3-23 報告
レーギアの一室、大きな四角いテーブルの窓際にセシウス、アンドレアス、グレアムと呼ばれた老人が座っていた。 そしてその反対側にジュリアン、ホーリー、エレインが座り、その間の短い辺のところにクロームとシローネが座っていた。 ジュリアンがレギオンを出発してからのことを簡潔に報告し、3人の幹部の質問に対して、必要に応じてホーリーやエレインが補足するという形が取られた。
「なるほど、ドラゴンがついて来るようになった経緯は興味深いな。 セシウス、正直なところお前はそのバウ-ラを倒した光の柱は、誰がやったものだと思っている?」
「俺はカケルがやったものだと思っている。 アイツ自身、自分の力も使い方も分かっていないのだろう。 バウ-ラの時は、カケルの話しだと意識がとんだと言っている、無意識の状態になったことで、本来の力が解放されたのだと思う」
「アンドレアス様」 ホーリーが発言した。
「どうした、ホーリーお前から発言するなんてめずらしいな」
「カケルは、うまく言えないけどいつも心にカギをかけている。 それが邪魔をして普段は力がうまく出せないのだと思う。 それが追い詰められるとそのカギがはずれて本当の力が発揮されるのだと思う」
「私もホーリーの意見を支持いたします。 これまでの行動を見ていますと、そう考えると納得がいきます」 ジュリアンも発言した。
「そうなんです、アイツは普段はボーッとしていてバカなんですけど、いざとなるとできる奴なんです。 ですから、どうかアイツをここに置いてやってください」 この時とばかりエレインも発言した。
アンドレアスとセシウスは顔を見合わせると、声をあげて笑い出した。
「おやおや、ホーリーだけでなくエレインまで、そいつをよほど気にいったようだな。 お前達はそんなことを心配していたのか? そんな心配は無用だ」
話しが一段落したところで、アンドレアスはセシウスとグレアムの顔を見つめ言った。
「それでは、この者も加えるということでよろしいかな」 セシウスもグレアムも無言で頷いた。 報告会はこれで終了かと思われた時、クロームが発言した。
「アンドレアス殿、そろそろ今回の目的を話してくれても良いのではないかな。 オークリー様がお亡くなりになられたと聞いた。 今回の件はそれに関係があるのではないのですか」
「その通りです、この件については後ほどレギオンの主立った者たちを集めて発表いたします。 申し訳ございませんがもう少しお待ちください」
「セシウス、部隊長以上の者を2時間後玉座の間へ集めてくれ、任務に出ている者、当直の者ははずす。 それと小隊長以上の者で非番の者は出席を許す。 グレアム殿、内務官の職長以上の者についても同様にお願いしたい」
「承知した」 セシウスとグレアムが答えた。
「ジュリアン、ユウキとカケルを二時間後、玉座の間に案内してくれ」
「はい、カケルもですか?」 少し困惑したような表情になった。
「そうだ」
「もしもドラゴンもついてきたいようなら、連れてきても良い」 グレアムが補足した。




