26-5 魔物討伐(1)
俺はまずゲートを使いエルクとアテン島に移動した。 そしてスフィン王に簡単に事情を説明し、黄炎石を譲り受ける許可を得た。 その後、エルクと空を飛んで黄炎石が採掘出来る場所まで行った。 そこでちょっとした家くらいある黄炎石の塊を手に入れ、レーギアの庭まで運んだ。 その頃、ユウキ達は他に必要な物を準備していた。 庭には3頭の黒い牛がいた。
今回一緒に行くのは、俺とグレンの他にユウキ、アドル、アビエル、ファウラ、ミーアイ、エルク、バウロ、ガロンだ。 この人選でも一もめあったのだった。
「今回は私とグレンとアドルでいく」そう言うと、一斉に不服そうに言った。
「状況の変化に合わせて対応しなければならないでしょう。 私も行きます」とユウキ。
「今回は特に危険です。 カケル様がお怪我されたら私が必要になります」とファウラ。
「アタシは離れないぞ」とアビエル。
「私も12王です。 レムの供給などでお力になれるはずです」ミーアイ。
「ミーアイ様をお守りするために、オレも行きます」とガロン。
「アテン島の件でドラゴン達には借りがあります。 私も行きます」とエルク。
「藍のレギオンから誰も行かないわけには行かないでしょう」とバウロは笑った。
他にも、セシウスやレオン達も不服を言ったが、それ以上は頑として許可しなかった。
グレンのゲートで俺達はアリーウエンの家まで移動した。 黄炎石と3頭の牛も運び込んだ。 そこでアリーウエンやドラゴンの長老達に、作戦を説明し同意を得た。 それからまたゲートを使い、ギルガズーラの側まで移動した。
ファウラやバウロ達も、実物を前にしてその大きさに声も出なかった。 グレンがドラゴン達に作戦を説明した。 ドラゴン達には遠巻きに待機してもらい、万一分裂したり、体の一部が飛散した場合に即座に焼き払ってもらうことにした。
魔物から1キロほど離れた場所に、黄炎石を据えた。 そしてその周りに3頭の牛を繋いだ。 牛が暴れて逃げられないように、石に回したロープに繋いだのだった。 更に念のために、ファウラがその周りに植物の種をまき、レムで生い茂らせた。
これで取りあえず準備は出来た。 ドラゴン達は3キロほどの間を取って待機してもらった。 俺は両手にはめた腕輪を見た。 銀色に光る金属の輪に、様々な色の石が幾つもはまっていた。 俺はリーアの言葉を思い出した。
「いい、自分の頭上に赤い光の球をイメージするの。 そしてそこにレムを流し込むの。 そうすれば球はどんどん成長するわ。 注意しなければいけないのは、ある程度の大きさになるのに少し時間がかかると言うこと。 それとできた赤い光球を最後までしっかり制御すること。 敵に避けられたり、意図しない方向へ行ってしまったりしたら、とんでもないことになるわよ」
(使わなければいけない、と言うことにならなければ良いが)
「どうする、アイツはまだ動く様子がないが。 バズーカで刺激してみるか」とユウキ。
「そうだな。 いつまでもこのまま待つわけにもいかないだろう」
「じゃあ、俺がやろう」とバウロがバズーカ砲を担いで行こうとしたが、エルクが止めた。
「私が行きましょう。 バズーカ砲は射程が短いので、かなり近づかないといけません。 アイツが起きだしたときに、逃げられなくなる恐れがあります。 私なら空に逃げることが出来ます」
「なるほど、分かった。 任せよう」とバウロはバズーカ砲をエルクに渡した。