26-3 魔物討伐会議
俺は3つのレギオンの全サムライを集めた。 皆、何も知らされていなかったので、また他のレギオンが攻めて来たのかと思っていた。
「急に集まってもらって申し訳ない。 緊急事態だ」 俺はこれまでの経緯を話した。 一同驚いた顔をし、言葉が無かった。
「カケル様、本気で戦われると言うのですか? ドラゴンが束になっても勝てないような怪物と・・」とファウラ。
「どうやって倒すのだ? 弓や火球では無理だろう」とバウロ。
「戦車やバズーカ砲は通用するのか?」とセシウス。
「いやっ、役に立たないだろう」とユウキ。 各自が思いつくことを言い始めたが、まとまりがつかなくなった。
「少し整理しながら話しましょう」とスウゲン。 他の者が興奮気味なのに対して、スウゲンは冷静だった。
「まず、カケル様。 そのギルガズーラという魔物と戦うと言うのは決定でよろしいですね」とスウゲン。
「ああ、それは避けられない。 皆の中にはそんな異世界の戦いにまで関わる必要はないと思っている者もいるかも知れない。 だがドラゴン達との約束がある。 我々はアテン島の件で、彼らには借りがあるのだ」 エルクが申し訳なさそうな顔をした。
「では次にどうやって倒すかですが、誰か良い考えはありますか」とスウゲン。
「カケル様のゲートで、その世界から外に追い出すと言うことは出来ませんか? どう考えても倒すことは出来ないと思います」とトウリン。
「それは無理だ。 ゲートは具体的な向こう側のイメージが無いといけない。 それに私の場合、この世界の間でしか使えない。 それと一番問題なのは、奴が自分で異世界空間を超えられると言うことだ。 生きたまま追い出す事が出来たとしても、どこかまた別の所に現れる。 それがこの世界と言うこともあり得る。 もしそいつがこのオーリンの森に現れたら、1月も経たないうちに岩と土だけの土地になってしまうだろう。 だから、アイツは必ず仕留めなければならない」
「となると、尚更厄介ですね。 今までのお話では、分裂して増殖すると言うことです。 となると仮に本体を潰したとしても、体の一部を残してしまうとそこから再生してしまうでしょう」とスウゲン。
「火も氷も通用しなかったのでしょう? 雷撃はどうですか?」とアドル。
「試したが体が大きすぎて、内部まで影響は与えられなかった」とグレン。
「こちらの攻撃に対応して変形するというのも、問題ですよね」とミーアイ。
「様々な異世界の環境に順応するために、体が変形出来るようになったのだと思う」とユウキ。
「体が大きすぎるので、外からの攻撃では致命傷を与えることが出来ないのではないでしょうか。 きっと体の奥深くに脳や心臓に相当する重要な臓器があるはずです。 そこを破壊する必要があるのではないでしょうか」とフィーゲル。
「カケル様、またご自分が内部に入り込もうなどとはお考えにならないでくださいね」とファウラが睨むような目で見ながら言った。
「もうしないよ」 俺は笑いながら言った。
エルクが何か思いついたように立ち上がり、自分の腕輪に付いていた黄色の小さな石をナイフで外した。
「これを見てください。 黄炎石と言います」 そう言うとエルクはレムで、その豆粒ほどの石を空中に浮かべた。 そして左の掌をその石に向けたかと思うと、急にその石が黄色い炎を発して燃えだした。 一同は驚いた。 しばらく激しく燃えていたがやがて燃え尽きた。
「この石を何らかの方法でその魔物に食わせて、強力なレムを送れば体内で燃え出し、殺すことが出来るのではないでしょうか」とエルク。
「それは酸素が、いや空気が無くても燃えるのですか?」とユウキ。
「燃えます。 水中でも燃えます」
「では使えるかも知れませんね」とユウキ。
「ですが、山ほどの巨大な体に使うには、大量の石が必要なのではないですか」とリンエイ。
「あります。 アテン島には大きな塊があります」とエルク。
「カケル様、では1案としてその石を使う方法をもう少し具体化すると言うことでいかがでしょうか」とスウゲン。
「良いでしょう、それで考えてください。 ですがその案がうまくいかなかった時の次善策も考えておく必要があると思います」