20-6 天空の戦い(1)
「アテン島が落下していると言うのですか」とユウキ。
「何か策はないか?」と俺。
「原因が何か分からないと対策も打ちようが無いですよね。 そもそも天空島って内部に巨大な飛空石があってそれで浮かんでいると思われます。 それが何らかの影響で飛空石の力が弱くなっているのだと思われます」
「じゃあ解決策は無いのか?」
「それどころか、新たな問題が発覚しましたよね」
「えっ」
「落ちる場所によっては地上の被害も尋常じゃないですよ」
「あっ、そうか。 そうしたらオーリンの森に落ちると言うことも・・・」
「あり得ますね」
「どこに落ちるかは分かっているのですか?」とミーアイ。
「いえそこまでは分かりませんでした。 ただ落下まで2カ月以内と言うことでした」とジュリアン。
ユウキはしばらく考えていたが、やがて言った。
「一つ解決策があるとすれば、アテン島を誘導してこちらの思うような所に、着地させることです」
「どういうことだ」
「落ちると言っても隕石が落ちるのとは違い、徐々に浮力が無くなって高度が下がっていくと思われるので、遠浅の海に落とすことが出来れば、そのまま島を残すことができると思うのです。 そうすれば陸地に被害は無いし、アテン島にそのまま住むことも可能かと思います」
「それだ!」と俺。
「ですが、問題があります。 どうやって島を誘導するのですか? この島もそうですが意図的に島の移動先を変えることは出来ませんよ」とリオナ。
「そこなんですよね。 その方法まではまだ思いつきません」
「だが光明も見えた気がする」
3日後、青のレーギア
緊急事態のため、俺はずっと青のレーギアに入りっぱなしだった。
「20隻以上の飛空船が近づいて来ています」とセリナ。
「敵はどう攻めて来ると考えていますか」とミーアイ。
「彼らは焦っていると思われます。 ですので、このレーギアに対する集中攻撃が考えられます」
「今、戦いではなく別の形での打開策を探っています。 時間を稼いでください。 レーギアにはシールドの結界を張ります。 軍は都市の防衛に集中してください」とミーアイ。
「承知いたしました」
アテンの飛空船がレーギアの上空に集まった。 ミーアイはドーム状の結界を張って防御に専念した。 飛空船の甲板から砲弾が撃ち込まれた。 砲弾は透明のシールドに当たり爆発するが、シールドを破壊することは出来なかった。
「奴ら、バズーカ砲を持っているぞ」とアドル。
「やはり銀のレギオンが後ろで手を貸しているんだろう」と俺。
「結界は大丈夫なの?」とエレイン。 次々にバズーカが撃ち込まれていった。 しかしシールドはびくともしなかった。
攻撃開始から2時間が経とうとしていたが、一向に有効なダメージを与えられない事に苛立ったのか、攻撃のターゲットを都市に変えてきた。 バズーカを街中に撃ち込み始めたのだ。
王都の城壁の上から、青の兵達によって次々に飛空船に向けてバズーカが撃ち込まれた。 数隻の飛空船の胴体に砲弾が命中し、煙を上げながら静かに落下していくのが見えた。
飛空船からは次々に兵士が飛び出した。 兵士の手には銃を持っていた。
王都の郊外からはボークに乗った兵士達が、アテンの兵達に向っていった。 その結果、王都の上空では激しい空中戦が続いた。 戦闘は夕方まで続いたが、アテン軍は攻めきれず撤退していった。