34-3 黄の王都攻防戦(1)
俺は緑のレギオンのほぼ全兵3万を黄の王都へ送った。 俺はいつの間にかレベルが4に上がったようで、一度にゲートで送れる人数が1万まで上がった。 黄のレギオンの兵力は3万5千、それに青から3千の援軍が来ていたので、総勢6万8千で銀と赤の連合軍15万を相手にしなければならなかった。
「敵が到着するのはあと約15日後と思われます」ジョエルが地図を広げて説明した。
「敵には戦車があるので、籠城戦は向かないでしょう。 城壁を難なく破壊されてしまいますから」 ユウキが腕を組みながら言った。
「それですが、私に考えがあるのですが・・・」 ミーアイはそう言うと策を説明した。
「うん、それはいけそうですね。 私も良い考えだと思います」とユウキ。
「ならば、このような布陣では如何でしょうか」とジョエル。
「良いんじゃないか」とセシウス。
「では、それを基本に細部を詰めてくれ」俺は言った。
「赤の対応はどうしますか」とギルダ。
「それに付いては、行軍を妨害して到着を遅らせたいですね」とトウリン。
「ではこんな策は如何でしょう」とユウキ。
「良いと思います」とミーアイ。
「では各自準備をお願いします」
10日後、赤の王都へ続く街道
グラス王は直接5万の兵を率いて、黄の王都を目指していた。 山岳地帯がもうすぐ終わり、開けた地形になるというところで異変は起こった。 突然、落雷のような轟音とともに軽い地震も起こった。 前方からサツカが報告にやって来た。
「前方の道が大きく地割れを起こして、渡れません」
「何だと、敵の仕業か?」
「恐らくは。 両脇が岩山のため容易に迂回は出来ないかと思われます」
「橋を架ける事は出来ないのか?」
「亀裂の幅が20メートル以上あります。 橋を架けるにしても大分時間がかかるでしょう」
「何ということだ。 これで開戦に間に合わなかったら、バラス王に何を言われるか。 大至急木を切り出せ、橋を架けるんだ」
「はっ」 サツカが後方に向っていった。
丘の上からユウキが様子を見ていた。
「良し、あと二カ所やっておこう。 これで三日くらいは到着を遅らせることができるはずだ」
「分かりました」 フィーゲルとその部下が10名一緒に来ていた。 ユウキは久しぶりにボークに乗れてご機嫌だった。
黄の王都から東へ約20キロの砂漠
波打ったように起伏した砂に所々岩が現れた砂漠に俺達は陣を構えた。 西側に黄の軍勢3万、北側に緑の軍勢3万だった。 銀の軍勢は翌日の朝、戦場に現れた。 100両の戦車を前面に押し出し、7万の歩兵が続いた。 残りの3万の兵は、制圧した黒油の施設の防御に回っているのだろう。
シーウエイは布陣を確認した。 特にバズーカを警戒した。
(さて、何を企んでいる。 きっと何かあるはずだ。 バズーカもあるだろう。 だがまあいい) シーウエイは戦車隊に攻撃を命じた。
戦車群の砲塔が黄の軍勢に狙いを定めようとしていると、突然両軍の間に風が吹き出し砂塵が舞い上がった。 黄色い砂で前方が見えず、砲手達は狙いが付けられなかった。 すると突然戦車が傾きだし、砂に沈み込み始めた。 風を起こしたのはギルダだった。 砂が沈みだしたのは、ユウキとミーアイのコラボによって人工的に流砂を作り出したのだった。 100両あった戦車の三分の二は砂に埋もれ砲塔が突きだしている状態だった。 生き残った戦車約30両は流砂から逃れようと下がり始めたが、その時南北の砂漠から突然兵士が現れた。 エランの特殊部隊が昨夜の内から砂漠に伏せて同色のシートでカモフラージュして潜んでいたのだった。 兵士達はバズーカ砲を構えると、生き残った戦車めがけて砲撃を開始した。 残っていた戦車が次々と破壊され、この一連の攻撃で銀の戦車隊は完全に沈黙した。