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23-1 橙の王

 タイロン王国の王都、アルマの王宮

 玉座には金髪の男が座っていた。 年齢は30代に見えた。

「ザンバ、どうなっているのだ。 お前がモタモタしているうちに、金が紫に奪われたではないか」 玉座の男が段下に控えるライオンの半獣人を怒鳴りつけた。

「申し訳ございません、ムギン様。 ガーラント帝国があのようにあっさりと、紫のレギオンに敗れるとは思っておりませんでした。 我らの策としては、金と紫がつぶし合って弱った所を一気に叩くつもりでおりました」

 

 「ならば何故すぐ叩かぬ。 今ならば帝国は混乱し、新しい体制も落ち着いてはおらぬだろう。 向こうに時を与えれば、それだけ体制は盤石になっていく」

「その通りです。 ですが、状況はこちらも同じです。 タイロンもアストリアもムギン様のご指示通り王を廃して、無能な貴族どもも追い払いました。 しかしそのため、両国内では不穏分子が暗躍しており、いつ反乱が起きてもおかしくない状況です。 そのため王都他、主要な都市には兵を配して押さえなければなりません。 それで、現状ではガーラントに出兵出来ずにおります」

「では、出兵出来ないのは余のせいだと言うのだな」

「め、滅相もございません」

「フーリエに3万の兵を率いて増援に来させる。 到着次第、帝都ゴルドンに侵攻するぞ。 それまでに出兵の準備をするのだ。 アストリアにいるボアンガにも伝えるのだ」

「かしこまりました」 ザンバはそう言って頭を下げるしかなかった。

「今回は余が直々に出る」

「ははっ!」


 3日後の深夜、ゴルドンのレーギア

 ゲブラは自分の居室に、一人で本を読んでいた。 すると背後の部屋の隅の闇から僅かな気配が感じられた。


 「ザウフェルか」 ゲブラは本から顔を上げず言った。

「はい」 ザウフェルは闇から姿を現わした。

「で、今日は何だ」

「橙がゴルドンに攻めてまいります」

「いつだ、兵力は?」

「今、オレジオンから増援を呼んでいます。 それが到着次第とのことですので、約1月後と思われます。 兵力は全体で8万ほどかと・・・」

「そうか、分かった。 他には?」

「今回は、橙の王自ら出陣するようです」

「橙の王とは、どのような人物だ?」

「そうですね、変身タイプの金狼の獣人という話です。 意志が強く、プライドが高いそうです」

「鼻っ柱の強い、犬っころか。 さてどうしてやろうか。 橙の王は今どこにいる」

「アルマの王宮です」

「そうか、分かった。 ありがとう」

「それでは私はこれで・・・」 ザウフェルはそう言うと、闇に溶けていった。


 翌日、ゲブラはグレイガとソアラを呼んだ。

「橙のレギオンが攻めてくる。 1カ月後、8万だそうだ」

「それで、どうするね。 奴らは野蛮だから作戦は単純だが、体だけは頑丈だからやっかいだぞ」

「それだが、出来ればまともにぶつかりたくない」

「あら珍しい、ゲブラらしくないね」とソアラ。

「我らの兵は5万ちょいだ。 奴らとまともにやり合えば、勝っても半数は失うだろう。 そうなれば、今おとなしくしている人族の奴ら、間違いなく反乱を起こすぞ」

「じゃあ、どうするの?」とソアラ。

「オレに考えがある。 向こうの犬っころに首輪を着けてくる」

「まさか、お前また・・・」

 ゲブラは笑っていた。

「それはダメよ。 あんたはもうラウエル様のサムライというだけでなく、金の王なのだから、軽はずみな行動は慎まなければ・・」

「そうだよ、行くならオレが行くよ」とグレイガ。

「いや、オレじゃなければダメだろう」

「ならば一緒に行くよ」

「アタシもね」

「分かったよ」 ゲブラは諦めたように言った。


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