表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/393

21-2 王達の焦り

 白のレーギア

 白の王であるヒョウマは、クレオンから12王の近況の報告を受けていた。

「それじゃあカケルは、今は3つのレギオンを支配下に置いているのだな。 やるじゃないか。 それでこそ倒しがいがある。 しかし我々の方が遅れをとっているぞ。 クレオン、次はどこを攻める?」


 「今は攻めるべき時ではありません。 力を蓄えるべき時です」とクレオン。

「ガーリンはどう思う」 ヒョウマは不満げにガーリンに聞いた。

「私も今は、その時期ではないと思います」

「私もそう思います。 焦らずとも時期は必ずやってまいります」と赤の王でもあるグラスは言った。


 「クレオン、今うちが抱えている問題は何だ」とヒョウマ。

「まず一つが兵力です。 現在白の兵力は約3万、赤が約6万です。 この兵力ではどのレギオンと戦うにしても十分ではありません。 何故なら、白の兵は冬期でも出兵出来ますが、赤の兵は冬期は戦えません。 逆に夏場はレグナ族や氷塊兵が使えませんので、出兵の時期が重要になります。 二つめに兵糧等の物資や戦費もまだ十分とは言えません。 我がレギオンは土地は広大ですが、食料の栽培できる場所は限られております。 三つめは、地理的な問題です。 白のレギオンは他のレギオンとゴルゴン山脈で隔てられています。 どこを攻めるにしても赤のレギオンとの共闘が難しく、採用できる戦略が限られてくることです」とクレオン。


 「うーん、だが地理的な問題は待っても解決出来ないぞ」

「それはそうですが、周到な計画と準備によって、赤のレギオンと効果的な連携を取ることができます」

「では、いつになったら出兵できる」

「まだいつかは言えません。 紫のレギオンが金を押さえましたので、次にどう動くか分かりません。 もしかしたら突然に我々を襲ってくることもあり得るのです。 水晶も恐らくもう一度緑のレギオンを攻めるでしょう。 もし水晶が緑に敗れれば、その時には我々が攻め入る隙があるかも知れません」

「つまり、状況がどう動くか分からないからもう少し様子を見ろと言うことか」

「その通りです」とクレオン。

「クソッ、気持ちばかりが急くが、クレオンの言うとおりだな。 分かったもう少し様子を見よう。 ガーリン、グラス、いつでも戦えるように兵達の訓練を怠るな。 クレオン、様々な状況を予測して作戦を練っておけ」

「承知いたしました」と3人は応えた。


 黄のレーギア

 「ギルダ様、水晶の王から援軍の要請がきております」とジョエル。

「援軍? 白か金が攻めて来たのか?」とギルダ。

「いいえ、緑のレギオンを攻めるようです」

「何だと!」


 「どうやらメルデン王は、先の戦争で負けた事がどうしても認められないようで、雪辱を果たしたいようです。 それで今回は完勝を期すために我々にも出兵を要請してきたのです」

「それって、俺達がまるで属国みたいじゃないか。 宗主国と勘違いしているんじゃないか。そもそも対等な同盟のはずだろう?」とルーク。

「その通りです。 攻められているのならともかく、こちらは侵略戦争に手を貸す余裕はありません。 もしメルデン王の要請に応じて出兵すれば、間違いなくその隙に銀のレギオンか赤のレギオンが攻めて来るでしょう」とジョエル。


 「分かった。 ジョエル、丁重に断ってくれ」とギルダ。

「そもそも同盟を組む相手を間違えたんじゃないか」とルーク。

「あの時点では選択肢は無かった。 水晶の王の申し出を断れば、攻めて来ただろう。 それに単独のままでは、既に赤か銀に攻められていただろう」とジョエル。

「弱小レギオンでは仕方ない」とギルダ。

「弱小でも生き残ったところもありますけどね」とジョエル。

「緑のレギオンか」とルーク。


 「緑の王とはどのような人物なのだ?」とギルダ。

「そうですね、十分な情報があるわけではありませんが、年はまだ若く異世界から来たという話しです。 王に成りたてにも関わらず橙や水晶のレギオンを続けざまに撃破しています。 少ない兵力にもかかわらず勝利しているのは、優秀なサムライがいるのと、他の種族を味方に付けるなどの人心掌握の力が優れているのでしょう」

「なるほど、その王ならば、今我々が直面している危機も乗り越えられるのかな」 ギルダは自嘲気味に笑った。

「大丈夫ですよ。 私がそう簡単に攻め落とさせませんよ」とジョエル。

「ありがとう。 頼りにしているぞ」

「いずれにしても、我々も狙われている。 軍の増強は急務だ」とルーク。

「そうですね。 兵力もですが、それを指揮する強力な将軍がもう一人欲しいですね」とルーク。

「分かった、あたってみよう」とギルダ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ