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23-4 橙の王の屈辱(2)

 次の日、ゲブラ達の前に現れたムギンは、やつれた様子が見られた。 怒りと屈辱に一睡も眠れなかったのだろう。 会議室に座る3人のテーブルの反対側に座った。 王の隣には、ザンバが座った。


 「眠れなかったようだな。 どうやって首輪を外そうかとか、どうやって俺を殺そうかとか考えていたのだろう? そしてその度に首輪に首を絞められたのだろう」とゲブラは笑いながら言った。

「・・・・」 ムギンは図星で返答が出来なかった。

「無駄だと言ったはずだ。 それははめた奴にしか外せない。 たとえ12王でもだ。 それは特殊な金属で出来ている。 その表に彫ってあるのは古代文字で、レムで呪いをかけてある」

 ムギンはゲブラを睨んだ。 すると首輪が反応し出した。 ムギンは慌てて深呼吸して気持ちを落ち着かせた。 それを見てゲブラが笑った。


 「さて、本題に入ろう。 現状ではあんたが個人的に私に逆らえないと言う状況だ。 そう言う訳でムギン王には、これからラーベリアのレーギアまで行って、ラウエル王に謁見してもらう。 そこでサムライの誓いをしてもらう」

「クッ・・・」 ムギンは歯ぎしりした。


 紫のレーギア

 ゲブラとムギンはゲートを使い、レーギアまで移動した。 控えの間で待っていると、一人の男が入って来た。 黒いローブ姿の初老の小男で、頭は額から頭頂にかけてはげ上がっていた。


 「カウレイ殿、お久しぶりです」 ゲブラは立ち上がり、男に丁寧に挨拶した。

「うむ、活躍は聞いておるぞ。 そちらが橙の王か?」

「そうです。 ムギン王です」

 ムギンは立ち上がり挨拶した。

「折角来てもらったのだが、ラウエル様は多忙のためお会いなれないとのことだ」

「ですがカウレイ殿、ラウエル様にサムライの契約をしていただかないと・・・」

 カウレイはゲブラを部屋の隅に引っ張って行き、小声で言った。

「ラウエル様は獣人族をご自身のサムライにはしないとおっしゃっている。 本当に信頼できる者しかサムライにはできないとな」

「しかしそれでは・・・・」 ゲブラは困った顔をした。

「ラウエル様は、ゲブラ殿のサムライで良いとおっしゃっている」

「えっ、そうなると橙は金の下につくことになりますが・・・」

「それで良い。 ラウエル様は、首輪を着けたのならゲブラがしっかり鎖を握れば良いと仰せだ」

(本当にそれで良いのか? ラウエル様は恐ろしいお方だ。 橙が俺の下に入ると言うことは、力を持ち過ぎではないのか? 余計な疑いは持たれたくないが・・)

「分かりました」 ゲブラはそう言うしかなかった。


 ゲブラはムギンの所に戻ると、済まなそうに言った。

「都合によって、橙は金の下、つまり私のサムライになってもらうことになった。 よろしく頼む」

「はい・・・」 ムギンは無表情を装いながら言ったが、はらわたが煮えかえる思いだった。 獣人族は総じて聴覚や嗅覚は優れているのである。 二人の会話はまる聞こえだったのである。

(屈辱だ。 これでは橙は紫の陪臣ではないか) ムギンは拳を握り締めた。 そうしながらも、首輪が反応しないように必至に冷静になろうとした。


 その後、ムギンはゲブラのサムライになった。 これによって橙のレギオンは完全に金のレギオンの傘下に入った。


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