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20-4 天空の使者

 会議から10日後、ミーアイから念話が入った。


 「カケル様、飛空船が到着しました。 アテンからの物です。 アテンの王の使者がまいりました。 至急こちらにおいでいただけますか」

「分かりました」 そう言うと、俺は青のレーギアに移動した。


 俺とミーアイの前に、使者が現れた。 紺のゆったりした服の背中には黒い大きな翼が生えていた。 使者は40代の男だった。


 「アテンの王、スフィンの使者として参りました、ガノン・スールと申します。 さて、ミーアイ王並びにカケル王に申し上げます。 この天空島は元々一つのアテン島でした。 しかるに1千年ほど昔に蛮王レイリーが侵攻し、あろう事か島を分断して占有してしまいました。 その後現在に至る訳ですが、この島の所有権はいまだに我らエルビン族にある事は明白です。 よって我らはこの島の明け渡しを要求いたします。 期限は本日より1ヵ月。 回答は5日以内にいただきたい。 もし回答無き場合は拒否したものとみなし、力尽くでの奪還に移ります」 使者は一気に言い切った。


 俺とミーアイは驚いて、開いた口が塞がらなかった。

(何だこれは、こんなの飲める訳無いじゃないか。 これは宣戦布告に等しいぞ)

 俺はミーアイと顔を見合わせた。


 「使者殿、あまりに突然のことに言葉もありません。 アテン島において何か問題が発生してお困りならば、相談にのりますが」とミーアイ。

「こちらといたしましては、これ以上申し上げることはございません」

「使者殿、これでは言いがかりで戦争を仕掛けているとしか思えませんが」と俺。

「言いがかりとは心外ですな。 我々はエルビン族の存亡を賭けているのです」 使者は真剣な目で俺を睨みつけた。

「とても飲めるものではありませんが、一応そちらの言い分は聞きました。 スフィン王への返答までしばらくお待ちください」とミーアイ。


 俺はすぐに緊急会議を招集した。 全員は無理なので、青のサムライにセシウス、ユウキ、スウゲン、アドル、アビエルのメンバーだった。

 ミーアイからこれまでの説明が行なわれた。


 「状況は分かりましたが、いきなりその展開は腑に落ちませんね」とユウキ。

「アテン島に何か異変があったとしか思えませんね」とスウゲン。

「どんなことが考えられる?」とセシウス。

「例えば、島の火山が噴火して、人が住めないような環境になってしまったとか」

「なるほど、それにしても1カ月とはあまりにも性急すぎるな。 かなり切羽詰まっていると言うことか」とセシウス。

「もし仮にアテン島が住めなくなって、人々が移住しなければならないとして、この島にはどのくらい受け入れられる?」 俺はミーアイに尋ねた。

「恐らく4、5万人でしょう。 ですがアテン島には恐らく数十万人の人々がいるでしょう」


 「だから生きるか死ぬかの賭けに出たと言うことか」とフィーゲル。

「だが、幾ら道がないと言っても、12王に戦いを挑むのは無謀だと思うのですが」とアドル。

「もしも裏で手を貸している勢力があるとしたら」とスウゲン。

「銀のレギオン」セシウスとフィーゲルが同時に言った。

「その可能性はありますね」とユウキ。

「いずれにせよ、現状では可能性に過ぎません。 もっと情報を集める必要があります」とスウゲン。

「どうするのだ? 使者を捕らえて拷問でもするか」とセシウス。

「絶対にダメです」ユウキとスウゲンが同時に言った。

「これでは如何でしょう」 スウゲンが策を説明した。

「分かったそれで行こう。 それと同時に戦争の場合の作戦を立てて欲しい」と俺。


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