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34-4 黄の王都攻防戦(2)

 「何と言うことだ。 このままでは済まさない」とシーウエイは言うと、側にあった丸い形の通信機を手に取った。

「ブレオ、後どれ位だ?」

「はいこちらブレオ。 あと10分ほどで着きます」通信機から声が聞こえた。

「分かった、急げ」 シーウエイは通信機を置いた。


 俺はミーアイにフィーゲルのボーク隊を出撃させるように言った。 西の黄の軍勢の背後から、無数の三角形のボークが空中に浮かび上がった。 フィーゲル達は銀の歩兵達を空中から攻撃した。 それに対して、銀の兵達は銃で対抗した。 その間にルークは黄の騎竜部隊を率いて、銀の軍勢に襲いかかろうとしていた。


 突然、東の方から轟音が聞こえ、それが次第に大きくなっていった。 東の空に巨大な鳥の群れが現れたように見えた。

「何だ、あれは?」 兵達が騒ぎ出した。 俺はユウキの顔を見た。 ユウキは頷いた。

「やはりあったな」 俺はユウキに言った。

「ええ、しかも想像していたよりも大型でしたね。 あれだと爆撃機としてもつかえそうだ」とユウキ。 銀色に機体を輝かせながら十数機の飛行機の編隊が近づいてきた。 ブーメランのような後退翼を二段に持ち、両翼にプロペラを持っていた。 飛行機は飛空船よりも高速で飛行し、近づいて来たかと思うと、ボークに対して機銃攻撃を加えた。 弾丸はボークの青い機体をボール紙のように切り裂いた。 ボーク隊は混乱し、編隊を乱し機銃掃射で次々と撃ち落とされていった。 ボーク隊は鷲に襲われる雀の群れのようであった。 更に飛行機部隊は黄の軍勢の上空を通過ざまに兵達に機銃を浴びせた。 黄の兵達は弾丸の雨を受けて、多くの死傷者が出て混乱をきたした。


 「ボーク隊を退かせるんだ」 俺はミーアイに言った。

「ユウキ、例の物は使えるのか?」 俺はユウキに言った。

「ああ、今準備させている。 少し待ってくれ」 ユウキがそう言っている間にも、バズーカを持つ兵は、それで飛行機が撃ち落とそうとするが、高速で飛行する飛行機に当てることは出来なかった。


 エランの部下達が慌ただしく奥から、白い帆布で覆われた何か大砲のようなものを、次々と引き出してきた。 兵士が覆いをはずすと、そこには車輪が付いた砲身は細いが軽量で大砲よりは扱いやすそうな砲があった。 もう一種類は3連の筒状の花火の発射筒のような物だった。 兵達はそれを前面に次々と並べた。


 「機関砲と地対空ミサイルだ。 ミサイルは、追尾機能はないので3発同時に発射する。 飛行機はデリケートだから、翼に一発でも当たれば撃墜することが出来る」ユウキが説明した。 兵達は前面に次々と手際よく設置すると、攻撃を開始した。 向ってくる飛行機に対して、機関砲が次々と砲弾のベルトを飲み込み“ダッ、ダッ、ダッ・・・・”と力強い連射音を響かせながら火を噴いた。 すると先頭の飛行機の右翼に数発被弾し、右翼が吹っ飛んだ。 飛行機は大きくバランスを崩すと、左の砂漠に墜落し轟音とともに爆炎を上げた。 その隣では傾けた筒から3発の小型ミサイルが“シュゴーッ”という音とともに続けざまに発射され、白煙の筋を描きながら近づいて来る飛行機に向って行った。 その内の1発が飛行機に胴体後部に当たり爆発した。 その飛行機は空中で大破し、黒い煙を上げながら砂漠に突っ込んだ。 同様のことが戦場の上空で続いた。


 「何という戦いだ。 こんな戦いは見たことがない」 ギルダは驚いた。

「カケル王は、このような兵器があることも、このような戦いになることも想定されていたようですね」とジョエル。

「我々とは次元が違いすぎる」とギルダ。


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