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39-3 グレンの逆鱗

 年が明けたある日、緑のレーギア

 しばらく出かけていたグレンが、ふらっと戻ってきた。 グレンは最近、ふらっとどこかに出かけたかと思うと、何日も戻らずまたふらっと帰って来るということが多くなった。 竜王としてやるべき事があるということなのだろう。 俺もそれを一々聞くことは無かった。 しかし今日は様子が違った。 妙に不機嫌だ、と言うより怒っている。 さすがに気になった俺は聞いてみた。


 「グレン、何かあったのか」

「最悪だ。 ドラゴンの島で墓荒らしがあった」 グレンは腹立たしそうに言った。

「墓荒らし? ドラゴンの墓には何かお宝が一緒に埋められているのか?」

「そんな物はない」

「ならば、その犯人は何が狙いだったのだろう」

「分からない。 先代の竜王と先々代の墓が掘り起こされ、遺骸が無くなっていた」

「遺骸? 確かにドラゴンの骨や牙は高値で取引されると聞いたことがある。 しかしあの島で、そんなことをしようとしたら命が幾つあっても足りないだろう。 サーフィスやブロウガスもいるだろうし」

「サーフィスはいなくなった」

「いなくなった?」

「正確には行方不明だ。 ブロウガス達が遠出しているときに、島が何者かに襲われたようだ。 墓の回りは荒されており、明らかに戦闘が起こったと思われた」

「では、サーフィスは戦った後に敵に拉致されたと言うのか?」

「たぶん殺されたのだと思う。 突然、サーフィスから念話が届いた。 『無念・・』という一言だけだった。 ボクが島に到着した時にはサーフィスは、どこにも見当たらなかった。 それ以降念話は通じないし、辺りにはサーフィスのものと思われるおびただしい血が流れていた」 グレンは悔しそうに唇を噛んだ。

「何だって! サーフィスを殺せるような者など、この大陸にはいないだろう」

「いる。 12王なら殺せる」

「そんな、そんなことをするような王など・・・。 いや、一人いる」

「誰だ」

「いや、それは俺の憶測に過ぎない。 何の証拠もないから、ヘタなことは言えない」

「まあいい。 誰であろうと必ず見つけて、後悔させてやる」

(まさに竜の逆鱗に触れてしまったとは、このことだな。 犯人が誰であろうと、見つかったら命はないな)

 グレンは食事をとると、数時間仮眠しまたどこかへ出かけていった。


 俺はユウキとこの件を話し合った。

「どう思う?」

「うーん、可能性があるのは、紫の王だろうな。 遺骸もゲートを使えば運べる」

「やはり、そう思うか。 だが何のためにそんなことをするんだ。 ドラゴン達の恨みを買ってまで」

「それは分からない。 だが、次の戦いに備えたものに違いない。 どう使うのかは分からないが」

「もしかして、魔王軍を召喚するのに必要なのではないか?」

「どうだろう。 ザウフェルに聞いておくよ」

「とにかく紫との戦いは、今までの戦いとは違った次元の戦いになりそうだな」

「ああ、俺もどうして良いのか見えない」


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