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38-11 金への侵攻(1)

 「ガーラントをとりに行くだと!」とアンドレアス。

「タイロン侵攻から間もないぞ。 それにアストリアもまだ落ち着いていないし」とケビン。

「今は勢いがある。 ここで止まってしまうと、逆に容易ではなくなる」とユウキ。

「そうか、では進めてくれ」

「作戦も聞いていないのにですか?」とケビン。

「これから聞く」


 一カ月後、アンドレアスは8万の兵を率いて、ガーラントの王都ゴルドンへ向けて進軍を開始した。 それに合わせて、タイロンからはグレオ王が3万の軍勢で北に向った。 ユウキはガーラント周辺国に文書を送っていたのだ。 アンドレアス王の名前で、アデル族の圧政からガーラントを解放するので、各王の賢明な決断を期待するという趣旨の内容だった。 それに対し、ついにボスリア王国の王が動いたのだった。 アンドレアスの呼びかけに呼応して3万の兵を出したのだった。 アストリアには緑の王の後ろ盾があることが、決め手になったようだった。 ギスガルとメルー二アからも各2万ずつ出兵した。 ただしこれはゲブラの援軍要請に応えたものだった。


 ゴルドン、金のレーギア

 「調子に乗りやがって!」とグレイガ。

「どうする、守るのかい、討って出るのかい?」とソアラ。

「討って出る。 籠城戦は我々には向かない。 倒すのはアストリア軍だけで良い。 後は雑魚ばかりだ」とゲブラ。

「よし、奴らに思い知らせてやる」 そう言うとグレイガは出ていった。


 10日後の夕方、ガーラントの王都から東へ約20キロの平原で、両軍勢は睨み合った。 金の軍勢は5万のアデル族とギスガル2万、メルー二ア2万の計9万に対し、アストリア側はアストリア8万、タイロン3万、ボスリア3万の14万だった。 開戦は翌朝になった。


 ゲブラの幕舎

 「良く来てくれた」 ゲブラは笑顔で、ギスガルとメルー二アの将軍を迎えた。

「敵は我らの1.5倍の軍勢ですが、勝算はおありなのでしょうな」 ギスガルの50代の将軍はゲブラに問うた。

「もちろんだ。 奴らは烏合の衆だ。 アストリアさえ打ち崩せば、自然崩壊する。 何も問題無い。 貴公らにはタイロン軍を抑えてもらいたい」

「ボスリアはどうされるのですか」とメルー二アの将軍が言った。

「問題無い。 ガルバー王は戦が始まってものらりくらりと、戦いを始めず戦況を見極めようとするだろう。 アストリアが崩壊するのを見れば、慌ててこちらに寝返るか逃げ出すかするだろう」 二人の将軍は顔を見合わせた。

「承知いたしました」 二人はそう応えると、幕舎を出て行った。


 アンドレアスの幕舎

 「ガルバー王、よくぞおいでくださいました」 アンドレアスは、グレーの髪と髭の抜け目なさそうな目の初老の王を笑顔で迎えた。 ガルバー王はアンドレアスを値踏みするように見ていたが、静かに言った。

「何の、アンドレアス王の義心に共感したまでです。 ところで緑の王はおられぬのですかな?」

「はい? カケル王はまだですが、緑のレギオンの加勢が無ければ、兵を退かれるとでも言われるのでは無いでしょうな」

「い、いやそのようなことは申さぬが・・・」

「強兵で知られるボスリア軍が一緒に戦っていただけるのです。 負けることなどあり得ません」とアンドレアス。

「う、うーむ。 その通りだ。 では明日はよろしく頼む」そう言ってガルバー王は出ていった。 そのやりとりを見ていたグレオ王が笑っていた。


 「まったく、あの親父は信用できぬ」 アンドレアスはぼやいた。

「アンドレアス王、我々は受けた恩は忘れません。 我らは必ずやお役に立ちます」とグレオ。

「ありがとう。 タイロンについては心配していませんよ」

「まさかガルバー王は、寝返ったりしないでしょうね」とグレオ。

「その辺は考えています」とユウキ。

「そうですか。 それで明日、我々はどのようにすればよろしいですか?」とグレオ王。

「恐らく、タイロンにはギスガルとメルーニアの軍勢をぶつけて来るはずです。 開戦となってもそちらからは攻撃せずに、しばらく対峙して様子を見てください」とユウキ。

「どう言うことですか?」

「ボスリアと一緒ですよ。 どちらが勝つのか見極めようとするでしょう」

「なるほど。 承知しました」


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