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27-4 王の会談(1)

 レーギア、王の居室

 「どう思われますか?」とファウラ。 俺はファウラから見せられた紙片をテーブルの上に置いた。 紙片には『私は黄のギルダです。 王様にお会いしたいです。 私たちは“兎と狼”という宿に泊まっています』と書いてあった。

 そこへユウキが入って来た。 俺が呼んで来てもらったのだった。


 「これを見てくれ」 俺は紙片を見せた。 ファウラがその紙片を手に入れた経緯を説明した。

「黄のギルダと言うのは、黄のレギオンのギルダ王か?」とユウキ。

「えっ、王様がカケル様に会いに来たっていうことですか?」とファウラ。

「黄の王だったら、何もこんな回りくどいことをしなくても、レーギアに来てくれれば良いじゃないか」

「会いに来たことを、水晶や銀の王に知られたくないのだろう」とユウキ。

「なぜ?」

「黄は今まで水晶と同盟を結んでいた。 しかし水晶は先日の戦いでヒョウマに敗れヒョウマの軍門に降った。 これによって完全にパワーバランスが崩れた。 黄は同盟とは名ばかりの属国扱いをされるだろう。 そしてそれを見越して今、銀の王からの誘いが来ているはずだ。 それも表向きは対等の同盟と言いながら実体は水晶と大差無いだろう。 それが分かっているから、黄の王はどうすべきか悩んでいるのだろう」

「前門の虎、後門の狼状態か」

「それじゃあ、カケル様に会いに来たって言うのは、同盟を持ちかけるためということですか?」とファウラ。

「それは分からない。 しかしその可能性はある」

「もしそうだったらどうすれば良い」

「正直、この同盟には、こちらのメリットはほとんどなく、リスクばかりだ」

「どうして?」

「考えて見てくれ。 もし黄のレギオンと同盟を組んだら、黄のレギオンは即刻どちらからか攻め込まれる。 ヒョウマは4つのレギオンを手中にして、紫の勢力や我々に対抗出来る体制を整えたいと考えているだろう。 また銀のレギオンは、戦車等の兵器を維持するには、黄のレギオンから産出される“黒油”と呼ばれる石油の確保は必須のはずだ。 最悪は両方から同時に攻め込まれ、争奪戦になるだろう。 そうなった時に、我々はすぐに援軍を送ることが出来ず、もたついている内に黄が落ちてしまうという最悪のことになる可能性が大だ」

「なるほど」


 「こういう言い方は黄に対しては申し訳ないが、こちらとしては水晶と銀が黄を巡ってつぶし合ってくれる方がありがたい」

「そういう言い方はないんじゃないか」と俺は嫌な顔をした。

「我々も続く戦で兵が疲れている。 かかっている戦費も莫大だ。 避けられる戦いならば避けたい。 敵の関心がこちらからそれるならば、それにこしたことはないのだ」

「それはそうだが・・・」

「会うんだろう?」

「とにかく会ってみようと思う」

「いいか、同盟を持ちかけられても、安易に受けるんじゃ無いぞ。 受ければ100パーセント戦いに巻き込まれるぞ」

「分かったよ」


 翌日の午前、ギルダの宿

 ギルダを少年が尋ねてきた。

「カケル様の従者でハルと申します。 カケル様がお会いになられます」

「えっ、本当ですか」とギルダ。

「ご案内いたします」とハル。 二人はハルについて街の中を歩いて行った。


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