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28-6 再会(1)

 会議の後、俺はジュリアンと話をした。

「アンドレアスさんと連絡をとって今の居場所を聞いて欲しいのだ」

「それはかまいませんが、どうなされるのですか」

「ちょっと考えがある。 私から聞いてくれと言ったことは内緒にな。 教えるのを渋るかもしれない」

「承知いたしました」


 夕刻にジュリアンが部屋に入って来た。

「カケル様、アンドレアス様の居場所が分かりました。 ガレジオン山脈の西にあるソドンの要塞と呼ばれるところです」

「そうか、ありがとう」

「何をお考えですか? 私に秘密は無しですよ」

「会いに行こうと思っている」

「えっ、では皆を集めます」

「いや、いい。 私一人で行く」

「それは絶対にダメです。 第一、ソドンの場所をご存知ですか?」

「あっ、いや・・・」

「分かりました、私がお供いたします。 私はおおよその場所が分かりますから」

「はい、お願いします」俺は抵抗を諦めた。


 フロアを出たところで、ホーリーに見つかった。

「どこに行かれるのですか? 私もお供いたします」とホーリー。 するとその脇からアドルが現れた。

「ホーリーは異世界の時について行ったから、今回は俺に譲ってもらおう」とアドル。

「アドルは魔物退治に参加している」とホーリーは抗議した。

「まあまあ、今回は極秘の外出だ。 少ない方が良いのだ」と俺。

「ですが、アドル様だけでもお連れいただいた方がよろしいでしょう」ジュリアン。

「決まりですな」とアドル。

「夜明けまでには戻る」俺は不服そうなホーリーに言った。


 俺達は時間を短縮するため、ガレジオン山脈の西側まではゲートで行った。 そこからは2頭の飛竜で夜間の空を飛んだ。 夜間の飛行は危険度上がるので通常は避けるのだが、見つかるのを避けるためあえて夜に飛んだのだった。 アドルは俺の後ろに乗っていた。 高所恐怖症のアドルにとっては、下の景色が見えない方がかえって恐怖心が薄らいだ。


 飛竜で1時間ほど飛んだ時に、山の中腹に点在する灯りが見えた。 ジュリアンはその灯りに向って進んでいった。 急峻な山の頂上を平らに削った広場に飛竜を下ろした。 飛竜に気付いた見張りの兵達が騒ぎ出した。 そして武器を手にした兵達に俺達は取り囲まれた。


 「敵ではない。 アンドレアスに会いにきた」と俺。

「何だと、そんな奴はいねえよ。 こっちは獣人族だぞ。 橙の奴らか?」兵士の一人が叫んだ。 その騒ぎを聞いて大男が近づいて来た。

「あっ、ゴーセル様。 怪しい奴らです。 橙の斥候かも知れません」 ゴーセルと呼ばれた大男は俺を見つめると言った。

「何者だ? 返答次第じゃ生きて帰れないぞ」 それに対してジュリアンが何か言おうとしたが、俺が黙って制した。 俺はゴーセルをにらみ返すと言った。

「敵ではない。 良いから団長の所へ案内するのだ。 カケルが来たと伝えよ」 ゴーセルはビクッとしたかと思うと、急におとなしくなった。 そしてそのまま黙って俺達を中へ案内した。


 部屋の中へ入ると、俺の顔を見たアンドレアスが驚いて立ち上がった。

「カケル様、どうしてこちらへ? ジュリアンとアドルもか」 部屋にいたケビンとグラントも困惑した。 俺は上座に座らされると、ケビンが言った。

「我々は席を外した方がよろしいでしょうか? カケル王」 ケビンは俺が誰か気付いたようだ。

「かまわない。 我々が来た事はすぐに兵達に伝わるだろう。 変に勘ぐられて私とアンドレアスで密約が交わされたと噂される方が良くないだろう」 アンドレアスも頷いた。 ケビン、グラント、ゴーセルもテーブルについた。


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