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34-6 黒のリベンジ戦

 黒の王都から約50キロ、銀の軍勢が間近まで迫っていた。 10万の兵と100両の戦車だ。 ザウロー王はあえて前回と同じ戦場を選んだ。 王都から8万の兵、全軍が出兵した。 藍からはスウゲンとバウロ、そして5千の海兵部隊、青からはセリナと2千のボーク隊が参戦していた。


 「今度はこちらが勝つ」 ザウロー王は開戦前の軍議で、諸将に檄を飛ばした。 スウゲンはザウローから請われて、作戦の助言を求められた。 スウゲンは作戦についていくつかのアドバイスを行ない、それが採用された。


 翌日、銀の軍勢を率いるギリオンは、戦場に点在する土盛りに気付いた。 その土盛りは高さが1.5メートルぐらいの何の変哲もない丸い山で、間隔は3メートルぐらいだった。 そして土盛りと土盛りの間には穴が空いていた。 しかもそれは戦場の中央から外側に行くにつれ手前になるように斜めに並んでいた。


 「何でしょうあの土盛りと穴は・・・」 ギリオンの副将として参戦したフレアはギリオンに言った。

「分からん。 奴らが王都を奪還したときには、塹壕として同じように穴を掘ったと聞いたが、あれでは塹壕の役目をはたしていないぞ。 まさかあの程度のもので、戦車の侵攻を止められると考えているのではないだろうな」

「とにかく用心して進んだ方が良いでしょう」とフレア。


 日が昇りきる前に戦闘は開始された。 戦車部隊が先頭を横二列になり進軍を開始した。 戦車群が土盛りまでくると、そこで進行が止まった。 土盛りで登り切れないもの、穴に前輪が落ちて砲身を地面にめり込ませるもの、肩輪を穴もう肩輪を土盛りに乗り上げて横転するものが続出したのだ。 そしてそれを待っていたかのように、黒の兵士が次々と現れた。 その手には長い筒を持っていた。 兵士は筒を肩に担ぎ、もう一人の兵士が砲弾をセットすると、身動きが取れなくなった戦車めがけて一斉に、バズーカが発射された。 砲弾は次々と戦車に命中し爆音とともに破壊していった。 これはスウゲンの策である。 バズーカが大量に準備出来たのは最近である。 したがって兵士も十分な射撃訓練を受けておらず、動いている標的に当てるのはまず無理であった。 そのため、戦車を足止めする必要があったのだ。


 戦車は次々に破壊され、この短時間の間に半数近くが使用不能になった。 二列目を走行していた戦車は左右に分かれ、戦場を迂回しようとしたが、そこを黒の兵達に待ち構えられてバズーカの餌食になった。 残った数両は苦し紛れに当てずっぽうに黒の本陣めがけて砲を撃ったが、砲弾は兵達のいる場所とは関係無い場所におちた。


 ザウロー王は全軍に攻撃命令を出した。 歩兵達は前面の兵が盾を持ち、銃弾を防ぎながら銀の歩兵達との距離を詰めていった。 その間にセリナは2千のボーク隊を率いて、銀の上空から攻撃を開始した。 銀の兵達も下から銃を撃ってきたが、上からの攻撃の方が有利だった。


 セリナ達が銀の軍勢を攪乱しているうちに、黒と銀の歩兵が激突した。 黒の兵も勇猛さではマブル族やアデル族にも負けない戦闘民族である。 白兵戦は黒の兵の方が有利だった。 とは言え銀は数では黒を上回っており、容易に崩れはしなかった。


 両軍が混戦となっているとき、その様子を見ていたバウロは言った。

「さてそろそろ我々の出番だな。 出るぞ!」 バウロは兵達に命令した。

 5千の海兵部隊は、銀の軍勢の左翼後方から襲いかかった。 バウロの軍勢は僅か5千だったが、銀の軍勢に与える効果は絶大だった。 持ちこたえていた銀の軍勢は、後方から崩れだした。 そしてそれは前線の兵達にも影響を及ぼし、前線は持ちこたえられなくなった。 敗色が濃厚となった銀の兵達は、総崩れになって逃げ出した。


「クソッ、これまでか。 退くぞ」 ギリオンはフレアに言った。

「そうですね、これ以上は無理ですね」 そう言うと、フレアは全軍に退却を命じた。


 「良し、我々の勝利だ。 前回の雪辱は果たしたぞ」ザウロー王は嬉しそうにスウゲンに向って言った。

「おめでとうございます」とスウゲン。

 その後、黒の軍勢は追撃をかけ、銀の軍を大いに破った。


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