示では、現地の案内人が向こうから接触してくるから、動かずに待つようにとのことだった。

「本当に来るのか?」とヒョウマ。 1時間ほど経った頃だった。


 「今夜の月はきれいですね」 突然背後に二人の人物が立っていた。 ホーリーは驚いて振り向いた。 周囲に能力を使って索敵をしていたはずなのに、全然気付けなかったからだ。

「赤い月夜はよりきれいですよ」レオンはあらかじめ決められた合い言葉を言った。

「お待ちしていました。 私はキレン・ミーライル、こっちは弟のアレクです」 黒の外套で身を包んだ二人の白い顔は月夜でもハッキリと見えた。 まだ15歳ぐらいにしか見えなかった。


 ヒョウマ達は夜の内にできるだけ移動した。 そして夜が明けると、森の中で休息をとった。 そしてその間に作戦の確認を行なった。


 「候補地は三カ所、一番近いのは神殿でここから二日ほどの距離です。その次が旧都の遺跡で五日ほどかかります。 王都までは十日です。 ですがどれも警備が厚く、気付かれずに侵入することは無理でしょう。 ですので、違ったので次の場所というわけにはいきません」とキレン。

「つまりこれと決めた所への一発勝負というわけだな」とヒョウマ。

「となると、やはり王都のレーギアなのでは? レムを蓄えるには頻繁に訪れる必要があるでしょう。 距離が離れているとそれが難しくなる」とレオン。

「いや距離は関係無いな。 何故なら12王はゲートが使える」とヒョウマ。

「なるほど」とレオン。

「秘密の施設ならば、レーギアや神殿のように人が多く訪れる場所は避けるのではないでしょうか」とハル。

「なるほど、そう考えると、遺跡の警護が厚いというのは逆に怪しいな」とヒョウマ。

「私たちもそこが一番怪しいと考えています」とキレン。

「では、遺跡に絞って行くか」とレオン。

「待って。 遺跡に絞って行って違っていたら終わりです。 遺跡に向う途中で可能な限り神殿近くを通って欲しいのです」とホーリー。

「何故だ?」とレオン。

「おそらくその施設は膨大な量のレムが蓄えてあるはずです。 となれば、内部に入らなくても漏れ出す異常なレムを感知できると思うのです」

「だが、向こうもそれは承知で、レムを遮断する壁や結界を張っている可能性が高いぞ」とヒョウマ。

「でも、それならそれで、結界を見つけることができると思います」とホーリー。

「分かった。 ホーリーの提案を受け入れよう」とヒョウマ。


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