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26-1 竜王の依頼

 ある日の朝、グレンが俺に真顔で言った。

「カケル、ボクは竜王としてやらねばならない事ができた。 しばらくここを空けるけど、寂しがらないで」

「えっ、どうしたんだ。 ドラゴンの島の長老達から何か話があったのかい」

「うん、ただまだ詳しいことは分からない。 でもボクが竜王としてやらねばならないこと」

「一緒に行こうか?」

「ボクは子どもじゃ無い。 カケルが一緒じゃなくても大丈夫だ」

「そうかい、ごめん。 じゃあ、気をつけてな」

「うん」


 それから10日経った。 グレンはどうしているのだろうと思っていた時、突然グレンが現れた。 あちこち傷だらけで、疲れているようだった。

「どうしたんだ?」

「カケル、助けて欲しい」

「何があったんだい?」

「敵と戦っていた。 とても強い。 うまく説明出来ないから、とにかく一緒に来て」

「良いけど、ドラゴンが勝てない敵って、どんな奴だよ。 ジュリアン、とりあえず今日の予定はキャンセルしてくれ」

「それは良いですけど、どちらへどのくらい行かれるのですか。 それに警護班もお連れになってください」

「分からない、取りあえず状況を把握してくる。 もしその強敵と戦わなければならないとしても、それなりの準備も必要になると思うから、戻ってくるよ」

「じゃあ、行こうか」と俺。

「せめて私だけでもついていきます」 側にいたホーリーが言った。

「分かった、一緒に行こう」

 グレンはゲートを開いた。


 グレンが開いたゲートの向こう側は、見覚えのある場所だった。 平原に小さな家、その庭には池があった。

「グレン、ここって竜王を決める時に来た場所じゃないか?」

「そう、アリーウエン様の管理する世界」

 家の側には、赤と緑と青の巨大なドラゴンが横たわっていた。


 俺達が家に近づくと、ドラゴン達が起きだした。

「来たか人の王よ。 久しぶりだな」 赤いドラゴンが言った。

「お久しぶりです、サーフィス殿。 何があったのですか?」

「敵が現れた。 詳しいことはアリーウエン様から聞いてくれ」 赤いドラゴンがそう言った時、アリーウエンがお茶のポットとカップが載った盆を持って、家から出てきた。


 「あっ、黒ちゃんお帰り。 彼を連れて来てくれてありがとう」

「そこに座って、今お茶を入れるから」 そう言うと女性はお茶を入れ始めた。

 俺達は庭の丸テーブルの椅子に座った。 何故かそののどかな雰囲気に、とても敵に攻め込まれていると言う感じには見えず、拍子抜けした。


 「さてと、どこから話しましょうか。 まずその敵は、私は“招かれざる客”という意味でギルガズーラと呼んでいます。 そいつがこの世界に侵入してきたのは、そちらの時間で言うと20日ほど前ということになるかな。 ギルガズーラは時空を超えて他の世界から来ました。 そいつはその世界の生き物の生命を吸い取り、そこを死の世界に変えると、また別の世界に行くのです」 アリーウエンはそこでカップのお茶を飲んだ。


 「私はこの世界の管理者として、ギルガズーラの排除を試みたのですが、私の使える手段には限りがあり、排除することは出来ませんでした。 そこでこちらのドラゴン達に退治を依頼したのです」

「我らは仲間を集め3日3晩攻撃したが、完全に退治することは我らでも出来なかった」と赤いドラゴン。

「そこで方法を変えるしかないと言うことになり、竜王がお主なら何か手段を考えつくのではないかと言ったのだ」

 俺はグレンの顔を見た。 グレンが困ったような顔をした。

(困ったぞ、ドラゴンが束になってかかって倒せないような魔物を、どうやって倒せと言うんだ)

「嫌とは言わせないぞ。 お前は我らに借りがあるはずだ。 今がその借りを返す時だ」と緑のドラゴン。

「もちろん分かっています。 私も出来るだけの事はしたいと思います」

「ありがとう」 アリーウエンが礼を言った。

「ですが、今の話しだけではどのような魔物なのかも分からないし、どうすれば良いのか見当もつきません」

「そうだな、では見にいくか。 俺が案内しよう」と青のドラゴンは立ち上がった。


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