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31-1 金の侵攻

 ゴルドン、金のレーギア

 ゲブラは不機嫌だった。 顔面がまだ痛むせいもあったが、先ほどラウエル王に謁見しておしかりを受けたせいだった。 ゲブラの顔面は、腫れは引いたが顔面はまだ少し歪んでいた。


 「水晶に侵攻する。 すぐに準備を進めてくれ」

「確か水晶は8万くらいの兵がいるんじゃなかった。 それに黄と同盟も組んでいたはず」とソアラ。

「こちらには反乱に備え1万残し、4万の兵を出す。 そのかわりにガーラントとボスリアから1万ずつだす」

「それで大丈夫か? 今回の件と橙の件で2回失敗していることになるだろう。 この遠征が失敗したら、まずいことになるんじゃないか」とグレイガ。

「ああ、だが水晶は北からの侵攻も警戒しなければならないし、黄も銀の侵攻を警戒してたいした援軍は送れないはずだ」とゲブラ。

「あんたにしては珍しく、少し焦っていないかい?」とソアラ。

「アレン達の件だろう?」とグレイガ。 ゲブラは口を歪めた。

「アレン達も焦っている。 白の王都を落としたが、王に逃げられている。 天聖球を持ってな。 王が生きているうちは、完全に白を支配したとは言えない。 いつ王が軍勢を立て直して戻って来るかも知れないと言うことを恐れているはずだ。 そして白の王は今、間違いなく水晶のレーギアにいる。 だからアレンは俺達が水晶を攻める前に水晶を攻め落とし、一気に二つの天聖球を手に入れようと考えているはずだ」とゲブラ。

「なるほどね。 アレン達にしたら、今回の我々の失敗は笑いが止まらないでしょうね」とソアラ。

「と言うわけで、我々はアレン達よりも先に水晶を攻める必要がある」とゲブラはあごをさすりながら言った。

「分かったわ」


 水晶のレーギア

 ヒョウマは焦っていた。 すぐにでも水晶の兵を率いて白の王都に攻め上りたかった。 しかし金がいつ攻めて来るかも分からない状況で、逆に誘い込むような事はできなかった。


 「ヒョウマ様、ついに金の軍勢が動き出しました。 東に向っているとのことです。 狙いはここでしょう」とターニャ。

「クソッ、やはり動き出したか。 クレオン、どうする?」

「まずはギルダ王に援軍を要請いたしましょう。 そして全軍で迎え討ちます。 向こうは反乱を恐れ動員できる軍勢はせいぜい3万から5万でしょう。 北への警戒は怠れませんが、仮に向こうが攻めて来たとしても、山を越えるのに手間取っている間に、金の軍勢を撃破すれば良いのです」とクレオン。

「うーん、だがそれで本当に勝てるだろうか。 金の魔人族は5、6万で金の10万以上の軍勢を蹴散らしたと言うではないか。 実際、白の王都郊外で奴らと戦った時も、あの強さは尋常ではなかったぞ」

「ですが、現状ではそれが最善の策です」とクレオン。

 ヒョウマはしばらく黙って考えていた。 そして静かに言った。

「カケルのところへ行こう」

「何ですと。 同盟を結ぶ決意をされましたか」

「そうではない。 ターニャ、しばらく出る。 金との戦いまでには戻る。 兵を出して迎撃する準備を進めてくれ」

「かしこまりました」 ターニャはそう言うと、部屋の隅から天聖球をとりだしてヒョウマに手渡した。

「万一の時に備えて、これをお持ちください」

「お前、俺の考えが分かったのか?」とヒョウマは驚いたようにターニャの顔を見つめた。

「大分、貴方様の考え方が分かってきましたわ」とターニャは笑った。

「私には分かりません・・・」とクレオンが困惑顔で言った。


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