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32-7 水晶の王都防衛戦(3)

 緑の軍勢を率いていたのは、セシウスだった。 隣にはトウリンもいた。 緑の軍勢は、この3日間の間に俺とヒョウマで手分けして、行軍の途中からゲートを使って移送したのだった。 慌てて普通に進発させたのは、王都に潜んでいるであろう密偵に見せるためだった。

「さて、グレアム殿の弔い合戦といくか」 セシウスはトウリンにいった。

「ええ、ですが。 貴方は総司令官ですので、後ろで全体を指揮してももらわねばなりません。 今回は私の番ですよ」とトウリンは笑った。

「何だと!」


 リゲンの騎竜部隊が、アデル族の左翼に横から突撃を開始した。 金の左翼は前から水晶、横から緑の攻撃を受け、混乱しだした。 リゲン達は金の軍勢の中を縦横に走破し攪乱すると、囲まれる前に離脱した。 そして入れ替わるようにトウリンの歩兵部隊が攻撃を開始した。


 俺とヒョウマはその様子を、ブロン山の頂上から見ていた。

「始まったな」とヒョウマ。

「うまく行けば良いが。 アデル族の強さは驚異的だ」

「もっと近くで見よう」そう言うと、ヒョウマは空中に浮かんだ。 俺もそれに続いた。


 金の右翼がほぼ単独で水晶の軍勢を抑えていた。 しかし1万の兵で4万の兵を抑えるのはさすがにきつかった。 ゲブラは躊躇なく決断した。

「右翼のソアラのところへ、半数を送れ。 残りはついて来い」 ゲブラはそう言うと残りの1万を率いて左に向い、セシウスの軍勢の右から襲いかかった。


 戦況は一進一退し、均衡した。 金の軍勢は緑の奇襲で一時混乱をきたしたが、落ち着きを取りもどし本来の高い戦闘力を発揮しだしたのだった。


 「まずいな、勢いを盛り返させると流れが向こうに行ってしまうぞ」 セシウスは自ら槍を持ち、騎竜を東から来る金の軍勢に向けた。 先頭を駆けてくる赤い体の腕を4本持つ兵達に斬り込んだ。 槍にレムを乗せると一気に数人を切り倒し。 敵を寄せ付けなかった。


 「何だアイツは。 サムライか?」 ゲブラは黒い騎竜にまたがった、青い鎧の男を指さした。 敵の将軍と判断したゲブラは自分で対処しようと騎竜を近づけた。

「私が相手をしよう」 ゲブラはセシウスに声をかけた。 セシウスはゲブラを見つけると向き合った。

「私はセシウス・バーラント。 貴公は?」

「私はゲブラ・ゾール」 ゲブラがそう言うと、セシウスの顔が厳しくなった。

「そうか、良いだろう。 カケル様への狼藉とグレアム殿の無念に対するつけをここで払ってもらおう」


 俺はゲブラを見つけると、怒りがまたこみ上げてきた。 それと同時にセシウスがゲブラと一騎打ちをやろうとしていることに気付いた。

「まずい! アイツは特殊なレムを使う」 俺は急いで彼らのところまで飛んで行った。 ヒョウマもついてきた。


 突然、戦場の空気が変わった。 敵も味方も周りの兵達は、セシウスとゲブラの殺気で空気がひりついたと思ったがそうではなかった。 俺とヒョウマが二人の上空に制止した。 俺はゲブラを睨みながら見下ろした。


 「クッ、緑の王!」 ゲブラの顔がうずいた。

「カケル様、こいつは私の獲物です。 手出しは無用に願います」とセシウス。

「分かった。 セシウス、だがこいつは卑劣な手を使う。 気をつけろ」そして今度はゲブラに向った。

「金の王よ、貴方が武器のみで正々堂々戦うなら私は手を出さない。 だがこの前のような手を使うなら、今度こそ即座に貴方の命をとる、今度は逃さない。 重力のレムは通用しないと覚えておけ」 俺は冷たく言い放った。 ヒョウマは意外そうな顔をして俺の顔を見た。

「これは面白そうだ。 セシウスのだんなの本当の力を拝めそうだ」とヒョウマ。


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