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38-7 新王誕生

 アンドレアス達が王宮に入ると、早速、軍の司令官、内政統括官その他諸々の人々がアンドレアスに挨拶し、忠誠を誓った。


 「待て、待て、忠誠を誓う相手が違うだろう。 忠誠を誓うのはカケル王に対してだろう」とアンドレアス。

「いいえ、これで良いのです。 カケル様はこの国はこの地の者が治めるのが良いだろうと考えておられます」とユウキ。

「この国には国民を束ねる王が必要です。 橙の連中と決別したことを宣言し、国を繁栄に導いてくれる強い王が。 そしてそれができるのは貴方様しかおられません」内務統括官のウルセスと名のった者が言った。

「待て、私は王になどならんぞ」とアンドレアス。

「諦めてください。 あんたがなるしかないのだ」とケビン。

「ダメだ、私はカケル様のサムライだ。 カケル様の許可無しに王になどなれない」

「カケル様は了承済みですよ」とユウキはあっさり言った。

「何だと!」

「これで決まりですね。 新国王の誕生だ」とゴーセル。

「お前達、最初からそのつもりだったな。 勝手にしろ!」

「はい、勝手にします」


 翌日には、新王が即位したことが王都内に布告された。 王都は祭りのような騒ぎになった。

 更に翌日、セシウス達レギオンの軍勢は帰還するとの連絡が入った。

「何だと、橙の軍勢はまだ残っているぞ」とアンドレアス。

「セシウス殿の伝言です『後は任せた。 いつまでもレギオンを留守にしておく訳にいかないのでな』とのことです」使いの兵が述べた。

「セシウスめ、好き勝手言いやがる」


 半月後、ブレアの王宮

 アンドレアスは、文句を言いながらも新体制の構築に追われていた。 レッドローズは正規軍に編入され、グラントが全軍を掌握することになった。 ケビンは諜報と外交を統括することになった。 その他の重臣たちは、良く分からないため取りあえずそのままとしたが、後に見直すことにした。 ユウキは当面の間、顧問として残ることになった。 王都の有力者や元貴族の連中が引きも切らず、新王に面会を求めて訪れた。 アンドレアスはその連中に一切会わなかった。 取り次ぎの役人が困ったように進言した。


 「陛下、ダリアン公爵がお見えになっております」 役人が申し訳なさそうに言った。

「その手の人間には会わないと言ったはずだぞ」

「しかし、公爵様にはお会いになっておいた方がよろしいかと思われますが・・」

「元、だろう。 彼らが望んでいるのは、自分達の復権だ。 だが私は元の形に戻すつもりはない。 役に立たない者達を戻せば、たちまち彼らは自分の利益のために権力争いを始めるだろう。 『ここに貴方の席はない』と言ってやれ」

「あまり強引に進められると、回りが敵だらけになりますよ。 前に私は貴方にそう教わりましたが」とユウキ。

「ぐっ、それはそうだが、あんな自分のことしか考えない奴らと、不毛な話などしている暇はないのだ。 それよりタイロンに逃れた橙の奴らをどうするかだ」

「それについてですが、会っていただきたい者がおります」とユウキ。 アンドレアスはユウキの目を見つめると言った。

「分かった、会おう」


 1時間後、王の執務室

 ユウキが連れてきたのは、40代の額に剣によるものと思われる傷のある男と、30代と思われる二人の男だった。 いずれも軍人と思われた。


 「お初にお目にかかります、アンドレアス王。 我らは元タイロン王国軍の兵士で、現在はアンドレアス王と同じように、橙の軍勢から王都アルマを取り戻すべく戦っている者です。 しかしながら我らの勢力は、まだまだ弱小で単独では戦える状況ではありません。 そこで、アンドレアス王、誠にずうずうしいお願いですが、我らにお力をお貸しください」 額に傷のある男が言った。

「どうされますか?」とユウキ。

「聞くまでもないだろう。 もう筋書きはできているのだろう?」とアンドレアスが逆にユウキに聞いた。

「ははは、まあそうですが」

「ならば、やるべき事をやるまでだ。 その願い叶えよう。 名前は?」

「グレオ・バルサスと申します。 この二人は、ノバン・サーウエイとトーラ・ベルビンです。 我々は現在約2万の兵を抱えています。 よろしくお願いします」 傷の男が言った。

「ユウキ、早速会議を始めるぞ。 グラント達を呼んでくれ」

「承知いたしました」


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