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34-1 嵐の前

 水晶のレーギア

 金との戦いから半月ほど経った頃、俺は12王達を集めた。 現状の問題点を共通認識にするためだった。 ユウキとスウゲン、クレオンとジョエルも出席していた。


 「我々は大陸の南部から中央にかけて大きな勢力になりました。 しかしながらそれは同時に、勢力拡大を図る紫と銀の勢力にとっては脅威となっているはずです。 このまま黙っているはずはありません。 恐らくまず狙われるのはギルダ王のところでしょう」 ユウキがその理由を説明した。 他の王達も頷いた。

「ですので今後は協力して防御してゆく必要がありますが、一番の問題は距離です。 援軍を送ろうにも時間がかかり間に合わない可能性があります。 ですので重要なのは、敵の動きの一早い察知と防御態勢の強化です。 決して単独で決戦しようとはお考えにならないでください」とユウキ。

「分かりました」とギルダ。


 その後は、各レギオンの戦力がどれ程かが、各王から発表された。 俺は現状を正しく把握するためにも、見栄を張らないように釘をさした。 スウゲンはメモをとっていた。


 会議の終了後、俺はヒョウマとの会談の時間をとった。

「正直なところ白の王都奪還についてどう考えている。 向こうに使える戦力はあるのか」と俺は聞いた。

「向こうにガーリンというサムライがいる。 最近も連絡を取った。 今は兵達も分散して潜んでいる。 ガーリンの話では俺が戻ると言うことになれば1万ほどは集まると言うことだった。 だが向こうには5万の兵がいて、しかも強力だ。 まともに戦っては勝てない」とヒョウマ。

「基本プランはあるのか?」

「まあ、俺としては真冬に奪還作戦をした方が良いのかもと思っている。 極寒の中では奴らも十分に活動することが出来ないだろう。 だが我々の兵は戦う事が出来る。 更にレグナ族という巨人族の協力も得られるし、氷塊兵というゴーレムも使える」

「なるほど」

「だが、それだけではやはり足りないとも感じている。 冬期に作戦を行なえば、援軍も送れないし、雪の中での戦闘も出来ないだろう。 そう考えると具体的な作戦がまだ見えていない」 クレオン、ユウキ、スウゲンは黙って聞いていた。

「王都の詳しい地図はありますか?」 スウゲンが聞いた。

「用意出来ます」とクレオン。

「では、クレオン、ユウキ、スウゲンと王都奪還作戦の案を練ってくれ」

「承知いたしました」


 翌日、俺達はギルダと黄の王都へと移動した。 防衛戦に備えて都市や回りの地形などを見ておきたかったのだ。

 レギオンの重臣達に紹介されたあと、会議室で地図を見せられた。 ジョエルによる説明を受けたあと、王都の東の城壁に登り辺りの様子も確認した。 王都の北側には川が見えた。 そして川の両側には農地が広がっているのが見えた。 南側には草原が広がっていたが、更に南の方は岩と砂漠になっているとのことだった。

「黒油が出るのはどの辺りですか?」ユウキが聞いた。

「ここから南東に100キロほどの砂漠地帯です」ジョエルが答えた。

「そうですか。 銀が攻めるとすれば、まずそこを抑えようとするでしょうね」

「そうですね。 ですので、戦争が始まったら最初に井戸を破壊しようと考えています」とギルダ。

「いや、それはよした方が良いでしょう。 欲しいなら渡してしまえばいい」とスウゲン。

「何故です?」 ギルダが驚いたように言った。

「破壊してしまえば、怒り狂って攻めて来るでしょう。 抑えてしまえば、そこを奪還されまいとして、かなりの兵力を割いて守ろうとするでしょう。 取りあえずは兵力を分散させるようにした方が得策です」

「なるほど」


 その後はルークから軍の装備や砂漠での戦術について説明を受けた。 スウゲンは終始黙って説明を聞いて、時折メモをとっていた。

 その夜は、歓迎の宴が設けられた。 そして翌日、俺達は帰還した。


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