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22-9 決着

 本陣の近くでは、クリフとザウローが戦っていた。 どちらも互角の戦いだった。 勿論、ザウローはクリフに邪魔をさせない事が目的なので、本気では戦っていなかった。 すると二人の目にメルデンが落下してくる姿が映った。

(メルデン様、マズイ!) クリフはザウローを置いてメルデンに向って飛んで行った。


 クリフは地面から50メートルほどのところで、メルデンの体を受け止めた。 しかし勢いを十分に殺せずにそのまま二人まとめて地面に落下した。 大きな衝撃と共に土埃が舞い上がり、周りの土が吹き飛んだ。


 俺がその側に降り立つのとほぼ同時に、ザウローも降り立った。


 「カケル王、とどめを入れなさい」とザウロー。

「えっ、勝負は着きました。 とどめは必要ありません」

「カケル王は甘すぎます。 貴方はお優しい方だ。 だがその優しさがいずれ仇となりますぞ」 ザウローは真顔で言った。

「そう言われても、私にはできない」

「フッ、まあそこが貴方の良さでもあるので、致し方ないですな」とザウローは諦めたように言った。


 クリフが気がつき、ふらつきながらも起きだした。

「勝負は着いた。 今すぐ兵を退くのだ。 そして今すぐ手当をすれば王は助かるだろう」と俺はクリフに言った。

「ありがとうございます」 クリフはメルデンを輿に乗せると、それを引いて自陣まで飛んで行った。


 戦場では、既にこちらの勝利が決していた。 水晶の軍は撤退の鐘が鳴り、兵が一斉に退却を開始した。


 「我々の勝利だ。 勝ち鬨を上げよ」

「オオーーッ」兵達の声が響き渡った。


 ターニャは兵をまとめると、退却を命じた。 多くの兵が、ぼろぼろで怪我と疲労もひどかった。 別動隊も含め12万もの兵が、帰還したのは4万数千だった。

(これは私の失態だ。 責任を取ることになるだろうな)


 本陣前に各部隊の兵が集まった。

「カケル様、お言葉をかけてあげてください」とスウゲン。

「皆さんの活躍で、今回も勝利することが出来ました。 特に敵の別動隊を壊滅させた、マブル族とアデル族の働きは素晴らしいものでした。 ですが今回の勝利は、本当に各部隊の力の結集による勝利です。 私は心から皆さんに感謝します。 それと残念ながら今回の戦いで亡くなった、多くの仲間に対して哀悼の意を表します」

「カケル王、バンザイ!」兵達が叫んだ。

「何か、カケル様、本当に王様っぽくなってきたね」とエレインがレオンに言った。

「気にいらんな、本当の王様だろうが」とレオン。

「お前、いつの間にあんな事が言えるようになったんだ」 ユウキが驚いたような顔をして俺に耳打ちした。

「バカ、俺だってあれくらい言えるさ」

「そうか」 そう言うとユウキは笑った。


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