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26-6 魔物討伐(2)

 エルクは藍色に輝く翼を広げ、バズーカ砲を持ってギルガズーラの方へ飛んで行った。 300メートルほどまで近づくと、エルクはその大きさに圧倒された。 趣味の悪い絵のような毒々しい色の堅い殻に覆われたそれは、山のようだった。

 エルクは筒に砲弾を装填すると、まだら模様の壁に向って狙いを定めた。 引き金を引くと、白い煙を引きながら砲弾が魔物の殻に着弾し、轟音とともに爆発した。 煙が薄れていくと、砲弾が当たった場所には、微かにひび割れがある程度のダメージしかなかった。


 「やはりダメか」とユウキが言った時、僅かに山が動いたように感じた。

「いや、目を覚ますんじゃないか」と俺。

「カケル様、見てください。 殻にヒビが・・・」とミーアイが指さした。

 まだら模様の殻が小刻みに振動を始めたかと思うと、“ビキッ、ビキッ”という音とともに縦に無数の亀裂が走った。 やがて殻が全体的に膨らんできたかと思うと、殻が細かく割れて崩壊していった。 殻が崩れ落ちて、大量の土埃が舞い上がった。 土埃が消えた後に、現れたその姿に俺達は背筋が寒くなった。 そこには黒い巨大な体に8本の蛇のような長い首、そしてそれらの先には蛇のような頭が付いていた。 頭頂には後ろ向きに角のような物が生えていた。 体の下には、足というよりは赤い無数の触手のような物が生えていた。


 「進化している」とグレン。

「えっ!」と俺。

「最初は頭が無くて、大きなミミズの塊みたいだった。 その内ボク達の攻撃を受けると、蛇のような姿になった。 それが今は体が鎧のようになっている」とグレン。

 確かに皮膚は鎧のような鱗に覆われて、黒光りしていた。 8つの頭は8方向を向いており、どの方向からの攻撃にも対応出来るようになっていた。


 牛たちが驚き、逃げようと鳴きながら暴れた。 魔物はそれに気づき、触手のような足を動かしながら牛たちの方へ近づいていった。

「やるぞ! 何が起こるか分からない。 用心しろ」 俺はそう言いながら、腕輪を確認した。


 ギルガズーラは牛たちに近づくと、そのまま牛たちの上に体を乗せていった。 蛇たちの口は、食物を食べるための物ではなく、本当の口は触手の奥の体の下部にあるのだろう。

 俺は黄炎石が丁度魔物の真下にきたと思われるタイミングに合わせて、黄炎石が燃え上がるイメージでレムを送った。 すると突然、蛇たちが一斉に頭を持ち上げ、首をくねらせながら苦しそうな咆哮をあげた。 ギルガズーラは8つの頭を、お互いに首をぶつけ合いながら、もがいているようだった。

 

 俺は更に一気に爆発するようなイメージで燃焼させようとした。 魔物は首を狂ったように振りながら、やがて少しずつ動き出した。

(マズイぞ。 石から逃げるつもりだ)

「ダメだ、逃げられるぞ。 逃げられたら再生されてしまうぞ」とユウキ。

「ミーアイ、代わってくれ!」

「分かりました」 そう言うとミーアイは黄炎石にレムを送り始めた。


 俺は剣を抜くと、一気に魔物の所まで飛んでいった。

「カケル様、自分だけで行くのは反則ですよ」 バウロも剣を抜くと走り出した。

 アドルやガロン、エルクも向った。

 俺は空中で青牙を一閃すると、蛇の首を切り落とした。 蛇の首からは紫色の血が噴き出した。 グレンも側まで来ていて、切り落とされてうごめく頭を、炎で焼き尽くした。


 エルクは別の蛇の頭の前に行くと、腰から2本の小振りな三日月のような刀を取りだした。 それを同時に蛇の首に向けて投げた。 2本の刀はブーメランのように回転しながら、蛇の太い首を交差しながら斬り断った。 勿論、通常の刀では傷を付けることも出来なかっただろう。 エルクは刀にレムをのせ、飛ぶ軌道も制御したのだった。 そこにも赤いドラゴンがやって来て、落ちた蛇の頭を燃やし尽くした。


 残った蛇の頭達が、怒り狂ったように辺りかまわず、熱線のようなものをはいた。


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